第3573話 ベルテ一家とジーナの雑談。(ビエラとニオの雑談。)
挨拶回り中のジーナはというと。
研究所内での挨拶を終え、今、ベルテ一家の所にやって来ていた。
「早いもので、もう1年ですか。
ジーナ殿に最後に会ったのは随分と昔にも感じますが、お互いに良い1年でしたね。」
ドナートが言う。
「はい、私とお父さま、ベルテ一家の皆さんとアスセナ殿は、ほぼ同時期の採用です。
同期の間柄です。
皆さんがお変わりなく過ごされていると私は安心します。」
「ありがとうございます。
私達もヴィクター殿とジーナ殿が居てくれると安心します。」
ドナートが言う。
「はい。
ですが、報告で見ましたが、随分と当初に比べて栽培する物や加工する物が増えるようですね。」
ジーナが聞いてくる。
「ええ、当初は米がメインで他の作物や高性能肥料の試験だけだったのですが、味噌と醤油、どぶろくの試験製造と黒酢の試験製造、これからは紅甘の栽培指導にゴボウと蕎麦の試作、蕎麦を使った酒の試作が始まります。
それとキタミザト家、エルヴィス家の従業員用の共同住宅の管理も始まりますね。」
ドナートが言う。
「ふむ・・・アスセナ殿、ご主人様からお酒に関して何か出ていますか?」
「はい、まずは決まった事としてですが、現在ウォルトウィスキーを製造しているウォルトワイナリーですが、あちらで新しいお酒、『ビール』を作ってもらう事になっています。
対して、ベルテ一家では蕎麦を使った、『蕎麦焼酎』という物を作る事が決まっています。
そしてキタミザト様がベルテ一家に小型蒸留器セットを持ち込まれ試作を開始します。
ゆくゆくはこの街で蕎麦焼酎専用のワイナリーと委託契約し、ベルテ一家が味と品質の管理を実施するとなっています。」
アスセナが言う。
「ふむ・・・ベルテ一家の役割は農業においては試験栽培と栽培方法の確立ですか。
農業はエルヴィス家の管轄ですので・・・収支の方は蕎麦焼酎のワイナリーになりそうですね。
あ、でもワイナリーということはロー様の所と合意がされているでしょうから、直接の収支はないか・・・」
ジーナが考えながら言う。
「ジーナ様、その辺は戻ってからヴィクター様にお聞きした方が良いでしょう。
この場での話ではありません。」
アスセナが言う。
「そうですね。
とりあえず、ベルテ一家の仕事が山積みだというのはわかりました。」
ジーナが頷く。
「はは、そうですね。
当初から比べてやる事が増えました。」
ドナートが言う。
「ふむ・・・わかりました。
何か問題がありましたら言ってください。
対処します。」
「はい、その際はお願いします。」
「はい、また、落ち着いたら遊びに来ます。」
ジーナが席を立つ。
「はい、では次の所に行きましょうか。」
アスセナも席を立つと。
「あれー?ジーナ、帰るの?」
ジルダがやってくる。
「はい、今日は挨拶なので、また遊びに来ます。」
「うん、待ってるよー。
お菓子持って来てね。」
「ええ、持ってきましょう。
今日は何をしているのですか?」
「うん?ラー油作る準備しているよ。」
ジルダが言う。
「ラー油ですか?」
「うん、外に居たら小瓶を大量に持って来た人にあったよ。
なので、これからラー油作りなんだ。」
「製品化ですね。
冬季のベルテ一家の収入源として辛みの調味料の生産をし始めるのです。」
アスセナが言う。
「辛みの調味料ですか・・・ふむ・・・」
ジーナが考える。
「侯爵やアリス様達にも食べて貰ったよー。
販売して良いって。」
「まずは研究所の1階の喫茶店に入れます。
その際に各テーブルに出す小瓶なんです。」
ジルダとアスセナが言う。
「なるほど・・・食べてみて感想を言います。」
ジーナが頷くのだった。
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テイラーの魔法具商店。
ビエラとリーザ、クゥが遊びに来ていた。
「でね!ニオ、抜刀術教えて!
マリが向いているって言ったの!」
ビエラがカウンターでYシャツにサングラス姿のニオに言う。
「ふむ、エルヴィス家の子供達にテイラーが教えている時で良いのなら構わないが。」
「それで良い!
他の時はコーエンに上段からのを教えて貰うから!」
ビエラが頷く。
「ビエラ、上段からの打ち込みと踏み込んでの抜刀術で良いの?
ビエラ達ドラゴンなら習わなくても良いんじゃない?」
テトが言ってくる。
「んーん、人間形態で生活するには人間と同じようにならないとダメだよ。
いつまでも殴ってばかりだといけないって。」
ビエラがテトに言う。
「まぁ、基本となる上段と抜刀術なら大丈夫だろう。
どちらも万が一の対処で使うのだろうからな。
だが、我もそこまで専門家ではない。
基本的な事を教えるだけになるのだが。」
「基本大事!侯爵言ってたよ!
一番、重要な時は基礎をどれだけしてたかって!」
「うん、その意気は良い!
では、子供達の剣術の訓練の時にしよう。」
ニオが言うのだった。
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