第3521話 お、毛布と薪がブリアーニ王国に到着したようです。(まずは一安心。)
ブリアーニ王国 王城前の広間。
アズパール王国から毛布と薪、それと野菜が届けられて、大炊き出しと配布作業がされていた。
「はい!並んでください!
大丈夫です!人数分は確保しています!」
「押さないでください!
ちゃんと人数分用意しています!」
「毛布と薪を受け取ってからスープの引き換え券をお渡ししています!
スープも大量にあります!近所の方は、一旦家に毛布と薪を持ち帰って頂き!再度お越し頂いても十分に間に合います!」
「相談窓口も用意しています!
気軽に、困り事の相談をしてください!」
係のエルフや獣人達が、大声で案内をしている。
少し離れた所で。
「はぁ・・・これは凄いな。
ほぼ全ブリアーニ王国住民だな?」
ヴァレーリが、炊き出しのスープを飲みながら人々を覗っている。
「まぁ、そうね。
今までバラバラに住んでいた住民を一か所に集めたからね。
この街以外のパーニ伯爵領に近い所と魔王国側に近い所、ドワーフの王国に近い所に3000名ずつの町兼関を作っているけど。
そっちは、移動も手配も済んでるの。
というよりも、関や家で足らない物を作りながら対応して貰っているから、元々多くの準備はしてあるの。
この毛布と薪はここの住人向けよ。」
ブリアーニが言う。
「なるほどな。
・・・シモーナさん達も頑張って声をかけているな。」
「うん、ありがたいわ。
自分達が先住だという壁をつくらず、積極的に馴染もうとしている。
今の所、種族間のイザコザに関してはほぼ無いという報告があったわよ。」
「ほぼか・・」
「ええ、そこは致し方ないわ。
政策を周知していても、長年かけて醸成された意識の壁が残るのは仕方ないわね。どうしても、今までは同種族しか居なかったから・・・」
ヴァレーリの呟きに、ブリアーニが返す。
「まぁ、扇動されたり、目に余る騒乱が起きないようにな。」
「それは目を光らせているけどね。
そういうのって、最初は目立たないでしょう?」
「そうだろうな・・・未だに魔王国でもあるんだから、昨日、今日、一緒になった者達ならあって当然だろうな。」
「うん。」
「さて・・・この景色が続くようにしないとな。
カールラ、スープありがとう。」
ヴァレーリが立ち上がる。
「うん、行くの?」
「あぁ・・・とりあえず、大きな混乱もなくブリアーニ王国が領地異動が完了させた事を確認した。
皆に、伝えてやらないとな。
あとはよろしく頼む。」
「各関の事は任せて。
魔王国と打ち合わせしながら固めていくわ。」
「うん、ではな。」
ヴァレーリがその場を離れる。
少し歩くと数名の兵士がヴァレーリの後ろに付く姿がブリアーニから見えるのだった。
「あれ?ダニエラさんは?」
シモーナがブリアーニの所にやってくる。
「仕事だから帰るって。」
「1泊して行けばいいのに。」
ブリアーニの言葉にシモーナが言う。
「さて、私も仕事かな。
シモーナさん、不足はある?」
「支払いお願いします。」
「はいはい、明日の朝一で持っていきますよ。
シモーナさん的に相談所に来る人達は、どのくらい来てましたか?」
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アズパール王の執務室。
アズパール王、クリフ、ニール、ウィリアム、オルコット宰相がお茶をしていた。
「はぁ・・・やっと地方貴族達が帰ったな。」
アズパール王が言う。
「タケオが未だ王都に居ますが?
それにしても、今回の陞爵では随分と新人が多くなりました。」
クリフが言う。
「新人は、まぁ・・・そういう時期なんだろうよ。
タケオはこれから旅行しに行くからな。
致し方ない。
ニール、クリフ達がこっちに異動してきたら、西側はニールが管轄する事になるが、大丈夫か?」
「・・・少なくとも、表立って何かしてくるとは思えませんね。
ま、当たり前ですが、見える形で仕掛ける事ではないので、当然ですが。」
ニールが苦笑しながら言う。
「その辺の話は、クリフが今後担当していく事になるだろう。
ウィリアム、引っ越しの準備は出来ているのか?」
アズパール王が言う。
「ええ、クリフ兄上向けの引き継ぎ書は出来ていますよ。
とはいえ・・・まぁ、慣れて貰うしかないですけど。
引っ越し自体は、部下達にお任せ中です。
クリフ兄上達とは違い、私達は今より広い屋敷に引っ越しですから。
すべて持っていけば良いだけです。」
ウィリアムが言う。
「はぁ、羨ましい限りだ。
こっちは、ほぼ売る事を考えている最中で、私が戻り次第、品々の査定がされる予定だ。
アンも王城に残るから、世知辛い親達の交渉を見せなくて済むのはありがたい。」
クリフが言う。
「なんだ、安く買い叩かれるのを見せないのか?」
アズパール王が聞く。
「はは・・王家の物品が買い叩かれる現実は、子供達には見せたくないですよ。」
クリフが苦笑する。
「あ、クリフ兄上、皿とか引き取りましょうか?」
ウィリアムが言う。
「ふむ・・・高価な物はウィリアムに売るか。」
「安くお願いします。」
クリフの言葉にウィリアムが苦笑しながら言う。
「さて、この面子だ。
少し国の話をしようと思う。」
アズパール王が言うのだった。
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