第3678話 仮分娩室の最終チェック。(男達は待つしかありません。)
エルヴィス侯爵邸のアリスの為の仮分娩室。
「・・・」
アリスが何回目になるかもわからない陣痛が終わり、ぐったりとしていた。
「「・・・」」
エリカはアリスの横に座り抱きしめ、ペイトーはアリスの腰をマッサージしていた。
「うん、アリスも子も大丈夫そうね。」
「打診法で確認しましたが、逆子でもないようですね。
へその緒も絡まってはいないようです。」
コノハとパナが3人を見ながら言う。
「パナちゃん、打診法ってそんな事も出来るの?」
「ええ。」
「知らなかった。
まぁ、パナちゃんの事だから超音波検査(エコー検査)みたいにしているんだろうけどさ。
特殊ね。」
「秘儀です。」
「まぁ、パナちゃんが居てくれて助かるわ。
さーて、あとは産むだけだ。」
「魔眼だけが未知数ですね。」
コノハとパナが言うのだった。
「・・・」
ジーナが魔眼を発動し、天井からの力む為に掴む綱を引いて強度を最終確認している。
「いけるかな?」
チビパラスがジーナの肩に現れて言う。
「・・・最悪はアリス様が引っ張るのを私が反対を持って引き上げるしかないでしょうか。」
ジーナが魔眼を止めて言う。
「ジーナ様、各用意が済んだとメイド長様より言われました。」
ルフィナがジーナに言う。
「はい、ありがとうございます。
タオル、弦、桶とぬるま湯、その他器具。
・・・パナ殿からは万が一はお腹を開けると言われましたが・・・無事に終わっていただければと思います。」
「はい、無事に出てきていただかないと。」
ジーナの言葉にルフィナも頷く。
「ルフィナ達はジェシー様の時に立ち会っていますね?」
「はい、ジーナ様は第3皇子一家の際にと伺っています。」
「ええ、やり方はたぶん同じで出来たはずですが・・・ま、エルヴィス家の方々も経験していますから、そこまでなんでも私達がしなくてはいけないという訳でもないでしょう。
ふぅ・・・ルフィナ、カレー食べましたか?」
「はい、緊張していますが、美味しく食べました。」
ジーナとルフィナがアリス達が座っている方に歩きながら話している。
「そうですね。
実は王城でもカレーを特別に出して貰ったのです。」
「そうなのですね。」
「ええ、エリカ様が手配してくれました。
王都の隣の町から来ていただいたのです。
本来は門外不出という事だったのですが、お願いにお願いを重ねてだと思います。
カレーは緊張していても食べやすかったですね。
王家とキタミザト家、エルヴィス家では出産時にはカレーが定番になるかもしれませんね。」
「それは良いですね。
料理長が言っていましたが、カレーは作り置きが出来るから重宝すると言っていました。」
「まぁ、大別すればスープですからね。
一度作っておけば、そのままで良いとなると料理人からしたら楽な部類でしょう。」
「なるほど。
温めて置くだけで、注文があれば盛り付けて出すだけで良いという事ですね。
飲食店でも使えますね。」
「そうですね。
盛り付けする一歩手前の状態でしまっておき、注文があれば盛り付けするとしておけばお客様を待たせずに提供が出来ますね。
それにお客様が途切れず繁盛しているなら、予め盛り付けしておいて用意しておく事も出来ますね。
逆に、注文を受けてから一から作るのを売りに出しても良いでしょう。
待つ時間を楽しみたいというお客様もいるでしょう。」
ジーナが言う。
「料理を早く出す店と一から作る店、真逆ですから狙うお客様も違いそうですね。」
「それが店の特色となるでしょうね。
もちろん、どちらも美味しい事が最低条件になりますが。」
「確かに。
最低でも美味しくないといけませんね。」
ジーナとルフィナが話していると。
「うぅぅぅ・・」
アリスの陣痛が始まり、室内の皆が動くのだった。
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エルヴィス侯爵邸の客間。
武雄とエルヴィス爺さん、フレデリックが居た。
3人とも手持ち無沙汰で武雄とエルヴィス爺さんはソファに座りながら書類を見ており、フレデリックも長時間になるだろうと対面のソファに座って本を読んでいる。
「ふむ・・・タケオは落ち着いておるの。」
エルヴィス爺さんが書類から目を上げて言ってくる。
「そう見えてればいいですね。
実際は書類の中身が入ってこない程度には緊張しています。」
武雄が苦笑しながらエルヴィス爺さんを見る。
「ふむ、まぁ、ニオ殿もジェシーの時に言っていたが、コノハ殿とパナ殿が揃っていれば大丈夫との事じゃったか。」
「そうありたいものですが、事故というのは想定を超えるからこそ事故と言います。
精霊だから完璧に出来るというわけではないのは覚悟しています。」
武雄が言う。
「うむ、その通りじゃの。
とは言え、以前に比べれば、安堵感があると思うがの。
ま、ジェシーで皆が経験しておるからの、同じことをすれば良いと皆が段取りをわかっているのも空気が違う要因かもしれぬが。」
「ジェシーさんのおかげですね。
まぁ・・・大丈夫なんでしょうが、ちゃんと産まれてくるまで気を抜けないのは確かです。」
「うむ、わしらは待つしか出来ないからの。」
エルヴィス爺さんが頷くのだった。
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