第3482話 裏で何か動いているようです。(だから当事者に何も言わないでするから想定がズレるんです。)
第八兵舎の王都守備隊総長の執務室。
マイヤーと初雪、迎えに行ったブルックとビエラが居た。
「あ、誰かが魔眼使ってる。
これって、ジーナ?」
ビエラがマイヤーに聞く。
「そのようですね。
ビエラ殿は魔眼を知っていましたね。」
「そー、アリスが使っているの見たよ。
ジーナの魔眼は初めてかな?
アリスのは知ってたけど、ジーナの魔眼も同じ感じだね。」
ビエラが言う。
「そうですね。
我が国で魔眼を使える者は数名しか居りませんが、魔眼にも種類があるようですね。
アリス殿とジーナ殿で、同じ効果の魔眼が揃うのは珍しいのかもしれません。」
「かもね。
確か、ダニエラも使えたかな?」
「そうなんですね。
・・・で、話は変わるが、不貞腐れるのをやめろ、ブルック!」
マイヤーが、隣に座るブルックを嗜める。
「不貞腐れていませんよー。」
ブルックがボヤく。
「昨日、所長達が食べた新作菓子を分けて貰えなかっただけで・・・まったく、子供か。」
「不貞腐れてませんー。」
ブルックがムキになる。
「ブルック、伯爵のとこ戻ればタケオが食べさせてくれるでしょ?
我慢、我慢。」
「はーい。」
ビエラに諭され、ブルックが渋々返事をする。
「マイヤー、アンダーセン達は仕事でしょ?
何してるの?」
ビエラがマイヤーに聞く。
「外から王城の監視ですよ。」
「監視?それって、他の人達の仕事じゃないの?」
「ええ、普段ならそうですね。
ですが、人がする事ですから見落としもあると考えて、人が多く集まる授与式の間だけ、別組織の私達にも参加して欲しいとお願いされたんです。」
「へぇ〜、誰を監視してるの?」
「王城に出入りしている方々ですよ。
今、集まった人々の目は王城内に向いています。
ジーナ殿が魔眼を使った事で、更に城内の注目を集めていますから、悪さをしようとする者には尚更動き易くなっている事でしょう。」
「何か盗むの?」
「かも、しれませんが、そうでないかもしれません。
まぁ・・・何を狙っているのか予想は付いているので、誘き寄せる為に敢えて其処の人員を手薄に配置しています。
王都守備隊が、相手に気付かれない様に見張っています。」
「へぇ、で、アンダーセン達も外で監視しているんだね。
外の監視はアンダーセン達だけなの?」
「いえ、警備局と合同ですよ。
盗んだ物を何処に持っていくのか?誰と会うかを確認しないといけませんからね。
それなりの人数が配置されてます。」
「ふーん・・・で、今、ジーナが魔眼使っているよね?
あっちはどうするの?」
ビエラが聞く。
「さて・・・貴族方で何とかするでしょう。」
マイヤーが言うのだった。
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アズパール王の執務室。
お茶を飲んでいるアズパール王とオルコット宰相。傍に数名の執事達が待機している。
「・・・うーん・・・遅いなぁ。」
「どちらの報告が・・・というより、始まってくれないと困りますね。」
と扉がノックされ、オルコットが許可を出すと執事が入ってくる。
「失礼します。
お付きの控室でアドラム殿のお付きの方が、ゴドウィン殿のお付きの方に暴言を吐きました。
少々、面倒な状況になっております。」
執事が報告する。
「始まったか。
オルコット、担当局に連絡を入れろ。」
「了解しました。
行きなさい。」
「「「はっ!」」」
オルコットが執事を伝令に走らせる。
「それにしても・・・奴隷の首輪をしている者を普段から見慣れているお付きに見せると、どうなるか・・・
今回は、わざわざお付きの控室を用意して正解でしたね。」
オルコットが言う。
「・・・ジーナやヴィートには嫌な思いを・・・ちょっと待て、おい、今『ゴドウィン』と言ったな?」
アズパール王が報告に来た執事に聞く。
「はい、ゴドウィン伯爵様のお付きのラウレッタ殿とマヌエル殿です。
お二人とも奴隷の首輪をされております。
経緯はメイド長が聞いておりますが、奴隷商によって魔王国から連れ出された所をキタミザト様が保護、うち4名をキタミザト家が、ほか2名をゴドウィン家が雇い入れたと。」
執事が言う。
「・・・オルコット、知っていたか?」
「いえ、ゴドウィン伯爵殿からは『今回はお付きは2名』という申請が来て、裁可はしておりましたが・・・書類に奴隷の首輪の有無を記入する欄はありませんので、把握しておりませんでした。
そういえば、以前、キタミザト殿から奴隷の子供達を保護したという報告書が上がっていましたか。
歳ですね、すぐに思い出せませんでした。」
オルコットがしれっと言う。
「・・・・・・・・・あとでゴドウィンにも謝っておくか。」
アズパール王が考えながら言う。
「そうですね。
それで、お付きの控室の騒動は。収拾出来そうですか?」
オルコットが執事に聞く。
「・・・メイドが、キタミザト殿とゴドウィン殿とアルダーソン殿を連れて向かっています。」
「あれれ?・・・オルコット、タケオだけでは済まないような大事になっているんじゃないか?」
「まだ、ギリギリ想定内ですね。
・・・キタミザト殿なら何とかしてくれるでしょう。
陛下は、後で3人から説教でも受けてください。」
オルコットが言うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
 




