第3537話 443日目 寄宿舎の朝食風景。(もうすぐ進級試験のようです。)
武雄達は出立の準備をしていた。
「じゃあ、リツ、また呼ぶので、その時はお願いします。」
「グルゥ。」
武雄がリツに言う。
「じゃ、またねー。」
ビエラがリツに言う。
「グルゥ。」
リツが頷く。
「所長、出立準備完了しました。」
マイヤーが武雄に言う。
「うん、わかりました。
では、騎乗しましょう。」
「総員騎乗!」
マイヤーが号令をかけると皆が騎乗していく。
「・・・忘れ物はないかな?
では、王城に戻りましょう。
出立。」
「出立!」
マイヤーが号令をかけると武雄達が動き出すのだった。
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寄宿舎の食堂。
スミス達が朝食を取っていた。
「・・・スミス、この前、キタミザト殿に会って来たのでしょう?」
グレースが聞いてくる。
「はい、エイミー殿下とアン殿下と会ってきました。
色々と話してきましたね。」
スミスが言う。
「良いなぁ。」
グレースが呟く。
「グレース殿下もタケオ様に会いたかったですか?」
「うん、私の方もエイミーお姉様から教えられているから私の中でも疑問とかあるし。」
「疑問をぶつけてみたかったと?」
「うん、王都の事とか、この国の事とか。」
「・・・うーん・・・グレース殿下、たぶん、その手の話はタケオ様はしませんよ?」
スミスが苦笑しながら言う。
「え?そうなの?」
「はい、残念ながら。
タケオ様は基本的にエルヴィス侯爵領の経済発展に軸足があります。
その姿勢は陛下や王城の局長達は追認しています。」
「あれだけのことをして?」
「そうですね。
僕も驚きますね。
ですが、タケオ様はアズパール王国の国政に積極的に関与しません。
グレース殿下にはタケオ様が陛下や局長達と国家の趨勢を決めていると見えるかもしれませんが、タケオ様は、そこまで国政の事に関与していませんよ。」
スミスがにこやかに言う。
「そう・・・なの?」
グレースが首を傾げる。
「はい。
タケオ様が王城に来ると陛下や局長達と会議をしています。
その時は相談を受けている事と対魔王国関係の話をしているだけですよ。
国全体の事は陛下や王城が決める事です。」
スミスが言う。
「それはそうね。」
グレースが頷く。
「まぁ、良くても相談を受けているという程度ですよ。
それに・・・グレース殿下は、そういう話を、まだしない方が良いのでは?」
「それは・・・実績がないから?」
「はい、僕もそうですが、知識しかない者が実行者の人達と話をしても話は通じませんよ。
それは知られている事ですからね?
実行者達は、その次の考えを知りたいし、考えたいのです。
本や教えられた事を議論する気はないでしょう。」
「うーん・・・スミスは話しているのよね?」
「そうですね。
話を聞いています。
僕は何もしていないですし、今は今後何かをする為の知識を勉強しているのです。
何も言う事はありません。」
スミスが言う。
「スミスは大人ね。」
「んー・・・目の前に居る新たな事をしていく人に何も言えませんよ。
意見を言えるのは、同じような事をした人達のみです。」
「そう・・・ね。」
グレースが頷く。
「まぁ・・・秀才であるグレース殿下がタケオ様と話したがるのはわかりますが。」
「・・・満遍なく上位5人の中に入るスミスに言われてもね・・・
はぁ・・・わかった。
キタミザト殿に会おうとは思わないわ。
それよりも勉強が今は大事という事もね。」
「ご理解いただきありがとうございます。
それにグレース殿下はカイルをどうにかする方が、タケオ様と話す事より重要です。」
スミスが言う。
「・・・わかっているわよ。」
グレースが顔を背ける。
「進級試験が2月1日ですよ?
今日は1月18日、あと2週間しかありません。」
「わかっているって。」
「はぁ・・・カイルはグレース殿下が面倒を見てください。
僕はイーデンの面倒を見ないといけないですからね。」
「はーい。」
グレースが小声で返事をする。
「わかった?2人とも?」
スミスがカイルとイーデンを見る。
「「・・・」」
2人とも顔を伏せて微動だにしない。
「特にイーデン。
お父上殿から良い成績にしないといけないと言われたのでしょう?」
スミスが言う。
「あ・・あぁ・・そうなんだが。」
「シトリン先輩のご両親に挨拶したとも聞きましたよね?
どんな条件が付いたかは聞きませんでしたが、評価に成績も加味されるとは、簡単に考えてもわかりますよ?」
「が、頑張ります・・・」
イーデンが声を絞り出す。
「うん、カイルもイーデンも成績を上げないといけないとは聞いていますからね?」
「「はーい・・・」」
2人が小声で返事をする。
と食堂の入り口からエイミーとドネリーが入ってくる。
「おはよう。」
「「「「おはようございます。」」」」
皆が返事をする。
「卒業論文が捗ってしかたないわ。
・・・スミス、勉強大丈夫?」
エイミーが席に着きながら聞く。
「何とかします。」
「うん。」
エイミーが満足そうに頷くのだった。
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