第3751話 大口輸出と展示即売会の収支が出ました。(借金を返さなきゃ。)
研究所の3階 所長室。
武雄が執務机で先の研究室の資料を見ていた。
「・・・ふむ、鈴音の方は問題ないというよりも、してみないとわからないという事の方が多いか。
はぁ、こればかりは実施と修正を繰り返していくしかないか。」
武雄が背もたれに寄り掛かりながら言う。
「ノットさんの方のは、自然循環式の風呂か・・・個人宅の風呂では使っていると思いますけど、銭湯で使えるのか。
で、加熱の取り込みと排出の方とは別の所にスライム達が居る浄化槽とステノ技研の技術を使った新しいお湯の供給魔法具ね。
ふむ・・・加熱装置のON、OFFは鈴音が駆動部の試験で使った供給カットの仕組みを使うか。
で、この机に敷いている魔力変換素材を床一面に?
あ、その上に薄く白スライムで床を作ってタイル貼りって書いてありましたね。
ふむ、床暖房のように床下に魔力変換素材とお湯の供給装置とをつなぐという事ですか。
・・・よく考えているね。
まぁ、試験場として良いかもしれないけど、これ・・・一般家庭に対応出来ないかもなぁ。
当面は銭湯シリーズとして、各地に売り込むか。
それに魔力変換素材の劣化と性能効率の低減も確認していかないといけないし・・・開発だけでなく、維持する事も視野に入れると、この研究は継続的な物になるかもしれませんね。
さて、『普通の水の供給も出来るようにしてくれ』とノットさんに言わないとね。」
武雄が資料にメモを書き始める。
「失礼します。」
アスセナが所長室に入って来る。
「はい、どうしましたか?」
武雄が顔を上げる。
「はい、展示即売会の収支報告と魔王国に輸出した毛布や穀物等の大物の収支報告をお持ちしました。
ちなみにシモーナ様の銀の月よりの入金は冒険者組合を通して、2月末になっております。」
アスセナが武雄の執務机の端に書類を置く。
「はい。
・・・シモーナさんからは現金が来ると思っていました。」
「額が多かったので契約変更がなされています。
輸送中に何かあってはいけないと双方で考えた結果です。」
「そうでしたか。
キタミザト家、銀の月、ブリアーニ王国、魔王国の送金先の確認は常にしておいてください。
あ、魔王国の第7軍の送金先もね。」
「畏まりました。
各所にご連絡して、双方で大金を動かす際には使用するのでと、ご連絡をお願いする事にします。」
アスセナが言う。
「ええ、お願いします。
年度末の私の小遣いは増えますかね?」
「はは、少なくともシモーナ様から買い付けた分とデムーロ国から持って来た物を売った展示即売会の収支をご確認ください。
こちらは売り上げから諸経費を除いた全額がキタミザト様へ入金されます。
キタミザト様の冒険者組合の方に入れておきます。」
「え?そうなの?
・・・うーん、見るのが怖いような、楽しみなような・・・」
武雄がアスセナが置いた報告書を見ながら言う。
「あとで楽しんでください。
それと後程、4月からの試験小隊の方々の事務机や制服の割引等の最終決済を持ってきますので、早々に決済をお願いします。」
「はーい。」
武雄が返事をすると「では、失礼します」とアスセナが所長室を出ていく。
「・・・よし、研究室の方は後にして、展示即売会の収支報告を確認させて貰いましょう。」
武雄がさっさと研究室の資料をしまい、展示即売会の収支報告書を手に取る。
「あー、警備費が追加でかかったかぁ。
まぁ、ダニエラさん達も来たし、一般の人達も入れたしなぁ。
その都度、その都度でアスセナさん達が増員依頼をして経費がかかったかぁ。
あ、倉庫の借り上げ費用がそこまで多くないですね。
でも意外と接待費がかかっているか。
まぁ、打ち合わせをしながら、各工房や商店へのお茶代も馬鹿にならないかぁ。
家としてお願いしているし、協力工房だけならいらないかもしれないですけど、他の工房や商店もいますしね。
変にケチ臭いと言われるより、ちゃんとした物を用意した方が話も進みますか。
・・・つまりは、その辺の打ち合わせをするのなら費用を多く見ないといけないという事ですね。
とはいえ、やりすぎもやらなすぎも問題だろうなぁ。
こういう塩梅って難しそうですよね。」
武雄が腕を組んで考える。
「まぁ、その辺は経験か。
・・・ん?最終収支がこれだよね・・・」
武雄が報告書を顔を近づけて見る。
「ふむ・・・そっかぁ、トントンかぁ。
今回のシモーナさんへの投資で金貨2000枚、展示会の売り上げから場代や警備費を引いて、私の元に金貨2050枚の収入。
エルヴィス家が売れ残りを4割で買ってですよね?
実質、赤字か。
まぁ、赤字でも良いと思っていましたからね。
この数字はヴィクターやアスセナさん達の頑張りとエルヴィス家のおかげですか。
・・・グローリアさんの立て替え費用の金貨1600枚の内、ヴィクターに金貨1450枚戻さないと。
あとで、こっそり相談しなきゃ。」
武雄が言うのだった。
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