第3574話 次はステノ技研へ。(武雄はヴィクターに知恵を借りたい。)
ジーナは次にステノ技研に来ていた。
「ははは、伸縮式警棒が役に立ったようでなによりです。」
ブラッドリーが言う。
「はい、使い勝手も良く、思うように振り回せました。」
ジーナが言う。
「ジーナ殿、持ち手部分の意匠はどうですか?
革とか布とか巻いた方が良いですか?」
べインズが聞いてくる。
「いえ、今の所、そういう物と認識していますが・・・巻くと感触が変わりそうですね。
何種類か試作してみて、ラインナップに加えてみてはどうでしょうか?」
「あれですね。
基本は今のまま、追加として、革や布を巻くようにすれば良いかと。」
ジーナとアスセナが言う。
「ふむ・・・今後の商品に生かしましょう。」
べインズが考えながら言う。
「あ、そうだ。
ジーナ殿、魔法刻印のラインナップが増えましての。
色々出来るようになりましたよ。
少々、高額ですが、ジーナ殿達獣人の方でも武器と衣服の強化は出来るようになると考えております。」
ボイドが言う。
「え?本当ですか?
身体強化と自身向けの魔法のみ指輪を着ければ出来るだけかと思っていました。
事実、ケアの指輪は使用できていますが・・・服にも出来るようになるのですか。」
「ええ、研究所のノット殿が講師で教えて頂いているのですが、その中で何種類か併用する事で可能になりそうですよ。
ですが、少々手間がかかりますし、刻印が出来る物となるので、値段が張りますがね。
まぁ、私達の知り合いはジーナ殿達キタミザト家の方々なので、そこが望めばですし、今の所、必要とされておりませんでしたから売り込みもしていなかったため、力を入れていませんでした。」
ボイドが言う。
「ですが、武闘派のジーナ殿が戻って来たので、必要になりそうという事で今日、声をかけました。」
サリタが言う。
「・・・武闘派?・・・私がですか?」
「はい、何でも王都の御前仕合に勝ったと聞きました。
それに私達がエルヴィス家領地に向かっている道中でヴィクター殿と一緒にオーガを倒していたのを見ていましたからね。
メイドさんが戦う事はないとは思っていたら王都の大会で優勝したと聞いて、『武闘派なメイド』なんだなと思いました。」
サリタが言う。
「・・・」
ジーナが何とも言えない顔をする。
「まぁ、ジーナ様はそつなく何でも熟しますので、『戦闘も熟せるメイド』ですので。
むしろ、装備が充実するという事でしょう。」
アスセナが言う。
「・・・ご主人様に聞いてみますので、どういう効果があるのか教えてください。」
ジーナが聞くのだった。
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研究所の3階 所長室。
「外交局長からの『魔王国打倒を宣言し、アズパール王国に協力するように要請を出す』という真偽不明の噂話ですが・・・これ、ヴィクター殿、どう思いますか?」
マイヤーがヴィクターに聞く。
「片腹痛い・・・と笑い飛ばせたら良かったですね。」
ヴィクターが言う。
「ダニエラさんが、これ幸いにと嬉々として『良い口実だ』と戦争に傾く事も想定しましたよ。
まぁ、デムーロ国との一戦で戦争準備の基金は減っているようですが。
とはいえ、魔王国にとって悪い口実ではないのですよね。」
武雄が言う。
「所長が外交局長達に言った最悪の想定・・・双方からの協力要請は考えておかないといけない事でしょうね。」
マイヤーが言う。
「ですが、主の結論でアズパール王国だけが不利益を被ります。
そうなってはいけないでしょう。
とはいえ、現状も一部をアズパール王国内へ、ウィリプ連合国の兵士を誘い込み、追い立てて負かすという方針があるので、魔王国からの協力要請は受諾出来ると思いますが。」
ヴィクターが言う。
「・・・そうですが・・・いや、想定が変わってしまいますね。
名目上、我が国単体で相対すれば、人間至上主義を謳う国家なのですから、我が国の国民に対して表立っての差別はないでしょう。
ですが、魔王国と共にとなるとウィリプ連合国からしたらアズパール王国も魔王国の一部という見解になり、我が国の国民は、捕らえられれば問題なく奴隷落ちにさせる事が可能になるでしょう。」
マイヤーが言う。
「ふむ・・・確かに。
という事は、主は魔王国に喧嘩を買わせない様にしないといけないという事ですね。」
ヴィクターが考えながら言う。
「そうなりますね。
なので、外交局長達に言いましたが、『魔王国に報告して感触を確かめる』という方針になっています。
良い方の交渉結果は義勇軍2個大隊より多い増派、悪い方はウィリプ連合国と魔王国の戦争に巻き込まれるという所です。
何とかして、悪い方には行かせない話の流れを作らないといけません。」
武雄が言う。
「・・・もうすぐ、ダニエラ様が来られますね?」
「ええ、なので・・・ヴィクター、どういえばダニエラさんの機嫌を損ねずに良い方向に持っていけますかね?」
武雄がヴィクターに聞くのだった。
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