第3549話 その頃のエルヴィス家では。(メイドの外出方法の確認をしていきます。)
エルヴィス侯爵邸の客間。
エルヴィス爺さんとアリス、リーザとクゥ、夕霧達とルフィナとカーティア、指導員のメイドもおり、夕食後の歓談をしていた。
「うむ、買い物に行ったら、いきなり声をかけられたとの?」
エルヴィス爺さんがカーティアに聞く。
「はい、兵士の服装でしたが、同胞でした。」
「あ、お爺さま、それって不法越境で保護した子ですかね?」
「うちの兵士であればの。
で、何か言われたかの?」
「はい、いいえ。
特段、何かとは・・・『無事でよかったね』という趣旨だったかと。」
「えーっと、カーティアちゃん、趣旨ってどういう事かな?」
アリスがわからない顔をさせる。
「・・・名前や出身をまくしたてられまして。
『お互いに頑張ろう!』と言って、去っていきました。」
「カーティアとも何回も行った事のある商店への買い物でしたので、私と一緒に買い物に行き、他の荷物があったので、1人で店前で待っていてもらったのですが、その時に声をかけられたようでして。
買い物を終えて、カーティアから報告を受けまして・・・
離れた時間としては5分もなかったかと。」
カーティアとルフィナが言う。
「・・・言いたい事を言って去ったのかな?」
アリスが首を傾げる。
「はい。
終始自分の事を話されていました、それと何か急がれていたようでした。
仕事中だったのかもしれません。
特に何かされてはいません。」
カーティアが言う。
「そ、そっか。
カーティアちゃんの精霊殿が動かなかったのなら危害は加えられなかったのは確かでしょうね。
ルフィナちゃんは、そういった事はなかった?」
「ありません。
街の皆さまも温かく話し掛けて頂けますので・・・今回のカーティアの話を聞いて驚きました。
侯爵様、アリス様、カーティアを1人にさせてしまい申し訳ありませんでした。」
ルフィナが頭を下げる。
「アリス様、キタミザト家からお預かりしているメイドを危険に晒してしまい申し訳ありませんでした。」
指導員のメイドが頭を下げる。
「仕事ですからね。
それに無事で良かったです。」
アリスが言う。
「うむ、全員謝罪は不要じゃよ。
あるとすれば、こちらのミスじゃが、誰かもう1人付ければ良かったかのぉ。
だが、買い物も1人で出来るようにならねばならないのはわかるから、今回の仕事内容は間違っておらぬと思うしのぉ。」
エルヴィス爺さんが考える。
「そうですね。
今回は行き慣れた商店への買い物ですから、ルフィナちゃんとカーティアちゃんの2人で行かせたのでしょう。
うーん・・・どうしますか?」
「どうするかのぉ。
声をかけるなと命令を出すのは違うと思うがの。
カーティア、危害を加えられるとなれば攻撃して構わぬ。
とりあえず殴って、さっさと逃げてくれば、あとはこちらで対処するからの。
それと兵士長には今回の事を伝えて置くからの。
どう対処するかは任せるが、なにかしら対処してくれるだろう。」
「はい、わかりました、侯爵様。」
カーティアが頷く。
「私達の方もカーティアだけでなく、全メイドの買い物等の外出方法を見直します。」
指導員のメイドが言う。
「うむ、頼むの。
で、カーティアとルフィナの買い物自体は、ちゃんとしたのかの?」
「はい、侯爵様、買い漏れはありません。
ちなみにキタミザト様がご帰還の際に街中はどうなりますか?」
ルフィナが言う。
「ふむ・・・そうじゃのぉ。
今回もキタミザト家は裏城門から入って来るのかの?
アリス、前回の帰還時はしたがの。」
「エルヴィス家は表からキタミザト家は裏からを定着させますか。
・・・それも良いかもしれませんね。
裏城門の所は研究所の訓練場やリツ殿と夕霧ちゃんの住処もありますし、関係は深いですから。
今後もキタミザト家は裏城門付近に何か作りそうですよね。」
「そっちの方が森が広がっていて開発しやすいからの。
許可を出すのは、そっちじゃの。」
「ならば、そうしましょうか。
今の所、予定に変更はないので、城門辺りに伝言を置いておけば大丈夫かと思います。」
「うむ、担当者には伝えておこうかの。」
エルヴィス爺さんが頷く。
「あとは・・・特にありませんかね?」
「ふむ、魔王国、ブリアーニ王国関係は今はないかの・・・
キタミザト家からブリアーニ王国宛の毛布等は緊急の連絡がないから送付されたのじゃろう。
魔王国向けの穀物は終わっておるし、空白地帯は今、ブリアーニ王国と魔王国の方で検討中じゃろう。
わし達は派遣小隊の選定じゃが、まずは大隊編成を終えてからの派遣になるじゃろうの。」
「お爺さま、概要は決まっているのですか?」
「今の所は越冬が2小隊、それ以外は1か月ごとに交代かの。
確定はまだ先じゃよ。」
「で、大隊の講義の準備は済んでいるのですか?」
「今、軍務局で正式な開催時期の調整中じゃ。
決まり次第、魔王国に連絡して、最終確定になるじゃろう。」
エルヴィス爺さんが言うのだった。
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