第3486話 控室に王家一同到着。(アンから依頼・・・されるかも。)
貴族控室に、王家のクリフとアン、ニールとエイミー、ウィリアムとアルマ、レイラが入ってくる。
室内に居た貴族達は、席を立って頭を下げる。
「皆、久しぶりだな。
今日は授与式だ、見届けさせて貰う。
座ってくれ。」
クリフが貴族達に言うと、皆が着席する。
「おー、アシュトン、久しぶりだな。」
王家一同が挨拶回りを始める。
殿下達が挨拶に回ってくるまでの間、武雄達の席では。
「えーっと・・・いつもは第3皇子一家の執務室にいますから、実は私、こういった行事への参加は初めてですね。」
エリカが言う。
「そうだったんですね。
緊張していますか?」
武雄がエリカに聞く。
「緊張している訳ではありませんが、不思議な感じです。
たぶん、アルマ殿下とレイラ殿下もそう言うかもしれませんが。」
「まぁ、そうでしょうね。」
エリカと武雄が話している。
「タケオさん。」
アンがひょこッと顔を出す。
「あれ?アン殿下、挨拶回りは?」
「まだ途中ですが、父上達が話し込んでいるので、
タケオさんに用があったので、私だけ先行しました。」
アンが言う。
「そうですか。
アン殿下、こちらがゴドウィン伯爵、こちらがテンプル伯爵です。」
武雄が立って、2人を紹介すると席の皆が席を立つ。
「何度かご挨拶はしておりますが、改めまして、第1皇子一家のアン・クリフ・アズパールです。
通達でご存じの通り、スミス・ヘンリー・エルヴィスの婚約者になりました。
領地へ赴くのは、まだ先ですが、よろしくお願いします。」
アンが綺麗な礼をする。
「アン!勝手に先に行かないの。」
エイミーがやってくる。
「あ・・・エイミー・ニール・アズパールです。
アン共々スミスの婚約者になりました。
よろしくお願いします。」
エイミーも2人に挨拶する。
「「こちらこそよろしくお願いします。」」
ゴドウィンとテンプルが、礼を返す。
「2人とも、父親を置いてきて良いのですか?」
武雄が聞く。
「平気ですよ。
これからお世話になる婚約者の関係者に挨拶するのですから、優先されます。」
「いや、されないから。」
アンの言い分に、エイミーがダメ出しをする。
「クリフ殿下達は、未だ来なさそうですね・・・
アン殿下、何か私に聞きたいのですか?」
「あ、そうです。
タケオさん、私の側付きにするメイドを紹介頂けませんか?」
アンが言ってくる。
「・・・」
エイミーが額に手を当ててガックリとしている。
「お付きですか?
紹介して欲しいというなら人員の選考をしますが、お付きが欲しいのですね。」
武雄は、今初めて聞いた風を装って聞き返す。
「はい、スミスにヴィートが、エイミーお姉様にドネリーが付いているように、私もお付きを付けようと思って。
良い方を紹介してください、お願いします。」
「ん~???・・・エルヴィスさんは知っていますか?」
「いえ、知らないですよ?
ただ、私と同じくらいの見た目だと、タケオさんの所のメイドが良いと思ったのです。
それに、ゆくゆくはエルヴィス家に嫁ぎますしね。
今の内から、エルヴィス家と繋がりがある者を傍に置きたいのです。」
アンが言う。
「ふむ・・・エイミー殿下、何かありますか?」
「すみません、授与式後に探そうかとは思っていましたが、アンが今日この場でタケオさんに話を持っていくとは思いませんでした。
アン、とりあえずこの話は今は止めましょう。
一旦王都で探して、良い人が居なかったらエルヴィス伯爵殿とタケオさんに報告と相談でしょうね。」
「でも・・・タケオさんの所で探すのが良い気がします。」
アンがエイミーに言う。
「それは、そうかもしれないけどねぇ。」
エイミーが腕を組んで考える。
「エイミーちゃん、アンちゃん、私達を置いて行っちゃダメよ。」
レイラを先頭に、王家の大人達がやってくる。
「えへ、ごめんなさい。」
「すみません、レイラお姉様。」
アンとエイミーが言う。
「まぁ、婚約者の傍に居たいわよね。」
アルマが言う。
「アンはタケオの隣にいるがな。
んんっ、改めて皆、良く来た。
今日は授与式だ、よろしく頼む。」
クリフが武雄達に声を掛けると、皆が頭を下げる。
「陞爵と降爵が一堂に会するからな。
気を緩めずに当たってくれ。」
ニールが言う。
「・・・もう、ジーナの件でお腹いっぱいです。
黄金色のお土産を貰って満足していますので、もう要りませんよ。」
武雄が小馬鹿にしたように言う。
「タケオ、その件は、もう終わっているのだろう?」
クリフが聞いてくる。
「はい、私達当主間では示談が成立しています。」
武雄が言う。
「アドラムの方には、さっき小言を言っておいたし、授与式後に再度、俺とクリフ兄上とで叱っておく。」
「これで誠実な貴族になってくれれば良いんですが。」
武雄がにこやかに言う。
「はぁ・・・そもそも、ちゃんとした貴族ならこんな苦言を呈する必要は無いさ。
そんな貴族に変化を求めるなら・・・経過観察が必要だろう。」
クリフが呆れながら言う。
「ま、魔王国側は注意深く見守っていこうと思います。」
武雄が言うのだった。
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