第3509話 魔法師専門学院に行こう。(まずは学院長と話しましょう。)
魔法師専門学院の学院長室。
トレーシーの後任である学院長と、武雄達が話し合いをしていた。
「なるほど。
つまり、エルヴィス家は攻撃の魔法師部隊と、ケアを専門とする救護部隊を、次年度から別に作るという事ですね?」
学院長が言う。
「はい、そう聞いています。
なので、募集を2つ出させて頂きたいのです。
可能ですか?」
武雄が聞く。
「可能ではあります。
ですが、エルヴィス家の募集には・・・」
学院長が頷く。
「まぁ、エルヴィス家の給金は他の貴族家より少々低いので、人材が集まり辛いのは承知していますが、戦闘が苦手な方の受け皿になれれば良いと思っています。」
「わかりました。
ちなみに、今年の卒業予定者でエルヴィス家を志願しているのが・・・現状、1名でして。
理由としては、王城側で例年より多く採用された事による影響です。
・・・エルヴィス家以外でも、定員割れが多数起きている現状です。」
学院長が項垂れながら呟く。
「まぁ、王城での採用が増えた原因は、私ですね。
王都守備隊と第1騎士団からベテランを引き抜くように陛下から言われて、毎年10名程度を採用すると言っていますからね。
部隊内の配置が繰り上がり、新入隊員の採用枠が増えたのでしょう。」
武雄が言う。
「はい・・・その様です。」
学院長が言う。
「ちなみにですが、ゴドウィン家とテンプル家も魔法師の増員に動きます。」
「本当ですか?」
「ええ、魔王国との慣例の戦争時に、東側3伯爵との歓談で出た話題です。
長期的な計画として、ゴドウィン伯爵領軍が15小隊、テンプル伯爵領軍とエルヴィス侯爵領軍で5小隊ずつに編成すると。
現状は、ゴドウィン伯爵領軍が10小隊、テンプル伯爵領軍とエルヴィス侯爵領軍で2小隊ずつしかないですからね。」
「合わせて、14小隊280名ですか。
んー・・・」
学院長が考える。
「小耳に挟んだのですが、今年から魔法師専門学院への入学の門戸を広げたそうですね。」
「情報源はトレーシー殿ですね。
はい、その通りです。
去年までは90名前後でしたが、今年から150名に増えました。
来年は・・・1月になって、子供達の魔力量を計測しないと正確な数字はわからないのですが、今年と同等数が入学してくれると考えています。
今の1年生達が卒業する頃には、現状の各貴族方からの応募数に対しする定員割れが発生しない状況に持って行けるかと考えていたのですが・・・
新たに・・・揃って魔法士の増員に動くのですか・・・」
学院長が難しい顔をする。
「教育方針に何か物を言う立場にはありませんが、魔力量をドンドン伸ばしておいてください。
今回の慣例の戦争でも痛感しましたが、とりあえず魔法の数を撃たないといけない状況というのが、これから多くなるでしょう。
もちろん、正確な位置に撃てたり、多種の魔法を扱える事も大事ですが、基本の魔力量の増加を最優先で取り組んで欲しいですね。
あとの事は、配属してから鍛えても遅くはありません。」
「ふむ・・・戦争での実戦を経験され、戦果をあげたキタミザト殿の言葉は重いですね。」
「去年採用したケードとコーエンは、ちゃんと兵士として役目を全うしてくれましたよ。」
「オーガを倒せたと聞いていますし、本人達にも前に王都に来た際に少し話しました。
2人が生還してくれて、ホッとしました。」
学院長が言う。
「やはり、卒業生が無事だと安心しますか。」
「ええ、毎年1名か2名は訓練や実戦での不慮の事故があるので、今回ばかりは続報が入る度に気になっていました。
魔王国側の伯爵領軍に就職した子達も無事に戻って来たと聞いた時は安堵しました。」
学院長が言う。
「結果は最上でした。」
「はい、ゴドウィン家から来た戦争の報告書は、私達教師陣も読みましたが、学生達にも写しを回覧させています。」
「おー、そうなのですね。」
「はい、報告書を読んで、1名がエルヴィス家に志望を変えました。」
「え?・・・それまでは居なかったと?」
「・・・ええ。」
「はぁ・・・エルヴィスさんになんて言おう・・・」
武雄がガックリとする。
「はは・・よろしくお願いします。
来年の募集用紙の提出締切は例年通り11月末で、貼り出しが12月1日になります。
10月末には募集用紙を各貴族家の軍務局に送りますので、記入して提出をお願いします。」
「あ、なら、募集用紙の仕事内容欄や備考欄を大きくしてくれませんか?
救護部隊の仕事内容を詳しく書いておきたいのです。」
「わかりました。
お送りする募集用紙の欄の大きさを変更するように言っておきます。
ちなみに、キタミザト殿の第二研究所は募集はされますか?」
学院長が聞いてくる。
「んー・・・今の所、私は考えていませんが、実部隊指揮官である試験小隊長がどう考えるかですね。
増員して欲しいと言われれば、募集をかけようかと思います。」
武雄が言う。
「わかりました。
でしたら、念の為、キタミザト家宛にも募集用紙をお送りいたします。
募集の検討をお願いします。」
学院長が言う。
「わかりました。
でしたら、第一研究所のアルダーソン殿にも送ってください。
私だけ貰っては、不公平でしょうから。」
「はい、わかりました。」
学院長が頷くのだった。
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