第3561話 449日目 エルヴィス侯爵邸がある街に着きました。(パレードが準備されていたようです。)
エルヴィス侯爵邸がある街の裏城門近くの試験小隊の訓練場。
武雄達が到着していた。
「道中何事もなかったですね。」
武雄が背を伸ばしながら言う。
「本当に何もなかったですね。」
エリカも肩や腰を回しながら言う。
「んー?タケオ、西町で試食したよ?
あれは?」
ビエラが聞いてくる。
「特産品祭りで4町が競うテーマが『卵を使った食べ物』で、試作品を皆で食べましたね。
でも・・・あれは何事という括りではないような。
ビエラは、どれも美味しかったのでしょう?」
「うん!美味しかった!
一応、順番にしたけど・・・どれが出るんだろうね?」
「さて・・・そこは西町局長や皆さんが考える事ですよ。」
ビエラの問いに武雄が答える。
「そっか。」
ビエラが頷く。
「ビエラ殿が一番に口にしたのが、『野菜炒めの卵和え』でしたね。
私はビエラ殿なら『刻んだお肉と卵の炒め物』にすると思っていましたよ。」
「あっちも美味しかったねー。
僅差で野菜炒め!
ソースが若干甘くて辛かったから!」
ビエラがエリカに言う。
「確かに甘辛いソースでしたね。
タケオさん、再現出来ますか?」
エリカが武雄に聞く。
「製造方法はわかりませんので、まったくの一緒なのは出来ませんが似たような物はたぶんできますね。
タマネギをみじん切りにして、色が変わるまでバターで炒め、そこに堅魚節の出汁を少々入れて煮込む。
最後にウスターソースとトウガラシの粉を入れてお好みまで煮込む・・・ですかね。」
武雄が考えながら言う。
「あれ?タケオさん、砂糖は入れないのですか?」
エリカが聞いてくる。
「だねー。
タケオ、砂糖を入れないと甘くないよ?」
ビエラも言ってくる。
「手っ取り早く甘くするのなら砂糖でしょう。
でもタマネギ、ニンジンは時間はかかりますが、火を入れれば入れる程、甘くなるものです。」
「そなの?」
ビエラが首を傾げる。
「そうです。
ですが、弱火でコトコトと長時間煮込む事が条件です。
焼くではなく、煮込む事が重要です。」
「ふーん・・・タケオ、作って!」
ビエラが言う。
「うん、そうなると思いました。
まぁ、時間があったらね。
その内、ソースの作り方の本でも作りますか。」
「それ良いね!」
ビエラが頷く。
マイヤーが武雄達の元にやってくる。
「所長、準備が整ったそうです。」
「エルヴィス家からの指示ですから・・・催し物があるのでしょうね。
はぁ・・・人々が集まっているんでしょうね。」
「ですね。
致し方ありません、今世の侯爵家ですから。」
「それはエルヴィス家もですよ。」
「あちらは、もう実施したのでしょう。
エルヴィス家がして、同時に成ったキタミザト家が祝われないというのもおかしな話になるでしょう。」
マイヤーが言う。
「・・・ま、これ以上、陞爵しないので、これが最後としていきますか。」
「はは、そうですね。
陞爵では、最後でしょうね。」
マイヤーが言う。
「・・・・・・・・・次は何年か十何年後でしょう。
はぁ、なら、エルヴィス侯爵邸に帰りますか。
エリカ、笑顔を絶やさずに適当に手を振っておきなさい。」
「あ、平気です。
実家に居た時にやり慣れてましたから。」
エリカが言う。
「頼もしい限りですね。」
マイヤーが言う。
「全くね。
で、今回もケードさんが旗持ちで?」
「そうですね。
やはり、この街の出身者が旗を持ち、隊を先導するのは話題にはちょうど良いでしょう。」
「ケードさんのお母様には、余計な苦労を掛けてしまっていますかね?」
「まぁ、娘が王立の研究所の小隊の先導をするというのは誉れでしょうけど・・・
ケードを知る者達からは色々と言われるでしょうね。」
マイヤーが言う。
「まぁ・・・アリスと一緒に街を守った夫と魔法師専門学院を上位で卒業、王立の研究所の試験小隊に入隊し、戦果を挙げ、街に入る際の旗持ちをする長女ですよね。
・・・出来すぎな娘ですね!
ご近所から色々言われますね!」
「本が1冊出来そうですね。」
「あ、今度レイラさんに教えるか。
良い題材になりそうだし。」
「ケードに了承を取ってからしてくださいね。」
「はーい。
はぁ・・・・・・さ、帰宅しましょう。」
「総員騎乗!
街に入るぞ!」
マイヤーが全員に言うのだった。
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エルヴィス侯爵邸の客間。
アリスと天霧、ヴィクターと狭霧、リーザとクゥ、タマが居た。
「アリス、シグレから連絡です。
タケオ達が街に入ったそうです。」
天霧が言う。
「はい、わかりました。
ヴィクター、無事に戻ったようです。」
「はい、そのようです。
では、アリス様、私は玄関で主を待つことにします。」
ヴィクターが言う。
「お願いします。
・・・ヴィクター、ジーナちゃんとは約1年ぶりですが、泣いちゃいますか?」
「流石に1年では・・・まぁ、仕事に差し障りのない程度には、再会できた喜びを顔に出してしまうかもしれません。」
「泣いても良いですよ?」
「はは、それはまたの機会に取っておきましょう。
では、失礼します。」
ヴィクターが客間を出るのだった。
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