第3527話 エルヴィス爺さんとアリスの雑談。(第2皇子一家領までスライム専用通路を延伸出来ないか。)
エルヴィス侯爵家の客間。
エルヴィス爺さんとアリス、リーザとクゥ、夕霧とスー助が居た。
「スー殿、いつも見回りすまぬの。」
エルヴィス爺さんが真っ赤なインコの姿をしたスー助に言う。
「チュン。」
スー助が頷く。
「伯爵・・じゃなかった、侯爵。
スー助が領内を見回っているけど、急に魔物が発生している事態はないようね。」
チビコノハが言う。
「そうじゃの。
巡回をしている兵士達からもそういう報告が上がっておるの。
夕霧殿、スライム達からは何かあるかの?」
「ん、特段何も起こっていないと報告が来ています。
領内の魔物の分布は変わらず、数に関しては、過去4か月平均と比べると1体ないし2体多い程度です。
ブリアーニ王国との関周辺も変わらずの数値です。
また、ジェシーの所のウラカゼからもゴドウィン伯爵領の領内および関の魔物の数は増えておらず、逆に過去4か月平均と比べると減っているという報告でした。
なので、問題はないと考えます。」
夕霧が言う。
「となると、タケオ様が王都に行く際に感じた魔物の多さは偶然ですかね?」
「うむ・・・各報告からを見ると、そう判断するしかないの。
じゃが、それらを掻い潜って発生するから事件になるものでもあるの。
少なくともタケオ達が戻るまでは警戒をしておいて良いとは思うがの。」
「確かに・・・ですが、警戒を発していると兵士達から人々に伝播し、せっかく各町間の物流が高まり始めているのが縮小しかねません。」
アリスが言う。
「それもある。
じゃが、今は前に報告があったエルヴィス侯爵領側の関から、ゴドウィン伯爵領に向かった街道沿いでのオークの討伐を控えておる。
出立は2日後じゃったかの?」
「お爺さま、準備中なのですね?」
「うむ、今回は魔力溜まりの発生を確認している場所だけでなく、普段行き慣れていない場所でだからの。
それに拠点となりそうな町や村から少し離れているから野営や襲撃に対しての再訓練をさせておるよ。」
エルヴィス爺さんが言う。
「どのくらいの兵士が向かうのですか?」
「常備兵の方を使うつもりじゃよ。
巡回している兵士達は予定通りに各町や村に派遣をしつつの。
確か、遠出という事で魔法師部隊と通常部隊が3つ、新人小隊が1つの110名じゃったかの。」
「多いですね。」
「最初だからの。
万全を期するのは当然じゃよ。
慣例の戦争の気分が抜けきっていない間に実施できるというのもある。
それに夕霧殿達に事前に情報を取って貰っておるが、情報はあくまで判断材料の一つじゃよ。
実際に行ってみたら情報と違ったという事もあるじゃろう。
現に、タケオの方も事前の情報より多かったようじゃしの。
それに周辺にオークだけが居る訳でもないじゃろう。」
「確かに集まる事もありますよね。」
「うむ、じゃから兵が多めで良いんじゃよ。
経費は嵩むがの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「はい・・・夕霧ちゃん、引き続き監視をお願いします。」
「ん、大丈夫。
シグレとも話しながら多めのスライム達が監視しています。」
夕霧が言う。
「うむ、頼むの。
それと夕霧殿、第3皇子一家の方へのスライム専用通路はどうかの?」
「ん。現状で、第3皇子一家の物と思われる屋敷まで到達しています。
それと、街道沿いのスライム専用通路の強化を実施中です。」
夕霧が言う。
「ふむ・・・アリス、確かタケオからの報告に8月はウィリプ連合国に出張じゃったの?」
「はい、そうありました。
レイラお姉様とエリカさんの所を経由して、向かうとの事でしたね。
で、帰りは王都経由で戻ると。」
「ふむ・・・夕霧殿、第2皇子一家までスライム専用通路を延ばせるかの?」
エルヴィス爺さんが聞く。
「ん、問題はないですが、第2皇子一家領が不明です。
第3皇子一家領に居るスライム達を動員しますが、そもそもの目的地がわからないので、どの道沿いに作れば良いか不明です。
商隊が通る所を通すのは出来ますが・・・第2皇子一家だと思ったら王都かもしれません。」
夕霧が言う。
「ふむ、なるほどの。
特にこっちに居ながらの指示だから、難しさはあるという事か・・・
ならば、する事はほぼ確定として、覚えておいてくれるかの?
エリカが2月にこっちに来るからの、その際に第2皇子一家までの街道沿いにスライム専用通路を伸ばす話しをしたい。」
「ん、なら、南町以南の街道強化にスライムを多く入れて置いて、号令がかかったら取り掛かるようにしておきます。」
夕霧が言う。
「うむ、頼むの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「お爺さま、ウィリプ連合国へつなげる気ですか?」
「そこまでは思っていないがの。
少なくとも第2皇子一家領まで延びていれば、タケオが出張している際にも毎日情報が送れるじゃろうからの。
情報が入ってきた方が安心するから、その準備じゃよ。」
エルヴィス爺さんが言うのだった。
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