第3555話 専売局長と財政局長と打ち合わせ。(カトランダ帝国に塩の輸出を始めました。)
専売局内の小会議室。
武雄達が訪問したら、小会議室に通され、財政局長と専売局長が既に居た。
「お待たせしたようですみません。」
「よろしくお願いします。」
「「いえいえ。」」
武雄とエリカが座りながら2人に挨拶をする。
「では、まず、ブリアーニ王国から購入する鋼材についてですが、こちらの資料に今年4月から輸入する鋼材の専売局からのキタミザト家に支払う最大金額と希望輸入量になります。」
専売局長が薄い冊子を武雄の前に置く。
「はい、戻ったらこの金額以内で最大限買えるように交渉します。」
武雄が言い、中を見ないで冊子をリュックに入れる。
「・・・中身を見ないのですか?」
財政局長が聞く。
「私達の輸送費用については、別途で考えないといけないですからね。
基本は経費を抜いた上限金額で最大限買うという所でしかありませんので、王都から指示金額が出たので、その指示金額内で交渉するだけです。
私からは何か言う事がないので戻ってから交渉方法を考えます。」
武雄が言う。
「ふむ・・・あとはお願いします。」
専売局長が頭を下げる。
「値段が高くなれば、私達の購入金額に反映されるだけです。
出来る限りはしますが、輸入物である以上、価格調整に期待しないようにしてください。」
武雄が言う。
「はぁ・・・そもそもは鋼材自体がドワーフ王国からの輸入物です。
武具等以外の生活品には元武具からの再精製品を使うくらいなのです。
鉱山かぁ。」
「かと言って、鉱山を開発するだけのノウハウと人材がありません。
開発は採算が取れるまで長期間必要になりますからね。
もし埋蔵量が少なければ、収支が崩壊して大変な事になります。
なので、今の状況では鉱山を我が国では開発出来ないでしょう。」
財政局長が言う。
「北東部の鉱山の採掘権は放棄しましたしね。
今更、どうにもできませんし、あそこは隣接国が多すぎて、開発以外にも費用がかかりそうなので、エルヴィス家としては嬉しくない物でしょうね。」
武雄が言う。
「はぁ・・・うーん・・・財政局長、国内にあった方が専売局としては嬉しいんですけど。」
専売局長が財政局長に言う。
「それはわかりますよ。
余計な費用が発生しないで国内でお金が回るのですからね。
経済局も町が1つ増えて物流も高まるでしょうから、欲しいと言うでしょうね。
ですが。
候補地の試掘からの開発、採掘と精製までの費用は捻出出来ません。
もっと収入を増やしてください。」
「紙の需要と段ボール・・・」
「それは、もう来年以降の予算編成に織り込んでいます。
もっと必要なんです。」
「キタミザト殿・・・」
専売局長が武雄に聞いてくる。
「エルヴィス家は領内の発展が最優先なので、王都に入れる税をいきなり増やすのは出来ません。
魔王国とブリアーニ王国は完成された国で、緊急時を除いて、自給自足が成り立っています。
ウスターソースとウォルトウィスキーの要望は高まっていますが、エルヴィス家の足しにはなっても王都への足しには少々足りませんね。
長い目で見れば、生産と流通関係でエルヴィス家から王都への税金に反映されるでしょうけど。」
武雄が言う。
「うーん・・・」
専売局長が悩む。
「何かしら流行り物や名物、名産品を作るにしても今から開発しても収益が見込める様になるには数年かかるでしょうね。
そこから王都への税が増やせるまでの規模となるわけです。
すぐにはありません。」
武雄が言う。
「はぁ・・・そうですよね。
専売局としては対カトランダ帝国への輸出で儲けが上がりそうではありますけど、そこまでは上がりませんし。」
専売局長が呟く。
「カトランダ帝国向けですか?
確か、小麦の輸出が多くなるような事は聞いたような気がしますが。」
武雄が首を傾げる。
「ええ、経済局が国内調整をしつつ、外交局がカトランダ帝国の東町で作った商店で販売しています。
小麦が中心ですが、他の根菜関係と塩も輸出対象です。」
専売局長が言う。
「塩もですか・・・そういえば、対ウィリプ連合国相手では、カトランダ帝国に海側は取らせない方針でしたよね。」
「ええ、国防の観点からですね。
なので、塩の輸出量を増やす方針になっています。
その増産計画の第1段階が終わったので、カトランダ帝国相手に輸出が開始されます。
卸値は我が国と同様ですが、輸送費用分嵩むのは致し方ないです。
なので、その分の収入は増えます。
塩での利益は薄いのですがね。」
専売局長が言う。
「塩の販売、輸出では鉱山の費用には大きく足りませんね。」
財政局長が言う。
「・・・キタミザト殿、何かないですか?
短期で大きく利益が出る物が?」
「あればしています。」
武雄が専売局長に即答するのだった。
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