第3523話 441日目 さて、出立だ。(王都西では出迎え準備中です。)
第八兵舎前。
試験小隊の面々と武雄達が、作業服姿で集合していた。
「さてと・・・準備は問題ないですか?」
「大丈夫です。」
アンダーセンが武雄の問いに答える。
「忘れ物は・・・まぁ、2泊3日で戻りますから、忘れても問題ありませんがね。
エリカ、ジーナ、ビエラは?」
「「大丈夫です。」」
「問題ないよー。」
3人が言う。
「はい、ならば行きますか。
出発しましょう。」
「総員騎乗!」
アンダーセンが号令し、皆が騎乗し始める。
「よいっしょ・・・」
武雄が騎乗する。
「所長、馬の調子は大丈夫ですか?」
隣に居るマイヤーが聞いてくる。
「大丈夫ですよ。
ビエラ達が居ると馬が大人しいので助かりますね。」
「そうですね。
休憩を挟みながらでも昼過ぎには到着予定で行きます。」
「お願いします。
出発〜♪」
「出発!」
マイヤーの号令で武雄達が進み出すのだった。
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王都西の街の高級宿屋。
支配人の前に主だった者達が並んで居た。
「前から伝達していますが、本日、キタミザト侯爵様が到着されます。
料理は?」
「準備出来てます。
キタミザト様が料理をされるかもしれないので、食材は多めに用意をしています。
薪の方も問題ありません。」
料理長が言う。
「わかりました。
お部屋の準備は?」
「はい、16名のご宿泊で、キタミザト様が側室をお連れされるとの事で、前回エイミー殿下方がお泊り頂いた部屋を用意してあります。
それとは別に2人部屋を2つを予約され、1つは3人仕様に変更済みです。
他の方々には個室を用意しました。」
従業員が言う。
「それと6時課の鐘(12時)頃にご到着予定ですので、到着後直ぐに湯浴みが出来るように準備します。」
他の従業員が言う。
「ええ、お願いします。
皆さん、準備を怠らずにしっかりとしていきましょう。」
「「「はい。」」」
宿の準備も始まるのだった。
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アズパール王の執務室。
アズパール王とオルコットがお茶をしていた。
「昨日は、殿下方と遅くまで飲んでいたそうですね?」
オルコットが言う。
「・・・飲んでないぞ?嗜んだだけだ。」
「うん、飲んでますね。
まぁ、適量なら良いんですけど、陛下は大酒飲みですからね。
体の事も考えて、少しは控えてください。」
「善処はする。」
「はぁ・・・で、殿下方とは何を?」
「まぁ、今度の話とか、近隣の事とか、国内の事とかだな。」
「少しは、鬱憤を晴らせられましたか?」
「まーだ言い足りない。
とはいえ、クリフが真面目だからなぁ。
国内は堅調に発展をしていくように思うな。」
「ウィリプ連合国と戦争の影響が軽微であればですね。」
「・・・うん、軍務局の方はタケオと会議をしていて、今後の話をしている。
タケオから売り込みのあった・・・ブリアーニ王国から輸入するクロスボウだったか?
直ちにあれの評価試験をすると言っていたな。」
「言っていましたね。
軍務局としては、西側に配備する前に警備局と合同で王都の守り用として配備、訓練をすると言っていましたね。
まぁ、使い方と戦い方が決まらねば、戦争に使えないというのはわかります。」
オルコットが言う。
「・・・間に合うのか・・・」
アズパール王が腕を組んで考える。
「それは我々ですか?ブリアーニ王国ですか?」
オルコットがアズパール王に聞く。
「どっちも・・・だな。
タケオの事だ、王都で売れようが売れまいが、ある程度は輸入する事を決めて居るだろうがな。
予算も限りがあるから今は大量には注文出来ないか。」
「早くて4月以降に審議する来年の予算に入れるか・・・再来年では遅いでしょうね。」
アズパール王とオルコットが考えながら言う。
「足らなければ臨時予算か?」
「・・・魔王国側の関の強化費用補助、4貴族方へ参戦の労い金、今回の陞爵関係での費用、これらは来年度予算に組み込んで処理をしますが、更にですか?
通常の予算編成にも戦争への準備費用が入ってきます。」
「ううむ・・・収入は?」
「収入面では、専売局や財政局の製紙事業の拡大が計画通りになされれば、今回の支出を賄えるくらいには収入が増える見込みですが、今年中に利益を出すのは・・・」
「無理だよなぁ。」
「無理ですね。
とはいえ、軍務局が必要というのなら、買わないといけない事でもあるとも私は認識します。」
「ま・・・そうなんだよな。
少しでも勝てる確率が・・・いや、違うな。
兵士の命が無闇に危険に晒されないなら買うべきだな。」
アズパール王が頷く。
「・・・キタミザト殿は今、懐が温かいかと思いますが?」
「エルヴィスには優しいだろうが、我らには、ちゃんと利子を付けて貸してくるだろう。
だが・・・最悪は、それしかないか・・・戻ってきたら相談してみるか。」
アズパール王が言うのだった。
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