第3583話 倉庫内での受入れ確認作業は終わりました。(アスセナ案で開催決定。)
倉庫内ではリスト通りに並べられ、ジーナとヴィクターの私物だった物の前に「売約済み」の札が貼られていた。
「とりあえず、私達がわかるような大きい傷や破損はないようですね。」
武雄が並べられた品々を見ながら言う。
「はい、あとは・・・アスセナの企画書が通れば、配置し直して終わりです。」
ヴィクターが言う。
「キタミザト様、こちらが展示即売会の企画書になります。」
アスセナが武雄に冊子を渡す。
「はい、ありがとう・・・えーっと、お金関係は後々見るとして・・・配置関係はっと。」
武雄が冊子を捲りながら言う。
「・・・」
アスセナが緊張した面持ちで武雄を見ている。
「ふむ、ヴィクター案とは違って、大物のソファや家具が並び、宝石、小物類、衣服類となると。」
武雄が冊子を見ながら言う。
「はい、業者と一般の客が入りますので、この流れの方が良いかと。
基本はその流れで一連を見る事とし、前の陳列物を見たいのなら最後まで行った後に最初に戻るとしました。
途中で流れが止まらないようになると考えています。」
「また、イーリー様にお願いをし、この街のハワース商会とラルフの仕立て屋、宝石商店、家具屋、大工等に声をかけ、品定めと修理の有無を調べて頂くとともに、展示品が少ない場合の補填も各社にて検討いただける運びになっています。」
ヴィクターとアスセナが言う。
「ふむ・・・会場はここですね?」
「はい、この倉庫の半分を使います。
各展示種類への仕切り壁はハワース商会の耐火板を使用します。」
アスセナが答える。
「なるほど、で、絵で描かれている、この経路で・・うん?最後に商店ブースと書いてありますが?」
「はい、今回、イーリー様が声をかけた商店および工房の費用は発生しておりません。
代わりに各商店、工房の商品展示のスペースを確保する事で合意しております。」
アスセナが言う。
「なるほど・・・贔屓の客以外に自分達の商品も見て貰えるし、同業他社や異業種の方々にも製品をアピールして売り上げにつなげようという事ですね。」
武雄が考えながら言う。
「はい、それとここまで他業種が出る展示会というものが初めてとの事で皆さん楽しみなようです。」
ヴィクターが言う。
「・・・ラルフさんが一番意気込んでいそうですけど。
そういえば、ラルフさんの店にジーナ達は行きましたが、このことは何か言っていましたか?」
「いえ・・・特には。」
「この話があったのはイーリー様の雑貨屋ぐらいです。」
武雄の問いにジーナとアスセナが言う。
「ふむ・・・準備万端なのかな?
まぁ、向こうから話がなければ、あとはお任せでしょうね。
概ね、わかりました。
配置や各種業者への協力等々は今の説明通りで良いでしょう。
このまま進めてください。
あとは、研究所に戻って確認します。」
「「ありがとうございます。」」
ヴィクターとアスセナが頭を下げる。
「では、ジーナ、帰りましょう。
ヴィクター、アスセナ、各調整も含めて頼みます。
ま、少々の失敗はしょうがありません。
まずは実施しましょう。」
「「畏まりました。」」
ヴィクターとアスセナが頷く。
「では、行きましょう。」
武雄とジーナは倉庫を退出するのだった。
・・
・
武雄のいなくなった倉庫では。
「良かったですね、アスセナ殿。」
「キタミザト様に了解貰えましたね。」
エルヴィス家の経済局の文官達がアスセナを労っていた。
「はい、ありがとうございます。
皆様のおかげです。」
アスセナが頭を下げる。
「いえいえ、皆で考え、皆で出した方法です。
さて・・・キタミザト様に了承は得られました。
予定通り、これから各商店および工房の方々を呼びます。」
文官が言う。
「はい、少し遅くなりましたが、予定通りに今日中に確認をして貰いましょう。
イーリー様に連絡をお願いします。」
「了解しました。
数人を行かせましょう。」
「「「行ってきます。」」」
文官が小走りに走っていく。
「では、残りで各商品に値札が付いていないかの確認をもう一度行いましょう。
先ほど、商品を降ろした際に値札があった物については、リストの横に記載を実施しているとは思いますが、確認だけで外すのを忘れているかもしれません。
各業者方には主が購入した際の値札は外し、先入観なく公正な目で商品を見て貰いましょう。
よろしくお願いします。」
「荷下ろしの際に使ったリストは回収させていただきます。
代わりに新しいリストをお配りします。
そのリストを見ながら各社の査定を見守ってください。
値付けされていた物とこの地の業者に値付けされた物については、後日、報告書にて両方記載した物を添付いたします。
今後の輸出入に関しての資料にもなります。
よろしくお願いします。」
ヴィクターとアスセナの言葉にエルヴィス家の文官達が動くのだった。
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