第3586話 ジーナから各協力工房(ハワース商会)からのクレームを聞きましょう。(エリカ、仕事か家庭か、悩む。)
研究所の3階 所長室。
ステノ技研に行っていた武雄とジーナは所長室で打ち合わせをしていた。
「以上が、アスセナ殿と挨拶に行った際の各協力工房の話です。」
ジーナが協力工房との話を終える。
「・・・ハワース商会に少々負担をかけ過ぎましたか。」
武雄が腕を組んで天井を見る。
「ですが、あくまで一旦停止のご依頼ですので、人員が揃えば新規受付をしてくれるとの話でした。
ここで他の工房に違う事を任せるのもハワース商会の印象が悪くなるかと。」
「そうですね。
今している事をハワース商会の方で他の業者に任せてしまえば良いという案と職人を数名独立させて、そこに任せてしまうという案もありますが・・・
そこを人員の採用と整理をして乗り切るというのですから見守るしかないですね。
まぁ、自分達でするのなら部署を増やすという事なんでしょうけども。
ジーナ、他は?」
「ラルフ様の仕立て屋にてダウンコートが家として納入されていると伺いました。
アスセナ殿からは個人として買って、使用していると聞いています。
家に納入されたのは使用していないとの事でしたが、何か意図があるのですか?」
「??そうなのですか?
私は使っていると思っていましたが、使って良いですよ?」
「はぁ・・・まぁ、お父さまに聞いて使用します。」
ジーナが生返事を返す。
「メイド服や制服等で仕事をして貰っていますから上着も決めても良いかもしれませんが、個人で暑さ寒さの感覚が違いますからね。
個人にあった上着を着ていただいて構いませんよ。」
武雄が言う。
「ふむ・・・あ、それに体格が子供が多いですから、納入されたサイズでは足らないのかもしれませんね。」
ジーナが思い出して言う。
「それもあるかもしれませんね。
まぁ、上着の件は家のを使っても良いですし、個人で買ったのを着ても構いませんよ。」
「はい、わかりました。
ステノ技研の方から伸縮式警棒の獣人用の改良版が出来るとの事です。
ご主人様の方で一度、内容のご精査をお願いします。」
「わかりました。
こちらから内容を問い合わせて、確認したら話し合いましょう。」
「私の方からの報告は以上です。」
ジーナが言う。
「はい、ご苦労様でした。
ヴィクターは外ですから、自分の席に戻ってマリスさんと話でもしていなさい。」
「はい、失礼します。」
ジーナが所長室を退出していく。
「さて、さっき渡された企画書を確認しますかね。」
武雄はアスセナの企画書を取り出すのだった。
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エルヴィス侯爵邸の客間。
アリスとエリカが話し合いをしており、ビエラ達は、のほほんとお茶をしていた。
「・・・どうしますか?」
「うーん・・・」
アリスとエリカが悩んでいた。
「私としては、エリカさんもエリカさんの子供も私達と一緒に過ごして欲しいと思っています。
異母兄弟ではありますけど、家族ですし、何かあれば私達で対応出来ますし。」
「それはわかるんです。
私も出来れば、皆で過ごしたいなぁとは思うんです。
でも、今、第3皇子一家の仕事があるのですよ。
中途半端に投げ出せないと考えています。」
エリカが言う。
「確かに、お仕事として卸売市場がありますし、あれは他人に任せるのは難しいかもしれませんね。」
「用地買収まで終わっていて、異動が終わったら、地元の方々と小さい規模で試験してみようという話までなっているのです。
本格運用は3年後の予定になっています。」
「ふむ・・・道半ばですか・・・」
「子供の事を考えるとエルヴィス家で過ごした方が良いのはわかるのですよね。
かといって、第3皇子一家の目玉政策の企画者が抜けるというのも・・・」
エリカが考える。
「確かに、王城が注目しているんでしたよね。
ふむ・・・難しいですね。」
アリスも考えながら言う。
「どうしたものですかね・・・」
「うーん・・・」
エリカとアリスが考える。
「パナちゃんから聞いたけど、第3皇子一家は、エリカの精霊のペイトー、ヒナの精霊のパイディアー、アルマの精霊のクロートー、レイラの精霊のラケシスが揃っているんだって?
安全な出産が可能だよ。
ま、超安全はここなんだけど。」
チビコノハが言う。
「うーん・・・ウィリアム殿下達と話さないと何とも言えないですね。」
「アリス、エリカ、届けようか?」
ビエラが言ってくる。
「ふむ・・・レイラお姉様に連絡を入れるか。
ちなみにエリカさんとしては、どうしたいの?」
「うーん・・・育児のお休みを頂いて、2年後に赴任というのはどうでしょうか。
あー、でも、もう文官に移管して、工程や困りごとがあれば手紙で相談を受ける形でも良いのかなぁ。
異動というタイミングで私が退いても良いかもしれないし・・・うーん・・・」
エリカが考えながら言う。
「ふむ、領地に行くにしても出産後2年はこっちで過ごし、その間は文官で対応、何かあれば相談を受け付けると・・・このままこっちで良さそうですけどね。」
「うーん・・・悩みます。」
アリスの言葉にエリカがガックリとするのだった。
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