第3495話 エリカとエイミー達の雑談。(武雄は出かけました。)
王都守備隊 第八兵舎内 武雄とエリカに割り振られた貴賓室。
エイミーとアン、スミスが訪れていた。
出迎えたのは、エリカとジーナと初雪だった。
「精霊通信をしても、パナ殿から返事が無いから直接訪ねて来ましたけど。
タケオさんは留守だし・・・」
エイミーがガックリとする。
「タケオさんなら、同期の飲み会だと言って、機嫌良く出掛けて行きましたよ?
後でジーナ殿が迎えに行く事になっていますけど。」
エリカが言う。
「・・・なら、明日か明後日にでも話を聞きに来ます。」
「明日、ご主人様達は王立学院と魔法師専門学院を訪問される予定になっています。
明後日からは、アズパールカレーの打ち合わせの為に、王都西に数日出掛けてしまいます。」
ジーナが、武雄の予定を説明する。
「では、明日、王立学院に立ち寄られた際に話しを聞かせて貰います。
エリカ殿、エルヴィス家の陞爵の件、事前に知っていましたか?」
「いえ、まったく。
私としては、タケオさんが侯爵になるだけでも驚きでしたので、考えすら及びませんでした。
まぁ、陞爵したという事は、何かしらの功績を王城が認めたという事なのですから、大変喜ばしい事だと思います。」
エリカが言う。
「たしかに、その通りなんですが・・・本当に急に決まったんですね。」
エイミーが言う。
「はい、ですが・・・タケオさんが、陛下にエルヴィス殿の功績を報告したのでしょう。
王城が陞爵を認めたという事は、とても大きな功績をあげたのでしょうから、不安を感じる必要はありませんよ。
それよりも、侯爵領を引き継がれるスミス殿が、エイミー殿下やアン殿下と共に、今後どの様に領地運営をされるかが問われますね。」
エリカが言う。
「んー・・・タケオさんとエルヴィス殿が、何か考えているんだと思いますが、私もアンもスミスも領地に行ってから試されるんでしょうね。」
「ふふ、そうですね。」
エリカがにこやかに言う。
「ジーナ、その件について何か知っている?」
エイミーが聞く。
「いえ、そこは、未だ私にも教えられていませんが・・・確か、そもそもの計画では15年後には収入は1.4倍~1.8倍になり、人口も1.5倍の8~9万人にする予定で動いていましたから、それがどの程度の進捗状況になるなのか・・・」
ジーナが言う。
「そうだったね。
タケオさんとフレデリックが、そう言っていたね。」
「言っていましたね。」
スミスとエリカが頷く。
「1.5倍?・・・町と村を何個作るのかな?」
エイミーが首を傾げる。
「うん?エイミーお姉様、村作りが気になるのですか?」
アンが聞いてくる。
「うん、人口を1.5倍にするというのは数字で書くと簡単だけど、実際にやるのは『頭がおかしい』と言われかねない計画なのよ?
「そうなのですか?」
「うん、村を作ったことがある者なら判るけど、1.5倍という数字は途方もなく難しいのよ。
でも、タケオさんとエルヴィス殿は、真面目に其れを目指すと言っているのよ。
となると・・・今のエルヴィス領の人口からすれば、新しい村が15個と、新しい町が3つくらいは必要ね。
今、エルヴィス家は北町、西町、東町、南町があって、そこに約5個ずつの村を管轄しているのよ。
大体の人口規模は町で2000人、村で300人ね。
で、エルヴィス侯爵家がある領都の街は50000人程度ね。
合わせて64000人居るわ。
これを80000人にするとなると16000人増よ。
今の統治方法で考えるのなら、町1つと村5個で3500人よね?
町と村のセットを何個も新しく作るのか、領都や既存の町村を拡大するのか・・・ここの方針を聞かないといけないかもね。」
エイミーが言う。
「エリカ殿、エリカ殿ならどうやって16000人を住まわせますか?」
スミスが聞いてくる。
「・・・そうですね・・・町と村のセットを3つ新たに作り、北町と西町、南町に村1つを作れば、10000名増に対応できるでしょうかね。
新しい町と村の者達には、耕作用の農地拡張をお願いします。
残り6000名ですが・・・3000名は東町の下に村を5つほど増やして、畜産を主体とした農業をお願いするかと。
残り3000名は、領都の城壁外に新市街地を作って対処する感じでしょうか。」
エリカが考えながら言う。
「町を新たに作るのですか?」
スミスが聞く。
「名称はあれですが、北西町、南西町、南東町の3つを作り、既存の町と同じように領主邸がある街を囲む様に配置します。
もちろん、今、ミア殿達がしている、狼達による魔物の管理をします。
そうすれば、領都を中心として安全地帯がより強固になり、領内の町間の物流が滞りなく出来るようになるでしょうね。」
エリカが言う。
「・・・なるほど。」
スミスは、エリカの言葉を想像しながら頷く。
「ですが、エリカ様、その完成は15年後になります。
スミス様達が領地に戻ってこられる頃はまだ、人口増加は途中かと。
なので、町の下に付く村を増やしていく段階かと思われます。」
ジーナが言う。
「うん、そうね。
・・・あ、そうか。
スミス殿達が領地に来てから新規村の開拓を始めるように時期を合わせれば、スミス殿達が領地の発展に寄与したとして王城に対してアピールする事が出来るか。
無理をすれば・・・村を15個作って、残りを領都でとすれば・・・70000人に出来るか・・・短期間で人口1割増なら王城の覚えも良くなるわよね。
となると、やらなければならないのは・・・上手くやれば、スミスへの代替わりで爵位が下がるエルヴィス家の侯爵復帰も割と早いかしら・・・」
エリカが、スミスを見ながら言う。
「・・・エリカ殿、その人口1割増がとてつもなく難しいのですが?」
エイミーが言ってくる。
「・・・・・・そうね。」
エリカが考えながら頷くが、エイミーの問いに納得したという事ではなく、相槌だけの頷きなのは周りの皆もわかるのだった。
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