第3514話 食後の打ち合わせ。(始める前に言います、全部教えます。)
食事も終わり、武雄達の打ち合わせが始まった。
ちなみに、エリカは大急ぎで仕事を終わらせて戻って来たので、夕食の途中から参加している。
「さてと・・・今日は王立学院の3年生に講義をしましたが・・・それは別に良いでしょう。
エイミーさんとアンさん、スミス坊ちゃんにジーナ、ヴィートには現状のアズパール王国の事を話します。
そして、エルヴィス家とキタミザト家の今後に関する話もします。
これは、表立って言えない事も含みますから、取り扱い注意です。
まぁ、ヴィート以外は、幼少期より守秘に関する教育がされているので、特別な事ではありません。
ですが、こういった話は、ヴィートにとって恐らく初めてです。
ですから、基本的には『この面子以外の居る場では、絶対に話題にしない』という事を徹底しないといけません。
ヴィート、このルールをしっかり守ってくださいね。」
「はい、わかりました。」
武雄がヴィートに言う。
「ヴィート、お付きであるヴィートは、スミス様の参加する会議や打ち合わせの議事録や報告書といった書類を作成する仕事があります。
自分が会議に参加して発言するのではなく、基本的には『誰が何を言ったのか、その場で何が決定されたのか』を正確に記録しなければいけません。
今日は、ドネリー様が居ますが、お付きが自分しか居ない場での打ち合わせや会議に立ち会う事もありますので、議事録の作成能力は必須になるでしょう。
今日は、私とドネリー様とヴィートの3人が、それぞれ議事録を作ります。
書き上がったら、読み合わせての反省会をしましょう。」
ジーナが言う。
「はい、わかりました。」
ヴィートが頷く。
「では、はじめましょうか・・・と言いたいところですが、何が話しても良くて、何を話してはいけないのか・・・
判断が微妙で、線引きが曖昧です。
なので、この際です。
全部話します。」
「??・・・タケオさん、その判断が微妙というのは?」
アンが聞いてくる。
ちなみに、エイミーは「え?」と動きを止めている。
「ジーナが、この中では一番情報を持っています。
次がスミス坊ちゃんとエリカ、その次にエイミーさんとドネリーさん・・・で、アンさんですね。
『何処を基準に話すの?』と考えたのですが、面倒なので『うん、全部話しちゃお』となりました♪」
武雄が良い笑顔で言う。
「はい!タケオさん!それって、私やアンに聞かせても良い話ですか!?」
何か不穏な気配を感じたのか、エイミーが勢い込んで武雄に質問する。
「えー?もう、面倒なんですもん。
スミス坊ちゃん、今より婚約破棄は認めません。
是が非でも2人を娶って貰います。」
「ええ、元より、その覚悟です。」
「うん、よろしく頼みますね。
エイミーさんとアンさんも、嫁いで来る気なのでしょう?」
「それは・・そうですが・・・」
「はい!私も、ちゃんとエルヴィス家に嫁ぎますよ!」
エイミーとアンが言う。
「なら、今日知るか、2年後に知るかの違いですよ♪」
「随分と期間に幅がありますが?」
「え?そうですか?
今知っておいた方が良い事もある・・・かもしれません。
ね、エリカ?」
武雄がエリカに聞く。
「まぁ、そう・・かもしれませんね。
ただ・・・アン殿下への情報が・・・過度になりかねません。
そこが心配です。」
「大丈夫です。
全ての情報について、詳細な説明をする訳ではありません。
全体の流れと、今している事を話すだけです。」
「うーん・・・まぁ、不都合があったら、私やエイミー殿下と話せば良い事ですかね?」
エリカが考えながら言う。
「その際は、お願いします。」
武雄が言う。
「はい、わかりました。」
エリカが頷く。
「では・・・そうですね・・・慣例の戦争と、魔王国とデムーロ国の戦争の話の裏側の話をしていきましょうか。
あ、ちなみに陛下も知らない内容を含みますので、取り扱い注意です。」
武雄の言葉に、皆の顔が強張るのだった。
精霊達のお茶会はというと。
「はい、今日の司会進行は私、アルです。」
チビアルが言うとチビパナ、チビマリ、チビパラス、チビアトロポス、チビアウクソー、チビペイトーが頷く。
「えーっと、まずはこの面子で集まったのは久しぶりですね。
基本的な精霊通信のやり方は、パナとコノハ、エルヴィス侯爵領に居るニオとテトとがやり取りをする為に作った物を使用しています。
なので、基本は私達タケオ一派の精霊と、一研にムンムとバビントン子爵領のロキです。
基本的に、タケオ一派に入らないと精霊通信の使用方法は教えない事にしています。」
チビアルが言うと皆が頷く。
「ちなみに、ロキとムンムが使えるのは、武雄にムンムが土下座したからです。」
チビパナが説明する。
「え!?ムンムが!?」
チビアトロポスが驚く。
「はい、ロキと精霊通信がしたくて、教えを請われました。
タケオが了承したので、やり方を教えました。
元々は、エルヴィス侯爵邸がある街内や王立学院内等の近距離で、精霊同士が連絡を取り易くする為に作られました。
なので、他の地域の精霊達に教えるにはタケオの判断が必要になります。」
チビパナが言う。
「そうですね。
無線機の一斉同報の様に、皆に同時に声が届きますからね。
精霊の契約者が何処に所属しているのかを確認し、その精霊を精霊通信のグループに入れたいのであれば、今後はタケオの判断が必要でしょうね。
タケオが不在であれば、エイミーかエリカの判断が必要でしょう。」
アルが頷くのだった。
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