第3572話 辞令の交付。(目標は焦らず速やかに仕事をしましょう。)
研究所の3階 会議室。
武雄、ヴィクター、ジーナ、アスセナが居た。
「辞令。
エルヴィス家次期当主スミス・ヘンリー・エルヴィスの王立学院のお付きを免ずる。
新たにキタミザト家総務部次長兼キタミザト家メイド長兼当主専属メイドに任命する。
タケオ・エルヴィス・キタミザト。
ジーナ、お願いしますね。」
「はい!」
武雄から辞令書をジーナが貰う。
「以上を持って、辞令交付を終えます。
総員、キタミザト様に礼!」
ヴィクター達が武雄に礼をする。
「ヴィクター、ジーナの役職が何個もありましたが、これで良いのですか。」
「小所帯ですので。」
「そうですか・・・あとは任せます。
必要になれば何かお願いするでしょうから、その際はお願いします。」
武雄がヴィクターに言う。
「畏まりました。
アスセナ、ジーナを連れて、キタミザト家従業員全員と研究所職員全員および関係工房と商店に挨拶をしてきてください。」
「畏まりました。
帰りに今日のスイーツを買ってきます。」
「ええ、お願いします。」
アスセナの提案にヴィクターが頷く。
「では、ジーナ様、参りましょう。
失礼いたします。」
「失礼します。」
アスセナとジーナが会議室を後にする。
「で?この後は?」
「私と主とマイヤー殿で打ち合わせです。
所長室でしましょう。」
ヴィクターが言う。
「はーい。」
武雄とヴィクターが所長室に向かうのだった。
・・
・
研究所の2階 研究室。
トレーシー、鈴音、ノット、パナがジーナの着任の挨拶を受けていた。
「ジーナ殿、お久しぶりです。」
「はい、スズネ様もお元気そうで。」
ジーナが言う。
「元気に毎日研究していますよ。」
「スズネは元気に毎日呑んでもいるがな。」
「あはは、それはそれです。
仕事はしていますよ。」
ノットのツッコミに鈴音が笑って答える。
「そういえば、伸縮式警棒を実践で使わせて貰いました。」
「あ、親方達から聞いていますよ。
王立学院で使用したと。
曲がりましたか?」
「いえ、大丈夫だったかと。
アリス様が念のために替えを用意してくださいました。」
「ええ、常にテイラーさんの所で販売しているので、すぐに買えるようにしてありますよ。
それにこの街の兵士方にも配備が始まっています。」
「そうなのですか?」
「はい、納入していますよ。
それと総監部の方にも納入計画がありますね。」
鈴音が言う。
「兵士方はわかりますが・・・総監部にですか?」
「はい、執事さんとメイドさん達用と伺っています、上着の内側に納められるようにホルスターを作っていましたよ。」
「そうなのですね。
でも、懐中時計に伸縮式警棒にと仕事が多そうですね。」
「うーん・・従業員もそこそこ増えましたけど、この研究所の事もしていて毎日忙しそうですね。
私は、それを見ながらここで研究していますが。」
「そうなのですね。
と思い出話が過ぎますね。
こういった話は、また後日で。」
「はい、またしましょう。
で、こっちがトレーシー研究室長で、こちらが同僚のノットさんです。」
「前に挨拶はしていますが、改めまして、研究室長のトレーシーです。」
トレーシーが首を傾げる。
「スミス様のお付きとして王都に向かう道中で挨拶をしたのが最後でしたが。
総監部次長のジーナです。」
「デムーロ国で拾われたノットだ。」
「報告は読んでおります。
同じような境遇から雇用されたジーナです。」
ジーナが挨拶を交わすのだった。
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研究所の3階 所長室。
武雄とマイヤー、ヴィクターが打合せという雑談をしていた。
「このジーナのまとめた物は私とマイヤー殿で清書して、ご提出します。」
ヴィクターがジーナが王都での議事録を取ったノートを見ながら言う。
「お願いします。
マイヤーさんからの報告は上がってきますか?」
「今、アンダーセンにまとめさせています。
少し時間はかかるかもしれませんが、報告は所長に回します。」
マイヤーが言う。
「お願いします。
まぁ・・・基本的には研究所としては何かある訳でもありません。
今進めている事を物にしていきましょうと言う程度です。」
武雄が言う。
「研究も試験小隊も報告出来る物を用意するように皆に言いましょう。」
マイヤーが言う。
「ですね。
一研が初級魔法の発動にかかる魔力量を1割減に出来る指輪の開発に成功しています。
二研も何か報告できるようにしたいというのが今年の目標になるでしょう。
とはいえ、成果を競ってはいませんので、確実な成果を望みます。
焦りはせずに遅延なく成果を出すようにしてください。」
武雄が言う。
「はは、焦らずに速やかにですね?
わかりました。
皆にそのように伝えます。」
マイヤーが苦笑しながら頷くのだった。
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