第3610話 451日目 味噌の販売について考えよう。(飲食店で売るという荒業。)
エルヴィス侯爵邸の客間。
武雄達は雑談を続けていた。
「ふむ、確かに、この街から各町までの道のりで、味噌が携帯出来るとなると食生活が変わるかもしれぬの。」
エルヴィス爺さんがエリカの話を聞いて頷く。
「はい、出汁の時も同じような事を考えましたが、あちらは朝仕込んでおいて昼もしくは夜用となります。
ですが、これは持っていけば、お湯に入れれば完成という手軽さがあります。
また、具材を何種類か作る事で飽きがこないかと。」
エリカが言う。
「うむ、タケオ、そちらの研究もするのかの?」
「今は熟成期間によって味や色の変化を見ている最中です。
その中で味噌玉というコノハが教えてくれた食べ方に合った時期がわかれば販売しても良いと思います。」
武雄が言う。
「ふむ、エリカ、出来そうじゃの。」
「大金持ちにはなれなそうですが、小金持ちにはなれそうです。」
エリカが言う。
「エルヴィスさん、味噌を作ってくれる工房はベルテ一家が指示・監督をしますが、キタミザト家お抱えではなく民間としたいのですが、よろしいでしょうか。」
「うむ、今の協力工房と同じような扱いじゃの。
大丈夫だと思うが、守秘義務の契約書が必要じゃろう。」
「そこはいつも通りに。
ローさんを介するので、その辺の話も同時に進め、受け入れてくれる所を探します。」
武雄が言う。
「うむ、それで良いじゃろう。
・・・調味料が仕込んで市場に出せるまで4か月程度か・・・ウスターソースを知っていると長く感じるがワインで1年程度かかる事を考えれば、あっちが早すぎるのかもしれないの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「そうですね。
ですが、供給され続ければ、仕込み期間の違いは生産者側での話でしかありません。」
「確かにの。
じゃが、ウスターソースの販売状況が販売状況じゃからの。
供給が追い付かなくなる可能性がある。」
「・・・まだその段階ではありません。
今は生産が出来る工房を探して、ベルテ一家と共に安定的な生産が出来るように仕向ける時ですよ。
それに材料が他領産なのです、そこが増産し、輸入が多くならないと何ともなりません。
需要と供給の話をするのは、まだ早いでしょう。
エルヴィスさん、気が早いですよ。」
武雄が苦笑しながら言う。
「確かに。
街中への正式販売は早くても数年後ですものね。」
アリスも苦笑しながら言う。
「ううむ・・・ちと早すぎるか。」
「ですが、心配にもなる気持ちもわかります。
供給と需要の予測次第では売り方やレシピ公表の方法が変わるかもしれません。
今はレシピ公表と各自の取引開始でしょうが、どこかの組合に売るのを頼む事も考えられますから。」
エリカが言う。
「売り方か・・・ベッドフォードさんの所のように考えていましたが、味噌の製造と販売を一緒にする必要はないですね。
製造に特化して貰って、売るのは違う場所で行う。
前にも話しましたが、ウィリアム殿下領に続く街道沿いの町や村で、味の違ったうどんを提供するって話に味噌を投入して、街道沿いでの売り上げを見て行くという事でしたが、この街での販売も同じようにどこかの商店もしくは組合に任せるというの徹底していて良いかもしれませんね。」
武雄が言う。
「ふむ・・・量を売る事を考えておらぬというのなら、酒場が良いかもしれぬの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「酒場・・ですか?
お爺さま、酒場に調味料を?」
アリスが聞く。
「うむ、ウスターソースとは違い生産量が我が領では調整が出来ぬ商品じゃろ?
という事は・・・例えば100個作って、わしらが50、ウィリアム殿下領の街道に40、残り10のみこの街で販売するとするじゃろう?
じゃが、この街での需要は30あり、20足らんとする。
普通に売ってしまうと供給が足らずにすぐに売り切れになってしまうの。
そこでじゃ。
出来るかわからぬが、飲食店組合に依頼して、数件の酒場のみでの販売をしてみるというのも手じゃろう。
食べに来た者のみ販売すれば、店の来店数が増えるし、供給する方としては、普通に売るよりかは売り切れにならないと思うの。
それになったとしても酒場での販売じゃから諦めやすいと思うの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「ですが、それですと売ってくれる酒場で味噌料理を提供しないと納得いかないかと思われます。
それにその際はレシピ公表が出来ないかと。」
エリカが言う。
「レシピ公表は諦めよう。
しかし、飲食店組合には教える。
そうすれば数件の酒場で提供し、料理数を増やしていけるじゃろう。
一般へのレシピ公表は供給量が多くなってからで良いじゃろう。」
「・・・飲食店組合が頷きますかね?」
アリスが聞いてくる。
「そういう契約にすれば良いだけじゃし、相応の契約金額にすれば良いだけじゃよ。」
エルヴィス爺さんが言うのだった。
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