第3547話 第八兵舎に戻って、さっきの話の続きだ。(精霊の優劣を競ってはいません。)
アズパール王と歓談を終え、武雄達とスミス達は第八兵舎に戻ってきて、武雄とエリカに割り振られた貴賓室で歓談をしていた。
「はぁ、タケオがダハーカとお茶をする仲になっていたのは予想外でした。」
チビアルが言う。
「そうですか?
普通にお茶も飲んでいましたし、お願いしたらお手伝いもしてくれましたよ?
会話は出来ませんでしたが、話しかければ頷いたりしてくれていたので、意思疎通は出来ました。
それにコノハも精霊同士でお茶とかしていましたよ?」
武雄が言う。
「・・・」
チビアルが何とも言えない顔をさせる。
「あの、タケオさん、アル殿もうちのアウクソーも微妙な顔をしているのですが、その魔王国のダハーカ殿は、それ程に強いのですか?」
「聞いた限りだと最強最悪で並みの精霊では勝てはしないでしょうね。
実際に私の精霊のパナからは注意がされていますよ。」
武雄が言う。
「はぁ・・・タケオやコノハはダハーカに脅威を感じていませんね。」
チビパナが諦めながら言う。
「パナ殿、タケオさんだけでなく、アリス様の精霊のコノハ殿もですか?」
エイミーが聞いてくる。
「ええ、タケオとコノハ・・・もしかしたらスズネもですね。
そこら辺はダハーカを脅威と思っていません。
魔法の威力が強いとか力が強いとかの認識はあっても、ダハーカという精霊に脅威を感じていません。
タケオが言うには、『契約者がダハーカという精霊をしっかりと使役させている』ので問題ないと。」
「契約者がしっかりしているから、精霊が多少強くても問題ないと?」
エイミーが聞き返す。
「精霊が勝手に暴れているというのであれば、精霊に脅威も感じますが。
基本的に今まで会った精霊達は契約者の命令に従っています。
で、あるのなら契約者との関係の問題でしかありません。
この人は強い精霊と契約しているから仲良くしよう、あの人は弱い精霊と契約しているからぞんざいに扱おう・・・まぁ、人それぞれの考え方なので強くは否定しませんが、少なくとも私はそうは思いません。
普通に友人付き合いをしているだけです。」
武雄が言う。
「ふむ・・・確かに精霊の優劣というのは使える魔法や威力に拠って、あるのは確かですね。
そこに態度を合わせる必要性はないのかもしれませんね。」
エイミーが言う。
「であるのなら契約者を見て、お付き合いをしていけば良いという事ですね。」
アンが頷く。
「そうですね。
私は、そう思っています。」
武雄が頷く。
「そういえば、タケオさんがエルヴィス侯爵領に居る部下の方にも精霊魔法師が居るような事を言っていましたね。
タケオさん、王城で契約していない精霊魔法師殿を抱えているのですか?」
アンが聞いてくる。
「ええ、複数名が居ますよ。
農業をしたり、契約者の補助をしてくれたりと色々としています。」
「へぇ、エルヴィス侯爵領は精霊が多いのですね。」
「アン、正確にはキタミザト家に所属もしくは協力工房に居たりします。
それとエルヴィス家ですね。」
チビアウクソーが言う。
「ふむ・・・タケオさん、部下の方々の精霊でもダハーカ殿には勝てないのですか?」
アンが聞いてくる。
「・・・たぶん、完全に勝つとなると複数の精霊が対処してとなるでしょうね。
ですが、それでも難しいと考えられます。
それに契約しているヴァレーリ陛下は最高の武力を誇っています。
この2人の組み合わせだと暴れられると街への被害がとても多くて大変な事になります。
なので、怒らせないようにしてください。」
武雄が言う。
「わかりました。
魔王国のヴァレーリ陛下はどんな方なのですか?」
アンが聞いてくる。
「どんな・・・一言で言うなら良い方ですね。
真面目な話も適当な話も出来ますし、部下達には慕われつつも畏怖され、戦闘になれば率先して動き、後方で指揮を執るなら全体の動きを見ながら各所を動かしつつも部下からの意見具申に柔軟に対応します。
政治も魔王国全体の事を考えつつも局所的な事への注力も欠かしません。
必要と思えば自身で動く事もしますし、人員を惜しみなく投入する決断力もありますね。
現に国民が奴隷になっていると知って、戦争を即決し、実施。
見事、相手国の半分を併合せしめましたし。
国民の事を大事にしていますね。」
「か、完璧な施政者ですね。」
アンが感心しながら言う。
「自分で言っていて、私も今そう思いました。」
武雄が頷く。
「??タケオさんは、そう思っていなかったのですか?」
アンが首を傾げる。
「いえ、凄い方だとは認識していましたが・・・お酒は好きですし、美味しい料理も食べたがります。
エルヴィス侯爵領の新商品も興味を示してくれています。
ウスターソースとウォルトウィスキーという酒の輸入量を多くしてくれと言ってきたりします。
人間味が凄いのですよね。」
武雄が言う。
「ふむ、人格者なのですね。」
アンが頷くのだった。
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