第3490話 ヴァレーリ達は駐屯地視察帰りにブリアーニ王国に来ています。(物資の取り合い中。)
ブリアーニ王国 銀の月商店。
ブリアーニとヴァレーリ、アンナローロ、タローマティがシモーナとお茶をしていた。
アンナローロは、タローマティと紙に書き込み等をしながら話し合っている。
「うーん・・・木材が足らないかぁ。」
ヴァレーリが書類を見ながら言う。
「ダニエラ、第7軍駐屯地の視察から戻ってきて、その書類見ながらぼやいているけど。
建設資材は魔王国から入れるんでしょ?」
ブリアーニが聞いてくる。
「そのつもりでいたんだが、ファロンの領地が最優先なんで、木材が足りないんだよ。
彼方では、デムーロ国との国境に壁を作っているだろ。
いくら石造りとは言え、木材も結構必要らしいんだ。
周辺の領主達にも木材なんかの供給で支援依頼を出しているが・・・こっちに回ってくる量が思ったより少ないという結果になった。」
ヴァレーリが言う。
「駐屯地の設営計画が遅れそうなの?」
「ん〜・・・アンナローロ、工程の変更は出来たか?」
「大まかには出来ましたが・・・最優先は、私達の分も含めて居住棟ですよね。
駐屯地周囲の柵は後回しとしました。
これなら、今の予定の7割は建設出来そうですが・・・んー・・・ダニエラ様、第5軍の魔法師達はファロン殿の方ですよね?」
「あっちが優先だな。
早く国境を封鎖しないといけないし・・・ある程度まで目途が立たないとファロンへの引き継ぎが出来ないからな。
ただでさえ、現地民との調整で大変なんだから、国境ぐらいは作ってやらないとファロンの政務処理能力を超えてしまうだろうよ。」
ヴァレーリが言う。
「はは・・身内としては肩身が狭い話ですね。
まぁ、兄に比べて能力が低そうなのは感じていましたが。」
シモーナが苦笑する。
「シモーナさんも身内に辛辣だな。
という事で・・・シモーナさん、木材ないですか?」
ヴァレーリが、シモーナに聞いてみる。
「・・・此方も領地異動で住民が入れ替わったばかりの為、家々の補修もありますし・・・
木を切り出しに行く人員すら、何処に頼めば良いのか分からず。
そもそも、依頼すれば直ぐに仕事を受けてくれるのか、伐採や製材の費用はどのくらいで、どのくらいの売上が見込めるのか・・・概算を出すのも苦労しそうです。」
シモーナが言う。
「あ、シモーナさん、その辺はブリアーニ王国の文官に相談してくれて構いませんよ。
異動してきた者達の職業や滞在先をリスト化していますから、適切な人員を選抜出来ます。
それに、仕事があると国民のやる気に繋がるので、そういった相談は歓迎です。
頻度が高くなれば直接取引すれば良いですが、最初は文官を通してやっていく方がスムーズでしょうからね。」
ブリアーニが言う。
「わかりました。
ダニエラさん、木材はどのくらい欲しいのですか?
先ずは、ブリアーニ王国内で調達可能な量を算出しないといけません。
それでも足りないとなったら・・・エルヴィス伯爵領からの輸入ですかね?」
シモーナが言う。
「わかりました。
アンナローロ、今時点で不足すると分かっている量に少し上乗せした数字で、シモーナさんにリストを渡してくれ。」
「畏まりました。
・・・木材以外にも不足する資材があるかもしれないので、取りまとめてから再度お知らせします。」
アンナローロが言う。
「はい、お願いします。」
シモーナが頷く。
「失礼します。
カールラ様、ダニエラ様、アズパール王国のキタミザト家アリス様よりお手紙が届きました。
女王陛下がお呼びです、お戻りください。」
エルフの執事が店内に入って来て、ヴァレーリ達に言う。
「ふむ、わかりました・・・シモーナさん、魔王国から木材関係の話があったら文官にお願いします。」
「屋敷に向かうか。」
ブリアーニとヴァレーリが立ち上がる。
「出来るだけ早く提出させて頂きます。」
「お茶、ありがとうございました。」
アンナローロとタローマティも立ち上がる。
「はい、お仕事頑張ってくださいね。」
シモーナが言うと4人が店を出ていく。
「はぁ・・・木材か。
私、輸出入業なんだけどなぁ・・・と、まずは残留した人達の中で伐採をしていた人に声をかけて、どんな木材がどれだけ採れそうか確認しないとなぁ。」
シモーナが呟くのだった。
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第八兵舎の王都守備隊総長の執務室。
武雄は、マイヤーとブルック、初雪、ビエラと合流していた。
マイヤー達の前には王都の地図が広げられていた。
「所長、授与式お疲れ様でした。」
マイヤーが言う。
「タケオ、お疲れ!
ジーナもお疲れ!」
ビエラが言う。
「ええ、とりあえず無事に終えてきましたよ。
此方は、ジーナの件以外は特に問題ありませんでしたが・・・総長は?」
「授与式に参列した後は、少々外出すると聞いております。
なので、ここで一番堅牢な場所を私達がお借りしています。」
「ふむ・・・今の所、不穏な動きはありますか?」
「初雪殿が密かに監視していますが、今の所、王城から出て行った者の追跡をしている段階です。
監視対象の位置は、初雪殿のスライム達から随時連絡が来ておりますが、王城を出てから王都を離れた者はいない様です。
アンダーセン達の仕事が順調ならば良いのですが。」
マイヤーが言う。
「ふむ、皆が戻ってきたら、擦り合わせをした方が良いでしょうね。」
武雄が言うのだった。
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