第3531話 もうすぐ着きます。(ドラゴンは話せばわかるのが多いようです。)
リツの住処を目指している武雄達。
あと1時間程で着くところ迄来ていた。
背の高い草を皆でなぎ倒し、即席で広場を作って軽く休憩をしていた。
もちろん、初雪のスライム達が警戒網を敷き、ミアやビエラが感知で周囲を探っており、危害を及ぼす物が周辺には無いと判断しての休憩である。
「ビエラ、前に遠くからリツに言葉を投げかけていましたが、
今回もお願いします。
リツに『1時間程で着く』と伝えてください。」
武雄がビエラに言う。
「はい。
リツ!今から行くねー!!!!!」
ビエラが大声で叫ぶ。
「「「・・・」」」
「・・・『いらっしゃいませ』だって!」
ビエラがミアを見る。
「はぁ・・相変わらずですが、ドラゴンはとんでもない耳をしていますね・・・。
ですって、主。」
「はい、了解しました。
マイヤーさん、休憩が終わったらこのまま行きましょう。」
武雄がマイヤーに言う。
「了解しました。」
マイヤーが頷き、皆も移動準備を始める。
「タケオさん、リツ殿はどんな方なのですか?」
エリカが騎乗して武雄に聞いてくる。
「どんな?・・・まぁ、礼儀正しいかな?
ビエラ達もそうですが、ドラゴンは話せば分かりあえる方々ですね。
今まで会ったドラゴンは、話の通じる相手ばかりですよ。」
武雄が言う。
「普通、そんなにドラゴンに出会わないんですけどね。
話せばわかる?のですか。」
「ええ、今までのドラゴン達は分かってくれましたよ。
むしろ、人間の方が話してもわからない輩が多いかもしれません。」
武雄が苦笑する。
「あー・・・種族関係ないという事ですかね?」
「ええ、話せばわかる方も居るし、話してもわからない方も居る。
種族関係なく、そういうものですね。」
「そうですね。
とりあえず、礼儀正しい方なんですよね?」
エリカが聞いてくる。
「ええ、怒りやすいとかいう事もなく、話を聞いてくれますよ。
エリカも、ビエラやリーザで成獣状態のドラゴンには慣れたでしょう?」
「成獣・・・いえ、まったく慣れていませんが。
タケオさんは、どうして大丈夫なのですか?」
「うーん・・・慣れですね。
それに、人となりがわかっているからかもしれません。」
「うーん・・・私もいつかは慣れるのでしょうか。」
「慣れますよ。」
武雄が即答する。
「即答なんですね。」
「大丈夫、大丈夫。
エリカなら慣れますよ。
グリフォンにも触りに行っていましたし・・・あ、そういえば、あの時触らせて貰ったグリフォンですけどね。」
「えっと、カスト殿でしたか。」
「うん、魔王国の次期国王陛下になりましたからね。」
「おぅ!・・・あのタケオさん、大丈夫ですよね?」
エリカが恐々聞いてくる。
「大らかな方なので大丈夫ですよ。
また会う機会が有るかもしれませんから、その時にお祝いでも言ってみたらどうでしょうか?」
「そ、そうですね。」
エリカが頷く。
「まぁ、もうすぐリツの住処ですから、先ずは成獣のドラゴンに慣れましょう。」
武雄が言うのだった。
タケオ達の後ろで、ジーナにビエラが話しかけている。
「そだ。
ジーナ、リツの所でタケオと摸擬戦だっけ?」
ビエラがジーナに聞く。
「その予定です。
今も、ご主人様とどう戦えば良いか考えていますが・・・」
ジーナが難しい顔をする。
「ジーナ、勝てない?」
「うーん・・・何をしても対応されそうで。
ビエラは、ご主人様と摸擬戦した事ありましたか?」
「んーん、ないよ。
一緒に戦ったぐらいだね。
でも・・・タケオ、強いよね?」
「1対1でご主人様に勝てる方は、ほぼ居ないのではないでしょうか?
今のところ、私では勝てる見通しが立ちません。」
「ジーナも勝てないかぁ。
そういえば、ダニエラはタケオに勝ってたよね。」
「そうなのですか?
ダニエラ様ということは、ヴァレーリ陛下ですよね。
そんな報告、ありましたかね?」
ジーナが首を傾げる。
「初めてダニエラが来た時だったかな?
その時に、タケオとダニエラが摸擬戦したよ。
ダニエラが勝っていたよ。」
ビエラが言う。
「そうなのですね。
まぁ、ヴァレーリ陛下は強いので有名ですし。」
「ふーん、まぁ、ジーナもダニエラみたいになれば、タケオに勝てるよ。」
「どれだけ努力すれば良いのやら・・・
ビエラは、ご主人様に勝てるように剣を学びますか?」
ジーナが言う。
「んーん、私は侯爵と同じで良いよー。
マリに言われた通り、上から振るのと、抜刀が出来るようになれば良い。」
「謙虚ですね。」
「成獣になれば勝てるからね。
人型で勝つ必要ないし。」
ビエラが言う。
「それはビエラ達、ドラゴンだから言える事かもしれませんね。」
「そだよー。
楽しんでるの。
ジーナは楽しい?」
「学んだ成果が出ると楽しい。ですかね?
未だ、ご主人様には勝てませんので、悔しい思いばかりです。」
「じゃ、タケオに勝ったら楽しい?」
「楽しいと思いますね。
・・・でも、どう戦えば良いのやら・・・」
「うーん、どうしようかねー?」
ジーナとビエラが悩むのだった。
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