第3582話 荷下ろし開始。(ジーナが何か見つけました。)
幌馬車が数台倉庫に入ってくる。
経済局の文官達が幌馬車を誘導し、停めると荷物を降ろして、並べ始める。
ヴィクターとアスセナは並べられた物とリストを見比べ、数字が書いてある紙を貼っていく。
武雄とジーナはその様子を端から見守っていた。
「・・・・・・・・・」
ジーナが机に置かれている物を遠目ながらジーっと、目を細めて見ている。
「大物も小物もありますね。」
武雄が並べられているのを見ながら言う。
「・・・ご主人様・・・シモーナ叔母様に何と言って来たのですか?」
ジーナがジーっと机の物を見ながら言う。
「・・・確か『見栄えの良い壺とか絵画とか小物とか・・とか買い取ります』と言った気がします。
金貨2000枚を置いてきましたよ。」
武雄が言う。
「・・・そうですか。
金貨2000枚をポンっと出せるのが、まずおかしいのですが・・・今は良いです。
ご主人様、あれを近くで見て良いですか?」
ジーナが先ほど見ていた物を指しながら言う。
「良いですが、売り物なので触って良いかはヴィクター達に確認しなさい。」
「わかりました!失礼します!」
ジーナがヴィクターの所に小走りに向かう。
「・・・ジーナは私物がわかったのでしょうかね。
まぁ、何でもかんでも送るとは思えませんが・・・あの感じだと何か見られたくない物があったか、入っている箱でもあったのか・・・
あ、そういえば報奨金の代わりに現物支給でも良いと言いましたけど、皆に報奨金を出しちゃいましたね。
・・・今回はヴィクターとジーナには買い取りをして貰うか。
皆よりも早く選ばせてあげるのが良いかもしれませんね。」
武雄が考えながら言う。
とジーナがヴィクターの許可を貰ったのだろう、先ほど見えていた所に行き品物を手に取り確認をし始める。
「・・・真剣に見ていますね。
並べてもいますし。もう少しかかりますかね。」
武雄はその場で並べ終わるのを待つのだった。
・・
・
「ご、ご主人様・・・その・・品物を先んじて買いたいのですが・・・」
品物を見終わったジーナが武雄に言ってくる。
「良いですよ。
と、ヴィクター達も終わったようですね。」
武雄が言うとヴィクターとアスセナがやってくる。
「失礼します。
主、リスト通りの物が入っております。
この後、エルヴィス家の文官と一緒にリストの順番に並び替えます。」
ヴィクターが言う。
「はい、わかりました。
でも、アスセナさんが企画しているはずの展示即売会の通りに並び替えても良いですよ?」
武雄が言う。
「まずは順番通りに並べておけば、後に展示即売会の支度でも並べやすいと思いますので実施します。」
ヴィクターが言う。
「わかりました。
ヴィクターの考えた通りにしてくれて構いません。」
武雄が頷く。
「はい、では、実施します。
で・・・ジーナ。」
「はい!お父さま!欲しい物があります!」
「ほぉ・・・シモーナが見繕ってくれた物ですが・・良い品がありましたか?」
ヴィクターがわざと知らないかのように聞く。
「はい!私の私物がありました!」
ジーナが言う。
「ほぉ・・・主、どういたしましょう。」
ヴィクターが顔を向ける。
「うーん・・・一応、買い取り品なので社員割引という事で格安で対処しましょうか。」
武雄もわかっているが、施すのではなく、あくまで買い取りという商売の一環として対処する事を指示する。
「そう・・・ですね。
わかりました。」
ヴィクターが頷く。
「シモーナさんが先代領主関連の物を買い取ったという事でしょう。
ヴィクターとジーナの事は知っているのです、それもあって送ったのでしょうね。
まぁ・・・あって良かったですね。
ジーナの物があったという事はヴィクターの物もありますかね?」
「物を見てみましょう。」
「シモーナさんの事です、ヴィクターとジーナが持っておいた方が良い物を選んでくれているのでしょう・・・何か目印でもありそうですね。」
武雄が言う。
「ええ、シモーナならやりかねません。
シモーナからの手紙を再度確認し、何かヒントが隠されていないかを確認します。」
ヴィクターが「実は目印があるんです」と言い始める。
「まぁ、売り物ですから、大事に扱ってくださいね。」
武雄が言う。
「「「はい。」」」
3人が返事をする。
「で、ジーナ、どれを買いたいんだ?」
ヴィクターがジーナに聞く。
「こっちになります。」
ジーナが案内するのだった。
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