第3558話 アンとスイーツレシピ本。(ゼラチンスイーツ出来ました。)
王都守備隊 第八兵舎内 武雄とエリカに割り振られた貴賓室。
王都守備隊 総長と話を終えた武雄達はマイヤーに声をかけ、総長室に行かせて愚痴を聞きに行かせている。
そして、貴賓室内にはアンがスイーツを持って遊びに来ていた。
「どうですか?
この新作は?」
アンが聞いてくる。
「ふむ・・・ゼリー自体に少し甘みがありますが、これは?」
「はい!ゼラチンに砂糖水を入れています!
結構薄く入れたのですが、わかる人が多くてびっくりです!」
アンが言う。
「アン殿下、中のオレンジの剥き身ですが、これも甘いです。
これも砂糖を少なくですか?」
ジーナが聞いてくる。
「それは砂糖水で煮詰めました。
型崩れしないように弱火でトロトロと。
そっちは結構な量の砂糖を使ったのですが、そこまで甘くならなかったんですよ。
私の予想では、もう少し甘くなる予定だったのですけどね。」
アンが言う。
「アン殿下、何種類作られたのですか?」
エリカが聞いてくる。
「スイーツは20種類くらいですかね。
オレンジ等の果物を搾った果汁や搾り終わった実を細かくして入れてみたりしました。
スイーツ以外の料理に使えるかしてみたのですが、スープを固めても美味しくなかったですね。
サラダに乗せられるかと思って、野菜を細かくしたのとドレッシングを一緒に固めてもみたのですが、サラダに乗せてから食堂に持って行くまでにベチャベチャになったので不採用になりました。
ドレッシングは別で持って行って食べる際にかけた方が美味しかったです。
基本的に水物を固めるという特性の物はしているんですけど、それ以外が見つからないですよね~。」
アンが言う。
「ふむ・・・まぁ、とりあえず、スイーツを広める事に注力ですかね。」
武雄が言う。
「そうですかね?
他の料理に使える事も証明したいですけど・・・」
アンが悩む。
「一旦、世に出れば、後は民間で勝手に発展していきますよ。
まずは普及させる事を主眼に動いた方が良いと思いますよ?
欲しがる人が増えれば、ゼラチンの製造量が増えるでしょうし。
製造が増えれば価格も下がります。
手っ取り早く広めるのはレシピ公表でしょうね。」
「うーん・・・このスイーツレシピを公表ですか・・・
タケオさん、エルヴィス侯爵領で最初に公表して良いですか?」
「・・・エルヴィス家ではゼラチン自体の入手が困難で、やっと製造方法が分かった段階です。
普及という事すら、まだ出来る状態ではありませんよ。
まぁ、実績をエルヴィスさんやエイミーさん、スミス坊ちゃんに見せたいのでしょうけどね。」
「はい!まず褒めて欲しい人の前で公表したいです!」
アンが言う。
「アン殿下、健気ですね。
そうですよね、これから一緒になる家族に褒めて欲しいですよね。」
エリカがにこやかに言う。
「気持ちはわかりますが・・・うーん・・・
公表に伴う需要の高まりがなぁ・・・まぁ、アンさんがエルヴィス侯爵邸に居る時に公表されれば良いというのであれば、そこまで難しくはないか。」
武雄が考えながら言う。
「タケオさん、良いやり方ありますか?」
「王都並びに領主邸がある街で同日販売開始ですかね。
今は王都から始まって、徐々に地方に持っていきます。
ですが、アンさんのレシピ本は領主邸がある街限定で同日に販売するとすれば、アンさんがエルヴィス侯爵領に居ても問題ないでしょう。」
武雄が言う。
「いや、タケオさん?
それは危ういですよ?
ゼラチンは王都とエルヴィス家ぐらいしか知らないのですよね?
となると、存在も知らない他の地方領でレシピ本が出ても作れなくて、不満が高まると思います。
なので、レシピ本は王都かエルヴィス侯爵領のみで、まずは販売をした方が良いと思います。」
エリカが言う。
「ですって、タケオさん。」
アンが言ってくる。
「そのようですね。
となると、エルヴィス家での公表ですが・・・安定して生産出来るかどうかも確認している最中でしょうね。
なので、エルヴィス家単体での公表は出来ません。」
武雄が言う。
「では、王都とエルヴィス家の2か所同時にレシピ本の販売ですね。」
アンが言う。
「それと需要が高まるので、レシピ公表までにエルヴィス家に王都からかなり多くの量を仕入れておかないといけないでしょうね。」
武雄が言う。
「すぐには難しそうですね。」
アンが言う。
「アン殿下、それもですが、まずはアン殿下がレシピ本を作らないといけません。
レシピがあります、メモ書きを本にします・・・では、ありません。
なので、ご自身で書かないといけないかと。」
「本作りですか・・・」
アンが腕を組んで悩む。
「引っ越しまでの間、レイラ殿下と話されたらいかがでしょう。」
エリカが言う。
「そうですね!レイラお姉様は売れっ子作家でした。
書き方とか聞いてまずは素案を作らないといけませんね。」
アンが言うのだった。
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