第3492話 ダニエラと武雄、どっちが奇抜?(ジーナへのご褒美はまた後日に。)
ブリアーニ女王の執務室。
「まぁ、悩んで贈るしかない。」
「贈る物が決まった、ダニエラはスッキリした顔ね。」
「まぁ、当然だな。
さて、我の方は以上だが、カールラの方もないか?」
ヴァレーリがブリアーニに聞く。
「えーっと・・・あ、クロスボウの先行手配が明記されているわ。」
「先行?」
ヴァレーリが聞く。
「うん・・・キタミザト殿がアズパール王国の軍務局に説明したら、耐久試験をするから10個を売って欲しいとなって、現在500個を頼んでいるうちの10個を先に欲しいって。」
「ほぉ・・・キタミザト殿はそっちの仲介もしていたんだ。武器商人としても優秀なのかもしれんな。
売り込んだ先での耐久試験か・・・誤魔化しがきかない厳しい試験になりそうだな。
短期間でそこまで話を漕ぎつけたのは、流石としか言えないが。」
「うん、試験で良い結果が出れば、キタミザト殿の個人購入だけでなくアズパール王国として本格導入に結びつけば、さらなる追加納入に繋がるかもしれないわ。
ちょっと、工房に行ってくる!」
ブリアーニが席を立ち、退出していく。
「うーん・・・部下に行かせれば済む事だと思うんだが・・」
ヴァレーリがブリアーニが出て行った扉を見ながら言う。
「ぎゅ?」
リーザが首を傾げる。
「あぁ、たぶん10個持ってくるぞ。」
ヴァレーリがリーザに言う。
「ぎゅー?」
リーザが首を傾げる。
「だろうな。
キタミザト殿に持って行ってからエルヴィス殿の屋敷に戻る感じだろう。
リーザやビエラは、直接王城に出入りしても大丈夫なのか?」
「ぎゅ。」
「そうか、一応、気を使って、王都の城壁から少し離れた所に降りるのか。
まぁ、何度も行き来しているのなら皆がわかっているだろう。」
「ぎゅ。」
「お迎えはジーナというのか。」
「ぎゅぎゅ。」
「あぁー、ヴィクターの娘か。
まぁ、我は会った事ないが・・・真面目な娘であろう。」
「ぎゅ♪」
リーザが笑いながら頷く。
「年頃になると親に反発して捻くれるという話も聞くが、根底にある性格は幼少期の教育による影響が大きいと考えるのが普通だ。
貴族家の令嬢として、幼少期から教育を受けているのであれば、おそらくは真面目な性格に育っているであろう。
将来どうなるか知らんが。」
「ぎゅ?」
「そうだな。
キタミザト殿の隣に居るには、真面目な者の方が良いだろう。
主人とお付きが揃って暴走したら、誰も止められん。」
「ぎゅぎゅ♪」
「・・・ほぉ、リーザも言うようになったな。
だが!我はキタミザト殿程、奇抜ではないわ!」
「・・・ダニエラ様、私からしたらダニエラ様も十分に奇抜です。
リーザ殿、私の気持ちを代弁してくれてありがとうございます。
ええ、ええ、リーザ殿の言う通り、私の主も困ったもので。」
ヴァレーリの隣にいるアンナローロが、疲れた顔をしながら言う。
「ぎゅ~。」
「ええ、本当に。」
アンナローロが、リーザに同意する。
「えっ、そこまでなのか!?・・・そりゃあ、少しは迷惑をかけている自覚があるが・・・。」
ヴァレーリは、苦虫を嚙み潰したような顔をする。
「もしかして、改善して頂けるのですか?」
「ぜ、善処する。」
ヴァレーリが即答する。
「ぎゅ。」
「ええ、まだまだ楽は出来そうにありません。」
「失礼だな、お前ら。」
ヴァレーリが2人に言うのだった。
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第八兵舎の王都守備隊総長の執務室。
「そういえば、御前仕合に優勝したジーナへの御褒美がまだでしたね。」
武雄がジーナに話を振る。
「覚えておられましたか。」
「ええ、『私に出来得る限りの物で、金貨1枚以内』ですけどね。
何か、希望はありますか?」
「ご主人様と摸擬戦がしたいです。」
「嫌です。」
武雄が即答する。
「・・・」
ジーナが、口をへの字にして表情で抗議してくる。
「はは、所長が居ない時に王都守備隊員に聞きましたが、ジーナ殿も相当腕を上げたようですよ?
ジーナ殿の本気を受けられるのは所長とアリス殿ぐらいなんですから、受けて差し上げれば良いのでは?」
マイヤーが言う。
「はぁ・・・せっかくのご褒美に、物騒な事を望まないで欲しいですね。
摸擬戦以外にないのですか?」
「ありません。」
ジーナが言う。
「はぁ・・・ジーナにも困ったものです・・・
ジーナ、摸擬戦はしてあげますから、御褒美は他の物にしなさい。」
「他ですか・・・少し、お時間をください。」
ジーナが考えながら言う。
「ええ、考えて、私にして欲しい事を言いなさい。」
「で、所長、ジーナ殿との模擬戦はいつになさいますか?」
マイヤーが聞く。
「今日は夕方から同期の貴族達と飲みますし、明日は王立学院と魔法師専門学院を訪問しますよね。
明後日からは、王都西とリツに会いに行って・・・
そういえば、来年度の異動してくる者達との打ち合わせって、いつでしたっけ?」
「1月19日の昼前で予定しています。
その日は、リツ殿に会って帰城した次の日なので、王都出立の前日で休養日ですが、それは午後からで。」
マイヤーが言う。
「わかりました。
確か、既婚男性が5名、独身女性4名、既婚女性が1名でしたね。」
「はい、全員に面談日時を伝達済みです。」
マイヤーが言う。
「確認しておいて良かったです。
なら、模擬戦はリツの所でやりましょうか、ジーナ。」
「はい、わかりました。」
ジーナが頷くのだった。
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