第3542話 王城への融資の話ですね。(もちろん上乗せを期待します。)
「さて、タケオ。
レッドドラゴンの引っ越しの件はどうなっている?」
アズパール王が聞いてくる。
「エルヴィスさんと話していて、住処をどうするかの計画中です。
戻れば、その屋敷決めになり、建て方が始まるかと思います。」
「ふむ・・・そうか。
出来れば少し早めにお願いしたい。
レッドドラゴンが去った村の復興はエイミー案を元に計画される。
エイミーが王城に居る内に完成したのを見せておきたい。」
「・・・わかりました。
早急にという訳には行かないでしょうが、遅延がないようにします。
大まかに住処が完成し、引っ越しが可能になる日程は、エルヴィスさん達と話して決めます。」
武雄が言う。
「うん、それで頼む。」
アズパール王が頷く。
「それでタケオが軍務局と話したブリアーニ王国から輸入するクロスボウだったか?
あれの輸入についてなんだが?」
「先行で500個頼んでいます。
その内10個は軍務局に納入済みで正式購入について検討して貰っています。
王城での購入がされなくても何とかなると思い、追加で490個を頼んでいます。」
武雄が言う。
「うん、それなんだが・・・タケオ、軍務局の購入にあたっての資金なのだがな?」
「・・・ツケでは買えませんからね?」
「うん・・・そうだな。
・・・タケオから借りる事は出来ないか?」
アズパール王が若干声小さめで聞いてくる。
「ふむ・・・・・・予算編成を今からしてもウィリプ連合国との件に間に合わないからですか?」
武雄が考えながら言う。
「うむ。」
アズパール王が頷く。
「王城に来て、色々と支払いがされたので・・・まぁ、余裕はあるのは確かですね。
で、いくら貸せば、いくら上乗せして返してくれるのでしょうか?」
武雄が言う。
「タ、タケオが決めないのか?」
アズパール王が冷や汗を背中にかきながら聞いてくる。
「・・・私が言ったら、それで決める気でしょう?
ではなく、陛下とオルコット殿の気持ちで良いので、いくら上乗せで返してくれるかお聞かせください。」
武雄が言う。
「う、うむ・・・オルコット。」
「そう・・ですねぇ・・・」
アズパール王とオルコットが悩む。
「・・・」
武雄が何も言わずに2人を見ている。
「・・・2割でどうでしょうか。」
オルコットが声を絞り出す。
「良いでしょう。
では、私の方からは金貨4000枚をお貸しします。」
「「!?」」
アズパール王とオルコットが驚きの顔をさせる。
「分割払いはお受けしておりません。
一括で貸しますので、一括で返して頂きます。
返済期限は・・・4月に予算編成で、1年かけて許可を貰って、来年の4月に予算執行でしょうかね?
なので、来年4月末までに金貨4800枚の振り込みをお願いします。」
武雄が言う。
「う、うむ・・・致し方あるまい。」
アズパール王が頷く。
「ありがとうございます。
では、ジーナ、オルコット殿と契約書を至急作ってください。」
「はい。」
「わかりました。
ジーナ殿、こちらで書類作成を行いましょう。」
ジーナとオルコットが少し離れたところで紙を出して、契約書の作成を始める。
「・・・タケオ、金貨4000枚もあったのか?」
「コツコツ溜めた費用とドラゴンの革の販売費用とアドラム子爵からの賠償金をまるまる渡しますよ。
まぁ、実質1年で2割上乗せて貰えるのならもっと出せるものなら出しますが、これが精一杯です。」
武雄が言う。
「そうだった・・我が払ったのも手元にあったな。
金貨4000枚か・・・大金だな。」
「一括でお渡ししたいのですが、冒険者組合では最大金貨800枚が限度でした。
冒険者組合に言えば、送金してくれますか?」
「あぁ、王城への送金は可能だ。
あとでオルコットに振込先を聞いてくれ。」
「・・いえ、今行ってきちゃいましょう。
オルコット殿、振込先を教えてください。
冒険者組合に行って、さっさと振り込んできます。」
武雄がオルコットに言う。
「い、今ですか!?
わ、わかりました。
すぐに振込先を記載した物と送金要請書を持ってきます!
あ、ジーナ殿、この文書をあと2枚作っていただけますか?」
「はい、畏まりました。」
ジーナが頷く。
「では、一旦、失礼します。」
オルコットが足早に退出していく。
「しかしだ・・・タケオ、思いっきり貸してくれるんだな?」
アズパール王が聞いてくる。
「返して頂ける所に貸せて、上乗せをちゃんとしてくれるというのであれば、貸すリスクはそこまで高くありません。
まぁ、王城が踏み倒すというのであれば、それはそれで私にも考えがありますが。」
「怖い事を言うなぁ。」
「はは、そうならないように来年4月にお支払いくださいね。」
武雄が言う。
「・・・」
ジーナは何も言わないで契約書を写しているのだが、心の中では「エルヴィス家に融資しているのは無利子だけど、本当ならこのぐらい利子がついても良いのかもしれませんね」と思っていたりする。
まぁ、ジーナは来年のキタミザト家・研究所からエルヴィス家への融資額は知らないのだが。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




