第3513話 まずは和食の会を皆で堪能しよう。(好評な食事会です。)
王都守備隊 第八兵舎内 武雄とエリカに割り振られた貴賓室。
スミスとエイミー、ヴィート、ドネリーが合流し、少し早めの夕食の準備が武雄とジーナによってされていた。
メニューは前回の『和食の会』で振る舞われた品々。三色丼、おいなりさん、うどん、キュウリの浅漬け、どら焼きが皆の前に並べられた。
「うむ、見事だ!」
人間サイズで顕現したマリが、席に着いて感嘆する。
「うん、その言葉が聞けて何よりです。」
武雄がにこやかに言う。
「タケオさん、これは・・・最近のエルヴィス侯爵家では、これが普通なのですか?
前回、私が訪問した時は、玄米料理は出てこなかったと思うのですが。
以前、タケオさんがこちらに来た際に食べさせて貰いましたが、玄米料理って特別な時に出るメニューですよね?」
エイミーが聞いてくる。
「んー?・・・月に1、2度食べていますよ。
私と精霊達だけが集まって、玄米を中心とした料理を食べる『和食の会』というのを開いてましてね。
エルヴィスさんやアリスは、この会には参加しないで、時間をずらして食べています。
今回は、マリ達にも食べさせたくて持ってきました。」
「そ、その『和食の会』というのは、とても重要な事を話す場なのでしょうか?」
エイミーが、少し緊張しながら質問する。
「重要?・・・まぁ、重要ですかね。
料理や作物に関する作業の進捗とか、今後やりたい事を話していますね。」
「・・・とても重要な食事会という事が分かりました。」
エイミーが言う。
「あの、キタミザト様、私にも精霊が付きましたので、皆様にご挨拶をさせたいのですが、よろしいでしょうか。」
ドネリーが武雄の元にやってくる。
「はい、構いませんよ。」
「はい、アトロポス、挨拶を。」
「うん!初めまして!
アリシア・ドネリーと契約したアトロポスです。
よろしく!」
アトロポスが現れ、武雄に挨拶する。
「はい、お願いします。
アトロポスは・・・パナ、後で話をして、確認しておいてください。」
「はい、タケオ、その辺は後でしておきます。
というより、食事が終わった後で、タケオ達とは別に、私達はチビ化して精霊会議ですね。」
「ええ、ドネリーさんも一緒に食べてくださいね。」
「はい!ありがとうございます!」
ドネリーが軽く礼をして席に戻り、夕食の準備が整うのを待つ。
「さて・・・行き渡りましたか?」
武雄が皆を見る。
「はい!」
アンが手を挙げる。
「はい、アンさん。」
「はい、食べ始める前に教えてください。
先程から気になっているんですが、タケオさんとマリ殿の席が皆から若干離れていませんか?
タケオさんが端っこで対面にマリ殿で、私達の間に各精霊達・・・離れていますよね?」
アンが聞いてくる。
「ええ、意図的に席を配置していますよ。」
「あ、意図的なのですね。」
アンが頷く。
「ええ、メニューのうどんなんですが、私やマリの食べ方だと食べる時にかなり音が出てしまうのでね。
一応、音は控え目にしようと思いますが・・・食べる音が聞こえても『国や土地柄によってそういう作法の食べ方もある』と思って、気にせず食べていてください。」
武雄が言う。
「そうなのですか?」
アンが聞いてくる。
「ええ、こればかりは・・・
一応、私もマリも注意は払いますが、絶対にそれなりの音が出ます。」
「・・・私は気にしなくて良いのですね?」
「ええ、こっちの事は気にせずに食べてください。
はい、では、食べましょうか。」
武雄が言うのだった。
・・
・
食事が始まると。
「!!エイミーお姉様!これ美味しいです!」
「ええ、美味しいわね。
アン、美味しくても少しはマナーを気にしなさい! 口の周りに・・・」
アンが驚愕の顔をエイミーに向け、エイミーは布巾でアンの口の周りを拭いてあげている。
「ううっ!美味しいです!」
「うん、美味しいわね。
料理は逃げないからゆっくり食べなさい。」
アンとエイミーが食べている。
「やはりエルヴィス家は就職先として最上位です。
この料理だけでも破格の待遇です。」
ドネリーが目を瞑り、感慨に耽っている。
「この美味しい食事が、これからはあまり食べれなくなるのですね・・・」
ヴィートが噛みしめながら食べている。
「うん♪美味しいですぅ♪」
ジーナが満面の笑みで食べている。
「うん、うん、うん♪」
スミスが頷きながら一口ずつゆっくりと食べている。
「はぁ・・・これは美味しいわ。
やはり、たまに食べる日本食は良いわね。」
アルが頷く。
「三色丼も中々だね。
・・・うん、食べ応えも良いね。」
パラスが丼を食べながら言う。
「はぁ・・・ドネリーと契約して良かった。」
アトロポスが呟く。
「・・・うん、皆の評価は良いですね。」
パナが皆を見ながら、食べているのだった。
で、武雄とマリはというと。
「うん・・なるほど、これで後は醤油と味噌か。」
「ええ、今の予定だと戻ったら試食になるはずです。
スミス坊ちゃん達は夏に帰省する予定だというので、それまでに料理を考えておきます。
マリは何か食べたいですか?」
「そうだなぁ・・・醤油でキノコの炊き込みご飯が良いな。」
「わかりました。
炊き込みご飯系で『和食の会』ですね。」
武雄が頷くのだった。
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