第3481話 武雄達は現場に向かっています。(どこにでも、そういう考えは居るものです。)
貴族達の控室を武雄、ゴドウィン、アルダーソンが出ると、ちょうどメイドが走ってくる。
「あ・・・キタミザト様!今、ご報告に!上がろうかと!」
「お付きの控室で・・・ですね?」
武雄が言う。
「はい!あ・・・」
その瞬間、王城全体が緊迫した感じになり、メイドが城内を見まわす。
「ジーナが魔眼を発動していますね。」
武雄が言う。
「これが・・・」
アルダーソンが呟く。
「流石、タケオとアリスの愛弟子だな。
王城だろうと使う時は使う判断が出来るか。」
ゴドウィンが頷く。
「向かいながら説明を聞きます。
何があったのですか?」
武雄が歩きながら、知らない体でメイドに問いかける。
「はい、アドラム子爵様のお付きの方が、ゴドウィン伯爵様のお付きに悪口を言いまして、何も言い返せずに居るところをジーナ様が庇い、ジーナ様とアドラム子爵のお付きの方で、ちょっと・・・少し・・・激しく言い争いになりまして。」
メイドが言う。
「アドラム子爵の???
うーん・・・立ち話しかした事ないですが、子爵は、ウィリプ連合国に面している貴族でしたが、種族に偏見があるようには思わなかったのですが・・・」
「ええ、子爵本人はそうかもしれませんが・・・今回は、お付きの方で、ご子息のシリル・ケイシー・アドラム殿が・・・
控室での発言を聞いていた感じでは、少々、異種族を見下すような事を言っておりました。
そろそろ諫めなければと思い、キタミザト様方にご相談に伺った次第です。」
メイドが言う。
「・・・あー、そういえば、アシュトン子爵殿の息子さんも、初対面で私を見下してきましたね。
あの感じですかね?」
「タケオ、そんなことがあったのか?」
ゴドウィンが聞いてくる。
「ええ、カトランダ帝国への出張帰りにアシュトン殿と会いましてね。
その際に、息子さんとも挨拶を・・・私は新貴族で子爵位でしたからね。
一足飛びに自分の親と同じ子爵位になったのが、余程気に入らなかったのでしょう。
めちゃくちゃ、目が見下していたんですよ。
他人がわかる程露骨に、そういう態度を見せるから評判が上がらないのにね。
今回は、違う貴族が難癖を付けてきたのですね。」
武雄がにこやかに言う。
「タケオ、楽しそうに言わないでくれ。
今回はアシュトン子爵殿ではなく、アドラム子爵殿の息子か・・・で、未だ手は出していないんだな?」
ゴドウィンが、メイドに確認する。
「はい、流石に、手を挙げたら処罰対象になるのは分かっているようで。
ですが、ジーナ様が的確にアドラム殿の心を抉っていて、見ていてハラハラします。
あ、先程までは、ジーナ様とアドラム殿の間に直接割って入ってはいませんが、警備兵とメイド達が目に入るように立っていましたので、手の届く距離までは近寄っては居なかったのですが・・・
今はわかりません。」
メイドが言う。
「はぁ・・・後で、ニール殿下に苦情を入れておきますか。」
「ニール殿下にか?」
ゴドウィンが武雄に聞く。
「ええ、ウィリプ連合国側貴族の統括責任者はニール殿下です。
ちなみに、この間までスミス坊ちゃんと婚約者のエイミー殿下が里帰りしていました。お付きのジーナも一緒にね。
ニール殿下はジーナの為人を知っていますから、そのジーナを怒らせた状況がニール殿下に伝われば、きつく叱ってくれるでしょう。」
「あー・・・そうだな。
で、メイド殿、俺らが行って、叱りつけて終わりで良いか?」
ゴドウィンが言う。
「わかりました。
手を出していなければ、そちらの処理でお願いします。」
メイドが頷く。
「・・・なぁ、アドラム子爵は連れてこなくて良かったのか?」
アルダーソンが言う。
「・・・あはは、ジーナ様をお諌めする為にキタミザト様を最優先としたので・・・後ほどお呼びします。」
メイドが言うのだった。
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王家一同の控室。
クリフとアン、ニールとエイミー、ウィリアムとアルマ、レイラが居て、貴族達の控室に行く準備をしていた。
「父上、アドラム子爵の息子がやらかしたそうですよ?
タケオさんの精霊のパナ殿から連絡が入っていますし、ジーナの精霊のパラス殿から『動けないように威圧中』と連絡が来ています。」
エイミーが椅子に座って項垂れているニールに向かって言う。
「何してくれているんだ・・・」
ニールがガックリしながら言う。
「アン、ジーナの精霊殿に『互いに怪我だけはしないように』と念を押してくれ。
怪我さえしなければ、まだ、何とかなる。」
クリフがアンに言う。
「わかりました、父上。」
アンが頷く。
「クリフ兄上、ニール兄上、どうします?」
ウィリアムが聞いてくる。
「どうもこうも、状況がわからないな。
かといって、今我らが行っても事が大きくなりすぎるだけだ。
報告を待つしかなかろう。」
クリフが言う。
「ま、タケオさんとゴドウィン伯爵とアルダーソン男爵が動いている時点で大事なんだけど。」
アルマが言う。
「というよりも・・・異種族に対して暴言を?
ニールお義兄様、アドラム子爵は、そういった考えを?」
レイラが聞く。
「心の内はどうだかわからんが、表立っての発言は聞いていないな。
ウィリプ連合国との関があるから奴隷の首輪の事は知っているだろうし、そこからかもしれないな。」
「・・・ふむ・・・これ、誰が仕組んだんですかね?」
レイラが首を傾げるのだった。
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