第3560話 445日目 王都を出立しよう。(あれ?アスカムさんが居る。)
第八兵舎の玄関。
武雄達が出立の準備を終えていた。
王都守備隊員や王都に残る試験小隊面々も見送りに来ていた。
「・・・ラックさん、お店があるのに、この時間に起きていて良いんですか?」
武雄が聞く。
「キタミザト殿が出立したら寝に家に帰りますよ。
白き妖精はお願いします。」
ラックが言う。
「わかりました。
一般の商隊か専売局等からの納品の帰りの便に乗せるかは分かりませんが送ります。
他にも欲しい物があれば言って下さいね。」
「なら、ウォルトウィスキーとウスターソースをお願いします。」
「ウォルトウィスキーは何とかしましょう。
ウスターソースは王都は配達圏外なので、私では何も出来ません。
あしからず。」
「ですね。
ウスターソースは入手が困難なんですよね。
製造元には催促がされているようですが。」
「私の方も、そうですよ。
増産に次ぐ増産で大変そうです。
私の方は『誘惑に負けないで、あくまで品質重視!』と会う度に言って品質は落とさないようにしています。
なので、流通量は、これから少しずつ増えるでしょう。
クリフ殿下達も何か対策や方針を示しているでしょうから、そのうち流通量が増えるでしょうから大人しく待っていましょう。」
「そうしますかね。
それと二研の総監殿から居残り組に第3皇子一家領までの街道情勢確認の依頼がなされているようですね。」
ラックが聞いてくる。
「さて?私は知りませんが、部下達が欲しい情報があるのであれば収集させてください。
各研究所と王都守備隊の権限は同じだったと思いますから、対処願いますね。」
武雄が言う。
「了解しました。
それと王立学院3年のキティ・エメット殿を一緒にという事は第八兵舎に来ますかね?」
「そこは残す者達とエイミー殿下やスミス坊ちゃんとのやり取り次第でしょう。
必要なら招いて打ち合わせです。
会議室までの通路に見せられない物を置かないでくださいね。
個人の性格はまちまちでしょうけど、王立学院の生徒である以上、世間一般の子供ではありません。
気付く事も多々あるでしょう。」
「はっ!注意しましょう。」
ラックが頷く。
「ま、気が向いたら奥様とエルヴィス家に来てください。
3月10日はエルヴィス侯爵邸がある街で特産品祭りで領内も含めて多数の屋台が出るんですよ。
美味しい物が出る・・・はずです。」
「へぇ、お祭りですか。
良いですねぇ。」
ラックが言う。
「ま、気が向いたら来てください。」
武雄が言う。
「所長、そろそろ。」
アンダーセンが言ってくる。
「わかりました。
出立しましょう。」
「では、またのお越しを待っております。」
ラックが武雄に言うのだった。
・・
・
武雄が王都の城門に着いて、一休みをしていると。
「おや?キタミザト殿?」
アスカムが武雄に声をかけてくる。
「うん?アスカムさん、なんで城門に?」
「私は趣味の一環ですよ。
荷物の受け取りでここまで来ていました。」
「え?荷物の受け取りは店でするものでは?」
「普通ならそうですね、普通なら。」
アスカムが言う。
「あまり、非合法な事はしない方が良いですよ?」
「合法です。
歴とした真っ当な商品ですよ。
少量なので他の領地に行く途中で受け渡して貰っただけです。
王都に入るのも大変ですからね。」
アスカムが言う。
「何か面白い物を?」
武雄が「少量で輸出入をしている者が欲しがる物」を気に掛ける。
「面白くはありませんが、地方産の塩です。」
アスカムが言う。
「塩ですか?」
武雄が首を傾げる。
「ええ、こう見えて私は塩の収集が好きなんですよ。
専売局以外で売っている国内の塩を集めていましてね。
肉にはこの塩、魚の干物にはあの塩と分けているのです。」
「へぇ・・・なら、私の分も集めて送ってください。」
「え?ええ、構いませんが・・・専売局の塩より高いですよ?
それこそ私が集める種類と同じというと・・・金貨1枚とか行きますが?」
「構いません。
なら1kgずつお願いします。」
「・・・大量ですね・・・もう少し費用が掛かるかと・・・」
「なら、物と一緒に請求書を送ってください。
ちゃんと支払いますし、アスカムさんなら暴利を取る事はないでしょうしね。」
「はぁ・・・わかりました。
今、頼まれている物以外に欲しい物はありますか?」
アスカムが呆れながら聞いてくる。
「・・・カトランダ帝国とウィリプ連合国の標準的な塩も入手してください。
量は1kgで。」
「・・・わかりました。
全部が揃い次第、エルヴィス侯爵領の・・・」
「イーリーさんの雑貨屋で私達の輸出入は扱って貰っていますので、そこに送ってください。」
「わかりました。
ま、相手の商店の名前を忘れたらハワース商会に送っておきます。」
「あ、そっちでも良いですよ?
私もハワース商会に顔を出しますから。」
「ふむ・・・どちらにしても集まったら送ります。」
「ええ、お願いします。
では、また会いましょう。」
武雄達は出立するのだった。
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