第3548話 魔王国とブリアーニ王国では。(今は移行期ですからこれからの準備をしています。)
魔王国 王城のヴァレーリの執務室。
「くしゅんっ!」
ヴァレーリがくしゃみをする。
「え?ダニエラ様、くしゃみですか?
頑丈な・・風邪とかひかないと思っていましたが。」
アンナローロが言ってくる。
「・・・最後まで言わないのも失礼だな。
おかしいなぁ、昨日は早めに寝たんだが・・・」
ヴァレーリが首を傾げる。
「温かいお茶に替えますね。」
「あぁ、すまん、頼む。」
ヴァレーリが頷く。
「誰か噂しているのかもしれませんね。」
「そうなのか?
噂程度でくしゃみが出るとは呪いの類だな。」
「そうかもしれません。
で、引継書の出来はどうでしょうか?」
アンナローロが聞いてくる。
「問題ないと思うぞ。
我からカストへの引継ぎ自体は、そこまで量は多くない。
各領主や各軍上位陣の評価、今の政策の説明と今後の国の予測のような物だけだ。
後はカストが方針を決めれば良いだろう。」
ヴァレーリが言う。
「準備は終わったのですね?」
「もう少しだな。
アンナローロの方の第1軍指揮官補佐の引継ぎは終わっているのか?」
「次期第1軍指揮官補佐、各補佐官、各補佐官候補への引継ぎは終えています。
カスト殿が選んだ補佐官の異動も終えております。」
アンナローロが言う。
「ふむ・・・やる事がなくなってきたな。」
「次期国王陛下が決まったので、移行期間に入りましたからね。
私は第7軍創設で動いていますし、第1軍指揮官補佐は軍内統制をしています。
各軍は第6軍、第7軍へ兵士達を送り出していて、その穴埋め人事と新兵の教育中です。
それとは別にデムーロ国との国境の壁の建設に第3軍の臨時1個大隊1400名が9月末まで出張中です。
更に第3軍の2個中隊400名はアズパール王国の空白地帯の件で、空白地帯とブリアーニ王国領の関の増築と強化を実施予定です。」
「そこまで話が進んでいるんだな。
第3軍に仕事が集中しちゃったな。」
「彼らの分野ですから致し方ありません。
それと坑道内掃討戦はカスト殿に移行してから実施時期の確定がされますが、事前調査で第3軍、第4軍、第5軍より2個小隊ずつ計6個小隊120名が展開し、ボナ子爵殿とボニート男爵殿の援軍も加わっての調査は5月末まで実施予定ですね。」
「・・・その後、空白地帯で掃討戦をするのに第3軍を主力とした各軍混合2個大隊2000名とボナとボニート合同軍1000名の展開か・・・」
「掃討戦が終われば、ボナ子爵殿達をブリアーニ王国に派遣して採掘開始ですね。」
「カールラ達にお願いして、掃討戦中に空白地帯までの街道整備をお願いするか?
採掘後の輸送で日数を取られるのは費用が増すだけだし。」
「それもですが、鉱山でエルヴィス侯爵領軍も関に常駐するでしょうから、宿舎や関の増築をしないといけないでしょうね。
その辺の話も第3軍とブリアーニ王国とでしないといけないでしょうが、そのためにはエルヴィス殿の方からどのくらいの兵士を常駐させるのかの協議を終えていないといけませんね。」
「うーん・・・カストに移譲してから話を始めるより、今から我がしていた方が良いのかな?」
「ですかね。
たぶん第3軍が作って、ブリアーニ王国に移譲する形をとるでしょうから。
事前にわかっていた方が、第3軍としても交渉はしやすいでしょうね。」
「うーん・・・月末にエルヴィス殿の所に行った際に検討事項として置いて行くか。
その次の2月末にわかれば、良いだろうしな。」
「はい、それがよろしいかと思います。」
ヴァレーリの言葉にアンナローロが頷くのだった。
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ブリアーニ王国 王城(旧ファロン子爵邸)の女王執務室。
「うん?・・・これって・・・」
ブリアーニが回されてきた手紙を読みながら首を傾げる。
「どうされましたか?」
文官が聞いてくる。
「うん、エルヴィス侯爵殿から連絡が来ているのよ。
私達が異動する前に奴隷商が不法越境して、拘束しているから引き取って欲しいってきているわ。
内容は・・・・・・あ、デムーロ国で言われた子供か。」
ブリアーニがガックリとする。
「何名でしたか?」
文官が聞いてくる。
「子供1名、子供なので保護をし、以前伝達の通り、兵士見習いとして15年の雇用中だって。
今回は『そろそろ大人達の奴隷と奴隷商を引き取って』とあるわ。
手続きの方法を確認してきたわ。」
「我が国の国民でなければ、一旦我々で引き取り、そのまま魔王国に引き取って貰いましょう。
子供の方は何かありますか?」
「えーっとね、新人小隊で頑張っていて成績が良いそうです。
もう少ししたら初期訓練が終わり、ブリアーニ王国宛に手紙を出せるようになるので待っていて欲しいと。」
「ほぉ、成績が良いとは嬉しいですね。
わかりました。
魔王国に連絡を付け、引き取る日付を確定させます。」
「ええ、お願い。」
ブリアーニが頷くのだった。
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