第3475話 第3皇子一家に顔を見せに行こう。(ヒナ、少しは慣れたかな?)
第3皇子一家の執務室。
武雄達はメイド達との懇談を終え、第八兵舎に戻る前に第3皇子一家の所に顔を出していた。
執務室に居たアルマやレイラと共に、エドワードとヒナを囲んで談笑しているのだが。
「う・・・」
ヒナは、嫌がらずに武雄に抱っこされている。前回の様な極度の緊張は見られないが、それでも表情は固く反応は薄い。
「レイラの言う通りね。
タケオさんが抱くと大人しいわ。」
アルマが珍しい物を見るようにヒナを見る。
「不思議ね。こんな反応はタケオさんが抱いた時だけよ。
お義父さまが抱いても、お爺さまが抱いても、いつもキャッキャしてるのに・・・なんで、タケオさんの時だけこうなんだろう?」
レイラが首を傾げながら言う。
「抱き方、おかしいですかね?」
武雄は、アルマとレイラに問いかける。
「「大丈夫。」」
声を揃えて 2人が言う。
「嫌われている訳ではなさそうですが。」
武雄が、ヒナを見ながら言う。
「あ〜。」
ヒナが喋るが笑顔はない。
「うーん・・・エリカ、交代。」
武雄が、エリカにヒナを渡す。
「はいはい、ヒナ殿下、どうしたんですか?」
エリカは慣れた様子で軽く揺すりながら、ヒナに語りかける。
「あ〜あぁ〜あー!」
ヒナは、いつものようにジタバタしながら、エリカに喋りかける。
「うん、これが、いつものヒナね。」
アルマが頷く。
「えー・・・うーん・・・エリカ。」
「はい、タケオさん。」
エリカが、ヒナを武雄に渡す。
「あー?」
ヒナは動きを止め、真顔で武雄を見る。
「暴れたり泣いたりしないから、本気で嫌われてはいないんでしょうけど、悲しくなります。」
武雄はショックを受けながら、レイラにヒナを返す。
「うーん・・・なんでだろう・・・
ヒナぁ~、タケオさんは大丈夫よ~??」
「あ~~あぁ~♪あーーーぁあ~♪」
レイラは首を捻りながらヒナに語りかけるが、ヒナはレイラの腕の中で何かを一生懸命喋っている。
「子供達には優しく接しているつもりですが、ヒナ殿下には通用しないのですね。
はぁ・・・もう少し大きくなったら変わるかなぁ・・・」
武雄がガックリする。
「大丈夫!何とかするから!
発展の起爆剤のタケオさんに見限られたら困るから!何とかするからね!」
レイラが言う。
「うん!なんとかするから!
ヒナの代わりに、エドワード抱いて!」
アルマが、エドワードを武雄に渡す。
「あ~~~あ!ぶぅぅぅぅう!」
エドワードは、嬉しそうな声を発する。
「あれ?エドワード殿下、今日は機嫌が良いですね。
この間は泣きそうになっていましたけど。」
「うん、今日のエドワードは絶好調ね!
そのまま抱いてて貰いなさい!」
アルマが言う。
「それはそれで、良いのでしょうか?
というか、別に子供に嫌われたからと言って、政策の提言でどうこうする気はありませんよ。」
武雄が言う。
「うーん・・・でも、出来ればヒナもタケオさんに懐いて欲しいし。
ヒナが王立学院に入る頃には、タケオさんは絶頂期だろうし・・・」
レイラが言う。
「そうだよね。
キタミザト家とエルヴィス家が大きく発展し、台頭してくる時期に王立学院に入るだろうからね。
それまでに、何とかしてタケオさんに懐かせないとね。」
アルマが言う。
「・・・いや、別に懐かなくても良いんですけど・・・
それに、1年違いでうちの子供達も居ますからね。
こっちはこっちで大変そうです。」
「うん、アリスの子供だからね!
走り回っていそう!」
レイラが言う。
「元気があって良いじゃないですか。
怪我さえしなければ良いんですよ。」
武雄が言う。
「うちのエドワードとヒナは、どうなるかなぁ?
領地に行ってから本格的な子育てになるけど、活発に動き回るかなぁ?」
アルマが言う。
「数年後の心配しても意味ないですよ。
今は今で見ておかないと。」
武雄が言う。
「そうだね。」
「はぁ・・・この子達どうなるのかしら。」
レイラとアルマが言う。
「ま、ウィリアムさんと話し合いながら育ててください。」
武雄が言う。
「レイラ、ヒナ抱きたい。」
ビエラがレイラ言う。
「ええ、お願いします。
頭と首を掌に乗せるようにして・・・そうそう。」
「おぉー、ちっちゃ。」
ビエラがヒナを抱く。
背後には、いつの間にか人間大になって顕現したパナが控えている。
「これがレイラみたいになるんだね。」
ビエラが言う。
「ええ、大人に成長していきます。
そういえば、ビエラ殿は最初にヒナをジッと見ていましたけど、何かあるんですか?」
レイラが聞く。
「うん?・・・ないよ?
・・・ヒナ、固まってる。」
ビエラが言う。
ヒナはビエラに抱かれているのだが、武雄の時と同じかそれ以上に緊張しているのがわかる。
「あれ?ヒナが力いっぱい緊張しているわ。
ビエラにも、前回タケオさんに抱かれた時と同じ反応なの?」
「ふーん、緊張しているの疲れそうだから、レイラに返す。」
「はーい、ありがとうございます。」
レイラが、ビエラの手からヒナを回収する。
「さて、顔も見せたし、兵舎に帰りましょうか。
アルマさん、レイラさん、また来ます。」
「「はーい。」」
武雄達は第3皇子一家の執務室を出るのだった。
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