第3483話 とりあえず武雄到着。(まずは怪我がないか確認しないとね。)
貴族当主のお付き達の控室前。
武雄が、ゴドウィンとアルダーソンを引き連れて到着した。
「うーん・・・近づけば近づくほど、魔眼の余波がありますね。
とはいえ・・・アルダーソン殿、大丈夫ですか?
魔眼、初めてでしょう?」
武雄が振り返り、アルダーソンを見る。
「これが魔眼・・・凄い物だな。」
アルダーソンが言う。
「タケオ、俺の心配はしてくれないのか?」
「ジーナの魔眼と、ジェシーさんの無言の圧力、どっちが怖いですか?」
武雄がすまし顔で聞く。
「・・・・・・・・・ジェシー。」
めちゃくちゃちっちゃい声でゴドウィンが呟く。
「でしょ、だからゴドウィンさんの心配はしていません。
魔眼の方が、奥様より下なのです。
では、中へ入りましょう。」
「わかりました。
キタミザト様方をお連れしました、入ります。」
武雄に促され、メイドは扉を開けると室内に向かって大声で告げてから案内するのだった。
室内では、それぞれのグループが集まって座っていたようだが、ジーナ達の居る一角からは物凄い威圧が放たれている。
魔眼を使って威圧するジーナの後ろにドネリーとコンティーニが控え、そのさらに後ろにヴィートがラウレッタとマヌエルと一緒に居た。対面には男性数名が座っていて、その内の1人がジーナを睨んでいた。
「・・・うん、そうね。」
武雄はジーナに近寄ると、ゆっくり頷いてから、子供達に声を掛ける。
「ラウレッタ!マヌエル!おっきくなったねぇ!」
ラウレッタとマヌエルを抱きしめる。
「「!?」」
ラウレッタとマヌエルが声に出さずに驚いている。
「うーん、ダニエラさん達のを見ていましたが、こういう感覚なんですね。
ラウレッタはますます美人になって、マヌエルはしっかりしたかな?
んー♪結構、結構♪」
武雄が満足そうにうなずく。
「あの!この度は!」
ラウレッタが言いかけるが。
「あ、未だ陞爵前なんだよね。
それより、怪我はないかな?」
武雄は言葉を遮って、ラウレッタに確認する。
「あ、はい、ありません。」
「私も大丈夫です。」
ラウレッタとマヌエルが返事をする。
「うん、精神的にも大丈夫そうかな?
で・・・これが?」
武雄が頷き、抱擁を止めて、ジーナの隣に立つ。
「・・・貴様がこの、」
「口を慎みなさい!ご主人様は貴方の発言を許可していません!」
ジーナは魔眼の威圧を強める。
「ぐっ・・・」
シリル・ケイシー・アドラムが苦悶の表情を浮かべる。
「・・・まぁ、特に聞く事はないですし・・・ジーナ、魔眼はそのままで良いですよ。」
「はっ!」
武雄の言葉にジーナが答え、威圧を継続する。
「ドネリーさん、コンティーニさん、すみませんね。」
武雄はドネリーとコンティーニに謝罪する。
「いえ、私は主に話のタネが出来て喜んでおります。
私に実害はないので、お気になさらず。」
ドネリーがにこやかに言う。
「はぁ、流石の貫禄ですね。
私も問題ありません。」
コンティーニがドネリーに感心しながら答える。
「そうですか。
とりあえず、無事そうですね。」
武雄が、ゴドウィンとアルダーソンに言う。
「そうだな。
ラウレッタ、マヌエル、無事で良かった。」
「あの、ご面倒をおかけして、すみません!」
「申し訳ありません!」
ゴドウィンの言葉に、ラウレッタとマヌエルが頭を下げる。
「この程度の事、面倒ではないぞ。
それよりも2人が無事で何よりだ。」
ゴドウィンは2人の肩を軽く叩いて労う。
「「ありがとうございます。」」
ラウレッタとマヌエルは、重ねて頭を下げる。
「所長、特に何もありませんでした。」
コンティーニが、アルダーソンに報告する。
「そのようだな。
コンティーニも無事で安心した。」
「はい。」
アルダーソンの言葉に、コンティーニが笑顔で頷く。
そこで扉が開き、バタバタとアドラムが入ってくる。
「ゴドウィン殿、キタミザト殿、アルダーソン殿、この度はすまなかった。」
アドラムが謝りながら近づいて来る。
「・・・当事者の雇い主が揃ったので、話し合いましょうか。」
武雄がそう言うと、メイド達が4貴族にさっと席を用意する。
「キタミザト様、ゴドウィン様、アルダーソン様、アドラム様、お席をご用意しました。」
メイドが言う。
「うん、では、座って話しましょうか。」
武雄が3人に言うのだった。
・・
・
即席で整えられた4貴族の席、その後ろにそれぞれのお付きが立って話し合いが始まった。
ちなみに、ジーナはアドラムが入ってきた時点で威圧を止め、素知らぬ顔をしていたが、それについて誰も何も言わなかった。
そして、控室内に居たメイドから経緯の説明を受けた武雄達はというと。
「・・・ふむ・・・我が国は、奴隷の首輪の有無で差別はされないはずですが?
それに、私やゴドウィン伯爵は、この者達とちゃんと雇用契約を結んでいますし、奴隷の首輪をしている事については陛下に許可を頂いています。
それに対して難癖を付けた訳ですか?
アドラム殿、これはどういう教育をされているので?」
武雄がアドラムに言う。
「・・・本当に申し訳ない、その辺の確認をせずに言葉を発したようですな。
教育をしたつもりでしたが、こんな事を言い出すとは・・・重ね重ね申し訳ない。」
アドラムが言う。
その言葉を聞いて、武雄、ゴドウィン、アルダーソンの目が少し細くなる。
「・・・まぁ・・・そうですね。
賠償という形で納めましょうか。」
武雄が言うのだった。
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