第3541話 第3皇子一家の所に行って時間を潰そう。(ヒナと仲良くなるには、もう少し時間がかかりそうです。)
第3皇子一家執務室。
武雄とエリカも合流して、スミス達が王立学院の授業を終わるのを待っていた。
「・・・あ・・・あ。」
ヒナは嫌がらずに武雄に抱っこされている、相変わらず、反応がちょっと淡白です。
「うぅ・・ヒナ、タケオさんは大丈夫だからね?
いつも通りで良いんだよ?」
レイラが心配そうに言う。
「前より反応してくれていますよ。
もう10回程度抱けば慣れるかな?
とはいえ、そこまで居ないからなぁ。
次はウィリアムさん達の引っ越しの時だから元に戻っているかも。」
「うぅ・・・それまでには、もう少し動いてくれるようにします。」
レイラがガックリしながら言う。
「そうですね。
パナ、そういえば、保健に修正する箇所は出たのですか?」
武雄が肩に居るチビパナに聞く。
「こちらからは修正箇所はないです。
そういえば、エリカが薬草の本を出版するような事を言っていましたが、その後の売り上げはどうですか?」
「はい、民間療法の本はエルヴィス家から400冊の依頼、ゴドウィン家から100冊、王都で200冊、他各領に600冊となっています。」
エリカが言う。
「ふむ・・・最初は、そのぐらいでしょうか。」
チビパナが頷く。
「民間療法の本はエルヴィス家が一番買う形ね。
ジーナちゃんから言われているけど、タケオさん、どう販売するの?」
レイラが聞いてくる。
「どう・・・と言われても普通に売るとしかいえませんよ。
それにエルヴィスさんは各町、村等への配布をする気で居ますから数が多いのです。
『庁舎に置いてあっても各個人で欲しい方は買ってね』という形ですね。」
武雄が言う。
「そっかぁ、うーん・・・第3皇子一家領でもするべきかな?」
「さて?それは皆で話し合ってください。
エリカの収入として売り上げが上がれば上がる程、良いのは確かですからね。」
「売り上げ貢献、お願いします。」
エリカが言う。
「ふむ・・・どうしようかなぁ。
民間療法の良し悪しはあるだろうけど、ケアが出来る者が近くに居ない場合の対処方法としては広めたいのも確かよね。
領民に買えるだけの金銭的余裕と必要性を認識させられるかだよね。」
レイラが考えながら言う。
「まぁ、レイラも売れっ子作家だからね。
エリカさんの民間療法の本と一緒に売る事を前提にして何か1冊作るというのも手よね。」
アルマが言う。
「あー、そうかぁ、そういう手もありますよね。
うーん・・何か考えます。」
レイラが言う。
と扉がノックされ、ウィリアムが許可するとメイドが入って来る。
「失礼します。
キタミザト様、陛下がお呼びです。
執務室までお越しください。」
メイドが連絡してくる。
「わかりました。
では、所用に行ってきます。
エリカとビエラ、ここで待っていてください。」
「わかりました。」
「はーい。」
エリカとビエラが返事をする。
「ヒナをレイラさんに戻して・・では、行ってきます。」
武雄がヒナをレイラに渡し、立ち上がるとジーナと一緒に退出していく。
「「いってらっしゃーい。」」
アルマとレイラも見送る。
「ヒナ・・・なんで緊張しているの?」
レイラがヒナに聞く。
「あ~、あ、あー!」
ヒナが手をバタつかせながらレイラに言う。
「なんでこの元気がタケオさんの時に発揮されないの・・・」
レイラが呆れるのだった。
・・
・
アズパール王の執務室。
アズパール王、オルコット、武雄とジーナで話し合いがされていた。
「ふむ・・・王立学院の話はわかった。
いや、人事局から『生徒に向けて講義して反響が大きかった』という報告が上がって来てな。
何を話したかと思っていたんだ。」
アズパール王が言う。
「現状の周辺国と国内情勢を独断と偏見を持って話しました。」
武雄が言う。
「うん、そこは『客観性を高めて』と言って欲しかったな。
聞いていたジーナはどう思った?」
アズパール王がジーナに聞く。
「そうですね・・・つい最近決まった事を多くお伝えしていたかと。
ただ、ご主人様の話す内容が濃かった事と思いもよらぬ、西側への評価で戸惑った方も居たかもしれません。」
「うむ、なるほど。
とはいえ、見方というのは見る者の立ち位置で変わる事が大いにある。
王都で見るのと、魔王国側で見るとでは同じ物を見ていても違う感想になる事もあるだろう。
多様性の観点からタケオの意見も重要と判断しよう。
まぁ、少々、西側へ就職する者へ刺激が強かったかもしれぬが。」
アズパール王が苦笑する。
「王立学院では、王都から見た地方の考え方を教えています。
なので、それに沿って皆が知識を得ていると言っていいでしょう。
まぁ、仕事を始めれば、多様な意見があるというのを認識するでしょうけども。
今後とも機会があったら、王立学院ならびに魔法師専門学院で講義をされてください。」
オルコットが言う。
「わかりました。」
武雄が頷くのだった。
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