第3580話 イーリーの雑貨屋で話し合い。(展示即売会の企画を通さなくては。)
ジーナとアスセナはイーリーの雑貨屋に来ていた。
「「いらっしゃいませ。」」
セレーネとルアーナがジーナに挨拶する。
「アスセナ殿、2人居ますが?」
「私とセレーネ、ルアーナはキタミザト様が購入してきた物品を売っています。
ここで注文が多くなれば、輸入に繋がるという訳です。」
アスセナが言う。
「なるほど・・・ご主人様が気ままに買ってきた商品で協力工房で扱わない物をここで一般に売っているのですね。」
「ご理解が早くて何よりです。
セレーネ、ルアーナ、売れ行きはどうですか?」
アスセナが聞く。
「あまりですね。
品ぞろえが悪いのかもしれません。」
「今日、ブリアーニ王国からの輸入品が届くのですよね?
そうすれば、売れ行きは良くなるのではないですか?」
セレーネとルアーナが言う。
「今日の午後、到着でしたね。
ですが、あれは展示即売会をするという話になっていますから、ここでの取り扱いは、そのあとになりますよ?」
アスセナが言う。
「「そうでしたー。」」
セレーネとルアーナが苦笑しながら言う。
「アスセナ殿、展示即売会とは?」
ジーナがアスセナに聞く。
「キタミザト様が魔王国からの出張からの帰宅途中にシモーナ様の所でファロン子爵領の異動に際して領民から不要な物を現金化する為の資金を援助したとの事で、その買取した物が届くのです。
キタミザト様より、領内・・・この街の皆に見て欲しいというのと、販売に繋がればとの事で展示即売会を企画するようにと指示を頂いています。」
「・・・ふむ、中古品を持ってくるという事ですね。」
ジーナが考えながら言う。
「はい、イーリー様がハワース商会とラルフの仕立て屋、宝石商店、家具屋、大工等に声をかけ、品定めと修理の有無を調べてくれます。
今日は、その前準備で商隊からの受取です。
配置関係は、これからキタミザト様に提案、了承を得ないといけないのですが・・・」
アスセナが言う。
「展示即売会は実施することは決まっていて、どう見せるのか、どう売るのかは、これからなのですね?」
「はい。
何よりも他国の品という事で目新しさで来場者は多いとも考えられますし、中古品という事で来ない事も考えられます。
どうしたらいいのか・・・書き終えた今でも悩みます。」
アスセナが言う。
「それは・・・悩みそうですね。
キタミザト家として実施するとなれば、失敗は出来なそうですが、ご主人様の事です。
あまり売れなくても問題ないと言っていそうです。」
「確かに『必ず売れ』という話にはなっていませんね。
分け隔てなく皆が見れるようにと言われています。
とはいえ、売り上げを上げたいものです。
キタミザト様には販売員としての能力を見て、私を雇用していただいているので、ここで力を発揮しないといけないと考えています。」
アスセナが言う。
「ふむ、意気込みはわかります。
・・・とりあえず、その企画の配置方法は後日わかるという事ですが、今日、荷物が届くのですか。」
ジーナが言う。
「ええ、私とヴィクター様とジーナ様とキタミザト様で受け入れ時の検品をする事になっています。」
アスセナが言う。
「そうなのですね。
ちょっと問い合わせますね・・・ふむ、ご主人様の精霊から私も参加となっていると伝えられました。
それと14時半にご主人様とアスセナ殿と一緒に経済局に行くようにとの事です。」
「わかりました。
では、午後のスイーツを見繕ってから、研究所に戻りましょう。」
アスセナが頷く。
「来て早々、もう帰るので?」
イーリーがやってくる。
「はい、ここの商品はわかっていますので。
あ、こちらが王都より戻られたジーナ様です。」
「ジーナです。
よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。
お噂は聞いております。」
イーリーが会釈しながら言う。
「・・・噂・・ですか?」
ジーナが首を傾げる。
「ええ、キタミザト様とアリス様の愛弟子と。
良く動くのは師匠譲りだからですか?」
イーリーが言う。
「私の性分のようなものですし、この街に居た1年前は動ける部下は私ぐらいしかいませんでしたので。」
ジーナが言う。
「それもそうでしたね。
そんなキタミザト家には、今や多くの人員がいらっしゃいますね。」
「ご主人様がどんどん雇用しますので。
皆が皆、成長過程にいると考えております。
なので、皆さまには温かく見守って欲しいと考えています。
それはそうと、先ほど展示即売会の事を聞いたのですが、ご準備はいかがですか?」
ジーナが聞く。
「参加者の了承は得ていますし、参加する者達と『堅実な査定をする』という文書を交わしています。
あとは実施日の確定のみです。」
イーリーが言う。
「・・・アスセナ殿の企画が通れば、ですね。」
ジーナがアスセナを見る。
「・・・早く、通せるように頑張ります。」
アスセナが難しい顔をさせながら言うのだった。
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