第3534話 反省会と団らん中。(リツとの会食が近づいてきました。)
武雄達がテントやかまどを用意し終わり、皆で囲みながらのんびりとしていた。
「ジーナ殿、惜しかった・・と言うべきですか?」
エリカが聞いてくる。
「いえ、惜しくもなく、ただ、ただ、負けました。
はぁ・・・訓練してきたのに・・・」
ジーナが項垂れる。
「まぁ、所長の1対1の無類の強さは、あのシールドの使い方ですからね。」
マイヤーが言う。
「マイヤー殿、ご主人様に勝てる方法はありますか?」
「うーん・・・所長の身体的、魔法的能力を圧倒する速度と威力で押し切るしかないのではないですかね?」
マイヤーが考えながら言う。
「あ、それスミス様の精霊のマリ殿に言われました。」
「ふむ、精霊殿と同じ考えが出来るとは。
自分を褒めておきます。
まぁ、所長が、こういう場で摸擬戦をする時は勝てる事が前提条件でしょうね。
私が見る所、所長は基本的に勝てる時に動くと感じています。」
「そうですよね・・・ご主人様、勝てる時しか動かないでしょうね。」
ジーナが言う。
「兵士としては、勝敗関係なく戦う命令があれば戦う物ではありますし、部下達に勝てる時しか戦わなくて良いとは言えませんけどね。」
「それはわかります。
うーん・・・」
ジーナが頷いてから考える。
「マイヤー殿、タケオさんは勝てる時しか動かないというのは・・・貴族としてありなのですか?」
エリカが聞いてくる。
「基本的には、ありえません。
陛下の命令を拒否は出来ませんからね。
ですが、所長はそういった命令でも勝てはしないにしても、生き抜く事はするでしょうね。」
「生き抜く事ですか・・・ふむ・・・」
「先の魔王国との慣例の戦争が良い例です。
客観的に見て、私達研究所は、あそこまで突出する必要性はありませんでした。
そもそも慣例の戦争に王立の部隊が出る必要も、地方貴族から命令を受諾する事もする必要はないのです。
陛下からの命令は『魔王国に面する3伯爵領軍の防衛出動に対し、部下と共にこれに随行し、領主達に適切な助言と行動を行う事』ですからね。
で、結果は、ご承知の通りです。
私達は最前線に行きましたが、結果として、あれ以上の結果はありませんし、皆が生き残れました。
そうなると、所長の判断は正しかった訳です。
私達が前線に立たなければ、貴族領軍のどこかに損害があったかもしれませんし、混戦状態で我々が参戦したのなら、ああも上手く行かなかったかもしれません。」
マイヤーが言う。
「ふむ・・・勝てる戦場で活躍ですか・・・端から見たら卑怯と言われかねませんね。
ですが、報告ではタケオさん達は勝てるように場を作ったのですよね?」
エリカが聞く。
「はい、そこが所長の所長たる所以でしょう。
何もせずにオーガ戦をしたらまた違った結果になった可能性は高いでしょう。
自分達が有利になるように準備を怠らない、だから勝てると踏んで行動する。
これが王城ではわかっているので、陞爵させたのだと思います。」
マイヤーが言う。
「私、凄い人に嫁いだんですね。」
「はは、そうですね。
ですが、エリカ殿も十分に王城内で名前が轟いているそうですね?」
「うーん・・・卸売市場ぐらいですけど。」
「十分でしょう。
普通の文官なら一生ないでしょう、まぁ、轟く時は悪い事をした時ぐらいですよ。
そちらの進捗は?」
「大筋では地元の方々と合意していて、今は各方面の準備段階ですね。
事前調査するかもしれませんが、それは異動後の話なので、まだまだ先です。」
エリカが言う。
「順調なら大丈夫でしょう。
今回のエルヴィス侯爵領への旅は実家に帰って、英気を養う事ですかね?」
「それとアリス殿との友好を深める場になるでしょうね。
マイヤー殿達は、とりあえず、のんびりですかね?」
「はは、そうなれば良いですね。」
マイヤーとエリカが雑談をしている横で。
「・・・」
ジーナが難しい顔で先の摸擬戦の事を考えているのだった。
武雄はビエラとチビ化したリツと食事の練習をしていた。
「ぎゅ!」
リツが美味しそうに昼の残りのカツサンドを食べていた。
「美味しいでしょ?」
「ぎゅ!」
ビエラが聞くとリツが大きく頷く。
「美味しい物がいっぱいだよ~♪」
「ぎゅ~♪」
「そうそう、だから頑張って食べれるようにね?」
「ぎゅ!」
「うんうん♪
皆でいっぱい食べようね。」
ビエラとリツが笑顔で話している。
「エンゲル係数が上がりそうですが・・・まぁ、ビエラ、リツ、クゥ、リーザを引き取るのは、皆が合意している事ですし、嫌がりはしませんけどね。
ビエラ、リツのチビ化は、今どのくらいですか?」
「うん?リツ、どのくらいになった?」
「ぎゅ・・・ぎゅ。」
「うん、うん、タケオ、鐘1個半だって。
3時間くらいかな?」
「ふむ、3時間ですか。
前に半日くらいと言っていませんでしたか?」
「ぎゅ・・・」
「主、確定が3時間で、何事もなければ半日だそうですよ?」
ミアが言う。
「何事もなければ・・・んー・・・ギリギリかぁ・・・
4時間くらいまで確実にチビ化出来れば、侯爵やアリス達と食事をしましょう。」
武雄が言うのだった。
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