第3524話 ニールとエイミーの話し合い。(増産要請が来ました。)
王城内のニールの執務室。
ニールが仕事の手を止め、執務机でお茶を飲んでいると扉がノックされる。許可を出すとエイミーとドネリーが入って来た。
「父上、おはようございます。」
「うん、おはよう。
で・・・何かあったのか?」
ニールがエイミーに聞く。
「はい、失礼します。」
エイミーがニールの前に椅子を持って来て座る。
「タケオさんから、大豆と小豆の増産依頼を貰いました。」
「・・・うん、エイミーがスミスを連れて帰ってきた際に伝えた、今年の収穫後の輸出量を今の量から大豆が2.5倍、小豆が3倍にすると言っただろう?
量としては大豆2000kg、小豆は1500kgと話したはずだが?」
「はい、私もタケオさんにその量でお伝えしました。
父上、タケオさんの言葉のまま伝えますよ?
『3年後とか迄でいいのですが、出荷量を今の3倍くらいに増やせませんか?
増産の余裕があるなら、5倍くらいにしても構いませんよ?』です。」
「・・・」
ニールが項垂れる。
「父上、どうしましょうか?」
「・・・いや、エイミーでは、どうしようもないだろう。
だが、3年後に3倍か・・・エイミーにも言ったが、今年の収穫予想が今の所、精一杯だ。
元々、増産体制にする予定で、新規作付け農家を応募する予定だったが・・・あの村を大きくするか?」
「3倍から5倍の生産量・・・農家の方々が増え、それに伴い各種の商店や工房も増えるでしょう。
人口的に町クラスになるのでは?」
「そうだな・・・3倍になるかは、わからないが増産方向であの村に投資をする。
・・・タケオとスミスにはそう伝えてくれ。」
「わかりました。」
「それで・・・エイミーの事だ、タケオに大豆が大量に必要な理由は聞いているんだろう?」
「はい、ですが、エルヴィス家の一員として知るのを許された事項です。
ですが、そうですね・・・調味料の研究をしているそうです。」
「調味料か・・・確かにウスターソースを作っているクリフ兄上の所の話を聞いたが、作っても作っても足らないらしい。
それをタケオは研究しているのか・・・それは確かに5倍あっても良いだろうな。」
ニールが考えながら言う。
「タケオさんが、研究しているという時点で、相当難しい製造方法なのだと思います。
父上は調味料の製造は諦めてください。
タケオさんが、作り方を確立する為に開発中だと聞いていますので、それが確立される迄お待ちください。」
エイミーが言う。
「ふむ・・・製造方法が確立したら、話を聞けるかもしれないという事だな?」
ニールが聞く。
「一応、話をしましたが、タケオさんからは『物が出来てから考えましょう』という事なので、まったく希望がないという訳ではないかと思います。」
「ふむ・・・わかった、大豆と小豆の生産を拡大し、その調味料の原材料生産地としての地位を確約させる方が、まずは大事だろう。」
「よろしくお願いします。
で・・・タケオさんからレシピを頂きまして・・・」
エイミーがニールの前に紙を出す。
「なに?・・・ふむ・・・茹でるだけなのか?」
ニールがエイミーが持って来た紙を見ながら呟く。
「その途中が問題です。
実が入りだしたのを収穫してとあります。」
「確かにあるな・・・ふむ・・・大豆には収穫時期が2つあるという事か。」
「はい、アルがタケオさんの精霊のパナ殿に聞いた所、タケオさんだけでなく、エルヴィス侯爵領に居る精霊達も食べたがっているという事です。
ですが、豆を塩茹でしただけですので・・・正直、タケオさんが欲しがる物が、いまいちわからないのですが、複数名・・・それもタケオさんと精霊達となると確実に美味しい物なのではと思います。」
エイミーが言う。
「ふむ・・・エイミーは今年の夏はエルヴィス家に行くのだったか?」
「はい、その予定です。
年末はスミスと婚家に行きます。」
「そうか・・・その際に、この『枝豆』というのを食べさせて貰えると良いな。」
「そうですね。
食して見ないと良し悪しがわからないですよね。」
エイミーが頷く。
「ふむ・・・こっちでも少量を食べてみる事にするが・・・
エイミーはエルヴィス家に行った際に確認出来るならするようにしてくれ。
茹でる方法も、紙での印象とは違うかもしれない。」
「わかりました。」
エイミーが頷く。
「タケオと色々話したか?」
「はい、具体的な所は言えませんが、相も変わらず、発想が私達の斜め上を行っています。」
「そうか・・・だが、結果は凄い事になっているな。」
「ですね。
それも確実にエルヴィス家の収入になるようです。」
「羨ましいが、対応しているエルヴィス侯爵は大変そうだ。」
「はい、文官含め大変そうですが、楽しそうでもありました。」
「気持ちはわかる。
ま、うちも少しとは言え、恩恵を受けているからな。
是非ともタケオとエルヴィス侯爵の政策が拡大してくれるとありがたい。」
「はい、私もそう思います。」
ニールとエイミーが頷き合うのだった。
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