第3472話 アンのお付きの話が来ません。(アンの自主性に任せましょう。)
王都の城門近くの森から王都の城門に向かう道。
ドラゴンのビエラが運んで来た荷物を受け取り、シーツに包んだまま背負っているジーナと、人間形態になっているビエラが話しながら城門に向かって歩いている。
「へぇ、新作スイーツは丸型焼きというんですね。」
「そ、美味しかったよー。
持って来た!」
「ふむ・・・ご主人様の大袋に入れて隠して貰いましょうか。」
「うん、他の人に食べられないようにしないとね!
で、タケオは何をしてるの?」
「今は、王城内でメイド方と歓談していますよ。
エリカ様と御一緒です。」
「ふーん、メイドと話す事ってあまりないね。」
「ビエラは・・・そうですね。
この間はスミス様やエイミー殿下と話していましたし、その前もご主人様や伯爵様と話していましたね。」
「メイドとしゃべる必要がないからね。」
ビエラが言う。
「そうですね。
あ、そうだ、餡子についてはエルヴィス領だけの秘密です。
エイミー殿下達も未だ餡子の事を知らないので、王城で餡子の存在を口にしてはなりません。」
「はーい。
でも、エイミーは、スミスと一緒に伯爵の所に来るんでしょ?
教えても大丈夫じゃない?」
「そうですね。
ですが、結婚式を挙げて、エルヴィス領に引越しされてから・・・ですかね?
エイミー殿下が王立学院を卒業されるまでは内緒ですね。」
「分かった。それまで秘密なんだね。
・・・危なくなったらジーナ見るよ。」
ビエラが言う。
「それが一番でしょうね。
ところで、アリス様はお変わりないですか?」
「アリス?お腹おっきくなってたよ。
毎日楽しそうにしてる。」
「そうですか、何事もなく過ごされているなら安心ですね。」
「コノハも居るし、魔族の子供達も側に控えてる。ま、子供達は皿とか割るけどね。」
ビエラが言う。
「うん、皿の件は領地に戻ったら指導しないといけませんね。
後輩達は、よく皿とか割るんですか?」
「頻繁ではないよ?
週に1回とか、月に1回とか。
私が知る限りはだけどね。」
「・・・ふむ、戻ったら、実態の確認と指導が必要でしょうか。」
ジーナが首を傾げる。
「頑張ってねー。
あ、そうだ、アンのお付きメイドどうなったの?」
「そう言えば、何も聞いてませんね。
忙しくて、私からは確認していませんし・・・うん、マリ殿やアル殿も聞いていないと返事がきましたね。
まぁ、私は既にスミス様のお付きを交代してしまったので、エイミー殿下とスミス様が確認すべきでしょうね。」
ジーナが言う。
「ふーん・・・アンのお付きも、ドネリーみたいなのだと良いね。」
「お付きとしての評価であれば、ドネリー様クラスなら出来すぎだと思いますが、良い方が見つかれば良いですね。」
ビエラとジーナが話しながら城門を抜け、王都内に入っていくのだった。
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王城内の総監局 メイド達の控室。
王城のメイド達と、武雄とエリカが歓談していた。
「アン殿下のお付きですか?」
武雄がメイド長に聞き返す。
「はい、内密ですが、第1皇子一家からそれとなく依頼されているのですが・・・アン殿下本人からは何も言われないので・・・
キタミザト様のところに依頼は来ていますか?」
メイド長が聞いてくる。
「キタミザト家に依頼するなら魔王国の子供メイドですか?
うーん・・・ジーナからは何も聞いていませんね。
エイミー殿下は、王立学院に入る際にお付きを決めたのでしょうね。」
「はい、アリシア・ドネリーは第2皇子一家が選んで、王城でメイドの研修をしました。
魔法師専門学院の4年時に、学業と並行してこちらでも研修を受けていました。
魔法師専門学院の卒業後に、エイミー殿下付きとして王立学院に入学して、今に至ります。」
メイド長が言う。
「ふむ、アン殿下のお付き選定は、エイミー殿下に倣うのでしょうかね?」
「うーん・・・そこも何も言ってこなくて・・・
アン殿下が望まれてもすぐに用意は出来なくて、新規の募集や選定、選考、教育等々、時間がかかるのです。
スミス様の卒業と同時に、アン殿下もエルヴィス伯爵領に異動されますので、それまでにお付きとの関係を築かないといけないので、それ程、時間もありません。」
「うーん・・・そう言われるとそうですが・・・
今居る王城のメイドさんの中に、候補となる方は居るのですか?」
「そうですね、居るにはいますが、能力的にお薦め出来るメイド達とアン殿下では年齢差が大きいんですよね。
エイミー殿下とドネリーは4歳差で良い関係を築いていますので、それに近しい年齢差となると・・・アン殿下は今10歳、4歳差程度だと、まだ魔法師専門学院の学生になります。
お付きに選ばれた生徒の意向次第ですが、在学中にドネリーの時に実施した研修を受けさせながら鍛えていければと思うのです。」
メイド長が言う。
「うーん・・・私からは何とも。
アン殿下が望むならキタミザト家から付けても良いですが、エルヴィス家からも依頼がきていませんから勝手に動けないですね。
まずはアン殿下とエイミー殿下、スミス坊ちゃんで話し合って貰うしかないでしょうね。」
武雄が言う。
「わかりました。
どう転んでも良いように、王城での研修準備はしておきます。」
メイド長が言うのだった。
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