第3538話 武雄達は王城の城門まで戻ってきました。(誰に呼ばれるのだろうね?)
王都の城門での受付順番待ちの列にて。
「やっぱり並びますね。」
武雄が下馬して、のほほんとしていた。
「所長、やっぱり先ぶれを出しますか?」
アンダーセンが聞いてくる。
「今回は私的な旅なので、このままで良いですよ。
急いで帰ったって良い事ないでしょうしね。」
武雄が言う。
「はは・・陛下か局長達が待ち構えていそうですね。」
マイヤーが言う。
「旅の疲れが出て、寝込んだと言っておいてください。」
「仮病だとすぐにわかる嘘を付けと?」
「嘘とわかるから付くのです。
知られたくないなら伝言も伝えませんよ。」
武雄がふてぶてしく言う。
「まぁ、そうでしょうね。
とはいえ、陛下からは愚痴を聞けと来るかもしれませんね。」
マイヤーが言う。
「・・・うん?、魔王国関連の報告書かな?
あれは報告書を提出したのみで他の事を話したし。」
武雄が考えながら言う。
「ジーナ、第八兵舎に戻ったら仮眠をしましょうか。
呼ばれるかもしれませんから。」
「はい、わかりました。」
武雄の言葉にジーナが頷く。
「まぁ・・・陛下の呼び出しはありそうですね。」
マイヤーが言う。
「うーん・・・慣例の戦争と魔王国とデムーロ国は報告書以上の事はないと思いますが・・・
マイヤーさん、何かありますかね?」
「え?所長が楽しんだ事が大量にあると思いますが?」
「うーん・・・どれかなぁ・・・冒険者組合で金の取次騒ぎを起こした件が気になったかなぁ?
他は陛下も各局長達も気にならないと思いますし。」
武雄が考えながら言う。
「・・・まぁ、確かに今後の事を考えれば、あの件はウィリプ連合国に使えるでしょうね。
あれ?前に所長が指摘していましたかね?
そんな報告を見たような・・・」
「しましたよ。
報告もしたかもしれません。
まぁ・・・金不足による大衆不安の扇動を実施しちゃいましたからね。
私が認識しているのは、初動だけなんですよね。」
「ええ、それでも実行した事に意味があるでしょう。
そして各商店や工房を買い叩いたと。」
「あ、そうか、そっちの話にも繋がっちゃうか。」
武雄が「いや~参ったね」と笑いながら言う。
「はぁ・・・実際、所長の総評としてはどうなのですか?」
マイヤーが聞いてくる。
「うん?・・・『やる事も出来るし、やられる事も覚悟しておかないとね』程度の話です。
実際に人と資金が事前に準備出来れば、実施については、さして難しいことではありません。
ですが、起こすのは簡単でも収める方法は言う程、簡単ではないでしょうね。
こっちがやる気であるのなら、やられた場合の対処法を考えておかないといけないでしょうね。」
武雄が言う。
「ふむ・・・軍務局と財政局がどう考えているか・・・ですね?」
「住民の扇動が出来ると侵攻自体は楽になるでしょうね。
統治は難しくなるかもしれませんが。」
「ふむ・・・所長は対処方法はわかるのですか?」
「・・・見せ金を用意する事くらいしか思いつきませんね。
要は金貨が不足するという不安から大衆は下ろしにきています。
なので、この人達に十分に金貨を用意できているという姿を見せて、不安を和らげるしかないでしょう。」
「説明ではなく、実物を見せるという事ですね?」
「そうです。
言葉よりも見る事の方が安心感を得られるでしょう。」
武雄が言う。
「・・・事前に大量に金貨をですか・・・難しそうですね?」
「それを財政局はするようですよ?
いつするかは知りませんが。
少なくともそういう案を持っていたという事です。」
「ふむ、で、所長が実施してきたと。」
「まぁ、そうですね。
・・・まぁ、こういうのは誰かに相談しながらするものではないでしょうしね。
万が一、対象に知られると対処されてしまいますから、知る人は少ない方が良い事でしょうし。」
「所長の対処方法を実施されていたら、徒労に終わりますね。」
「そうです。
なので、外に漏れないように秘密裏に実施しないといけないでしょう。」
「確かに。」
マイヤーが頷く。
「となると、その件では呼ばれないかなぁ。
・・・呼ばれる事はなさそうですね。」
武雄が言う。
「だと良いですね。」
マイヤーが言う。
「ご主人様、王都守備隊の方が迎えに来ておりますが?」
ジーナが王都守備隊隊員とやって来て言う。
「・・・誰かが呼んでいますか?」
武雄が聞く。
「はい、オルコット宰相殿がレッドドラゴンの進捗をお聞きしたいと言っておりました。」
王都守備隊隊員が言う。
「あー・・・そっちか。」
武雄がホッとする。
「キタミザト殿方をまずは第八兵舎にお連れしろとの事で参りました。
オルコット宰相殿との打ち合わせ等々は戻られてからご確認ください。」
王都守備隊隊員が言う。
「わかりました。」
武雄が頷くのだった。
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