第3577話 ハワース商会で人手不足の話になる。(仕事が出来るのなら種族なんてあまり意識しないのです。)
ジーナとアスセナがハワース商会に来ていた。
すぐに奥の応接室に通され、モニカ達と打ち合わせになったのだが。
「・・・あの・・何かあったのですか?」
ジーナが重々しい雰囲気を察して、モニカに声をかける。
「いえ!なにも!」
モニカが姿勢を正して言う。
「??・・・アスセナ殿、何かあるのですか?」
ジーナがアスセナに顔を向ける。
「・・・いろいろとお願いしていますから。
どれも売り上げが良いそうです。」
アスセナが苦笑しながら言う。
「あー・・・ありがとうございます。」
ジーナが頭を下げる。
「いえ!仕事を頂いているので!ですが!これ以上はちょっと待って欲しいというのが本音で!」
モニカが言う。
「ここで少し、一息入れて整理します。
もちろん縮小という整理ではなく、皆が動きやすいようにです。
ですから、その調整が終わるまで、新しい事は控えて頂けると・・・それが終われば、新しい事も出来るようになるはずなので、キタミザト様には、ちょっと待って欲しいと言っていただけますでしょうか。」
モニカの父親が言う。
「・・・はい、ご主人様にお伝えはします。
とはいえ、どれが多くなっているのですか?」
ジーナが聞いてくる。
「全部です。」
モニカが間髪入れずに言ってくる。
「ぜ、全部なのですか?」
「はい、鉛筆とチョーク、消しゴムは王城と王立学院から定期的に買われています。
黒板は王城から特注が多いです。
将棋は王都から、リバーシは王城からの注文が多いです。
SL液で作った内装用の耐火板は、徐々に認知され、取り扱いが増えていっていると同時に大量に一気に出て行っています。
富裕層を相手の木彫り各種とペナントの原板作りも試作を始めています。
これにエルヴィス家の屋敷改修工事の話があって、他にも南町関係で村が出来たという事で本業の家具関係も盛況で、これから東町でも開発があるような話もあって・・・いっぱいです!」
モニカが言う。
「・・・ふむ、わかりました。
ご主人様に伝えます。」
ジーナが頷く。
「ちなみに職人の方で獣人の方が就職されたと伺ったのですが。」
「ジンゴロさんとタンユさんですね。
腕の良い職人です。」
モニカが言う。
「私が言うのも変ですが、異種族雇用をされて何か問題はありませんか?」
ジーナが聞いてくる。
「特には・・・むしろ身構えていた感があります。
雇ってみたら種族なんて関係ないという事がわかりましたね。」
モニカが言う。
「まぁ、あとは種族的に配慮が必要な工程作業というものがあるというのはわかりましたね。」
モニカの父親が言う。
「配慮が必要な作業ですか?」
「ワニスや塗料といった塗る系の作業です。
本人の器用さで作業は問題ないのですが、どうしても手や顔、頭に少々飛びます。
獣人ではそれが固まってしまって、毛が・・・なので、飛んでも良いように、頭を通常よりも大きい布で覆ったり、肘部分まである手袋を特注で作り、使用させたりしています。」
モニカの父親が言う。
「なるほど。
それを使えば、獣人でなくとも広範囲を塗料から守れるという事ですね?」
「ええ、その通りです。
事実、あの2人用に作ったのを他の者にも使わせたら好評でした。
ですが、どうしても少し単価が高くなるので、どうしたものかというのが今の悩みで、簡単に価格に反映させて良い物なのか、どうか・・・
ま、それはこちらの話です。
他にも用具等で改善したら良い物があったらしていきます。
なので、次の応募がある時は種族関係なく採用は約束出来るでしょう。」
モニカの父親が言う。
「そうですか・・・それは良い話ですね。
他にも異種族を雇用しようという所はあるのでしょうか?」
ジーナが聞く。
「キタミザト様の協力工房一同は通年で採用を実施する話になっていますよ。
ラルフさんの所は異種族向けの衣装が作れないかと考えているようです。」
モニカが言う。
「後は酒場で募集していたが・・・まぁ、少しずつという所でしょう。
それに、それを目的に見ていないから、昔から募集していて、私達が気が付いていないだけかもしれないです。」
モニカの父親が言う。
「まぁ、少なくともキタミザト家の存在は大きいでしょう。
アスセナ殿や子供達と言った、目に見えて異種族とわかる風貌を採用していると皆が認知していますからね。
上の者が率先して採用しているのであれば、採用をしてみようという動きになりますよ。」
モニカが言う。
「そうですか。
少しでも偏見なく、能力で採用されるようになれば嬉しいです。」
ジーナが言う。
「ジンゴロさんとタンユさんと同じくらいの腕なら即採用ですよ。
むしろどうやって、そういった方々に認知して貰うかを考えないといけないと思っています。」
モニカが言うのだった。
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