第3589話 エイミーとアンの話し合い。(ヴィートはやる事がいっぱいだね。)
エリカの話をしたエイミーとアン、ドネリーはアンの部屋に来ていた。
スミスとヴィートはビエラの出立の見送りをしに城門に行っている。
「はぁ・・・第3皇子一家も思い切った事を考えたわね。」
エイミーがため息をつく。
「そう・・・なんですよね?」
アンが首を傾げる。
「うん?気になる所あった?」
エイミーがアンに聞く。
「いえ・・・今回のエリカ殿の事は異例・・なんですよね?」
「・・・・・・少なくとも私は知らないわ。
女性は結婚や妊娠をしたら仕事を辞める事が大半ね。
もちろん、出産時は休むけど、ずっと働いてくれている方もいるわ。
でも、そもそも町に夫婦で住んでいるのよ。
エリカさんとタケオさんみたいに夫婦で別に暮らしているなんて・・・高位の文官ではないわ。」
エイミーが言う。
「ふむ・・・難しいですね。
でもウィリアム叔父上達の決断は、家としても良い事なんですよね?」
「それは・・まぁ、そうね。
もともとエリカさんはタケオさんの知り合いで、そこからの紹介のような形なのよ。
第3皇子一家は、エリカさんとタケオさんでやり取りをするだろうから、そこから何か政策関係に反映できれば良いと思ってもいて採用しているのよ。
もちろん、それがなくてもエリカ殿の能力が高いから普通に相談役として採用されていたかもしれないけどね。
で、第3皇子一家は、エリカ殿の席を用意していて、いつまでも第3皇子一家に在籍しているという事実を用意しておいて、エリカ殿が他の家に行くことを防止すると共に、恩を売ることで、『政策関係で今後も第3皇子一家の為に働いてね』とした訳よ。」
「・・・うーん・・・他領に居て仕事をさせる・・ですか?」
アンが考えながら言う。
「うん?アンは何かあるの?」
「いえ、今、何かはありませんが・・・そういう働き方もあるんだなぁと。」
「働き方?」
「はい、仕事をするにしても住んでいる事が条件ではないというのが新鮮だと思ったんです。
あ・・でも領内で見ると領都で文官が各町に指示しているのと変わりないですね。」
アンが言う。
「ふむ・・・確かにそうかもね。
今回のエリカさんのは、それを大きく解釈しているという風に捉えられるわね。」
「はい・・・ふむ・・・そういう考え方は表面化していないだけなのでしょうね。」
「仕事場と仕事を実施する場所が違うという事ね・・・さっきの地方領の文官がそうであるように、例えば・・そうねぇ、地方で作った物を王都で販売するというのもある意味、その考えに近いかもね。
物を送るか、報告書を送るかの違いだけというだけね。」
エイミーが考えながら言う。
「うーん、他にも色々とありそうですよね。」
「あるかもね。
ふむ・・・良い悪いとは言えないか。
これからその辺も考えていかないといけないかもしれないわね。」
「そうですね、エイミーお姉様。」
アンが頷くのだった。
------------------------
王都の城門近くの森の中。
「グルゥ。」
ホワイトドラゴンが軽く準備運動をしている。
「では、ビエラ、気を付けてね。」
スミスが言う。
「グルゥ。」
ホワイトドラゴンが頷き、飛び、森の上空を一周してエルヴィス侯爵領の方に飛んでいく。
「ふぅ・・・これは重労働だね。」
「これをジーナ様は毎回していたのですね。」
スミスの呟きにヴィートが答える。
「だね。
これを・・・ね。
1日1回という訳でもなく、何回も来る事もあるね。」
「なるほど・・・これは鍛えないといけませんね。」
ヴィートが言う。
「そうだね。
まずは僕のお付の仕事と並行して、マリとの訓練に参加していかないとね。
それとビエラ達の迎えと見送りをしていく事だね。」
「はい。」
「その次は自分の意見を持つことだけど、それは今の王立学院の勉強をしつつ、他の知識を学ばないとね。」
「そうですね。
王立学院の勉強と政策の事、軍事の事も学ばないといけないですよね。」
「商売もだし、領民の生活も知っておかないといけないよね。」
「・・・施政者って大変なんですね。」
「これが僕が継ぐ仕事だからね。
まぁ、ヴィートは仕事を熟しつつ、自分の考えを持つ事を始めてみると良いかもね。
・・・考えを言うのではなく、持つ事を・・・だからね?」
「はい、スミス様の意見と違う事を言う訳にはまいりません。
報告されている事を聞いて、気になった所を後でスミス様に相談すれば良いのですね?」
「うん、それでお願いね。
自身の考えを口にするのは、責任が伴ってしまうからね。
ヴィートは僕のお付きだから、何か発言をしたら、僕の意見になってしまうかもしれないからね。
他人の目がある時は、口にせずに居てくれるとありがたいね。」
スミスが言うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




