第3565話 エルヴィス爺さんも加わって歓談をしよう。(エルヴィス家側からの報告。)
夕食前のエルヴィス侯爵邸の客間。
仕事を終えたエルヴィス爺さんとフレデリックも加わり歓談をしていた。
「ふむ・・・タケオの出張は毎回、会議で大変じゃの。」
「エルヴィスさんも王城に行ったら会議ばかりだったのでは?」
「うむ、あれは大変じゃったの。
ジーナが段取りを付けてくれたんじゃがの・・・1日で終わらせる量ではなかったの。」
「詰めに詰めて、苦労を1日で終わらせました。」
ジーナが言う。
「うん、あまりやりすぎないようにね?」
「わかりました。」
ジーナが頷く。
「まぁ、わしは各局と話すにしても領内でやりたい政策の話をする程度じゃったからの。
タケオみたいに深くは関わらぬから相手も茶飲みがてらの歓談じゃったよ。」
エルヴィス爺さんが言う。
「私もそんな感じですよ。
終始にこやかに歓談してきました。」
武雄が言う。
「・・・」
ジーナは首を傾げるに留める。
「・・ジーナの仕草からは、そうは感じられぬがの?」
「では、訂正です。
私は楽しく話しました。」
「うむ、相手は冷や汗でもかいておったじゃろうの。
タケオの事じゃ、上手く運んだのじゃろう?」
「やりたい事を言って、買わせたぐらいです。
あ、ブリアーニ王国へのクロスボウの手紙ありがとうございました。
すぐに軍務局に引き渡しましたよ。」
武雄が言う。
「うむ、採用されそうかの?」
エルヴィス爺さんが聞いてくる。
「良い面も悪い面も説明しています。
ですが、『非魔法師でも使える飛び道具』という利便性は魅力的だと思います。
それに少々小遣いが入ったのですが、購入費用として、陛下が私に借金しました。
少々の利益が見込めます。」
「ふむ、陛下がの。
・・・借金は恐ろしい物じゃよ。
出来る限りしたくないのじゃが、わしもタケオに借金しておるからのぉ。」
「期間を延長してでも無理なく返済していただければ構いませんよ。」
武雄がにこやかに言う。
それを見ているジーナは「陛下相手とは全然違いますね」と思っていたりする。
「タケオ様、小遣いって何ですか?
陛下から巻き上げ・・・購入して貰ったドラゴンの革ですか?」
アリスが聞いてくる。
「違いますよ。
ウィリプ連合国側の貴族のお付きが少々、ジーナ達に種族差別的な暴言を吐きましてね。
授与式の日だったので、さっさと示談を提示して応じたのです。
で、その金額を陛下に貸してきました。」
武雄が言う。
「そんなことがあったのですね。
ジーナちゃん、大丈夫でしたか?」
「はい、私は大丈夫でした。
そもそもゴドウィン伯爵様と一緒に来ていた、ラウレッタとマヌエルに対しての暴言を私が中に入り、やり合った感じです。」
「ラウレッタちゃんとマヌエルが?
あの2人来ていたんだ。」
アリスが驚く。
「アリス様はお会いしていましたか?」
「ええ、タケオ様が子供達を救出した後にゴドウィン家で面通しをしています。」
「2人ともメイドと執事でしっかりと成長しているようでしたよ?」
武雄が言う。
「まぁ、授与式の際に連れてきたという事は、外に出しても大丈夫という事ですね。
うーん、ルフィナちゃん達を王城にはまだかなぁ。」
アリスが考えながら言う。
「ゴドウィン家で2人が私の陞爵を祝いたいからと言って、説得したそうですよ。」
武雄が言う。
「あー、そうなのですね。
うーん・・・怒れませんね。」
「怒るような事は、2人とも何もしていませんよ。
ま、久しぶりに2人を見て成長していた事の方が感動物ですよ。」
「私も会いたいですね。
随分と変わっているかもしれませんね。」
アリスが言う。
「ふむ・・・その辺の話は事後報告書が出てくるかの?」
「はい、ジーナが各局長との会談内容を中心に王城での事を書くと思いますので、回覧をそちらにも回しておきます。」
武雄が言う。
「うむ、わかった。
では、こちらの方は魔王国との慣例の戦争中に不法越境した奴隷商達をブリアーニ王国に引き取って欲しいと要請中じゃ。
ちなみにその時に保護したエルフの子供は兵士長の元で訓練をしておる。
まぁ、この間ちょっと問題が発生したがの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「問題ですか?」
「うむ、どうも、ルフィナとカーティアが買い物をしていて、カーティアが荷物番で店先で待っていたら、いきなり話しかけてきて、一方的に話して去って行ったそうじゃよ。
兵士長には報告済みでやんわりと注意するとなっている。」
エルヴィス爺さんが言う。
「ふむ、カーティアは無事でしたか?」
「うむ、何も危害は加えられておらぬということだったの。
エルヴィス家でメイド達の買い物方法を少し見直す事にしておる。
変更次第、適用するからの。
今回、キタミザト家から預かっている子供に対して、危害が加わりそうになり、すまぬ。」
エルヴィス爺さんが言い、軽く頭を下げるとフレデリックも頭を下げる。
「まぁ、カーティアも無事ですし、改善していくというのであれば、私は何も言いません。」
武雄が言うのだった。
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