第3468話 人事局長と総監局長との会議。2(色々と検討中の事が多いですね。)
「あとこの面子での報告事項は、以前キタミザト殿が言っていた王立大学の件ですが。」
総監局長が説明を始める。
「そういえば、そんな話をした事がありましたね。
読み書き計算は、王都と地方領都の両方で初等教育を実施。
そこから、魔法適性があり成績と魔力量が基準以上なら魔法師専門学院に入学させ、魔法適性の無い成績優秀者は王立学院に集める。
地方領や王都の兵士に就職した者は実務経験6年以上で、魔法師専門学院卒業生は実務経験2年以上で、兵士の高等教育を望むなら士官学校に入学させる。
王立学院と士官学校の成績上位者で、研究を望むのなら王立大学に入学を認める。
王立大学で専門性を磨いていく・・・でしたか?」
「はい・・・とは言っても、未だ検討中という報告しかありませんが。
『立ち消えていない』という事をお知らせしたかったので。」
総監局長が苦笑する。
「まぁ、現状で王立学院以上の教育は必要とされていないですからね。
財政局が、なかなか首を縦には振ってくれないのは、わかります。」
「はい、教育関係は、直接的な収入にはならず、支出が嵩みますから。
財政局からは『上位教育機関より王立学院や魔法師専門学院の拡充が先』と言われてしまって、推し進める事は叶いません。」
「まぁ、両学院の受け入れ余地は、まだまだあるでしょうしね。
特に、魔法師専門学院は、各地から就職してくれる卒業生が少ないと言われていますからね。」
武雄が言う。
「はい・・・はぁ・・・今後とも大学構想は検討していきます。」
総監局長が言う。
「うん・・・もしかしたら担当部局が必要かもしれません。
教育局とか人材育成局とか・・・そういった王立学院と魔法師専門学院、大学等教育機関を統括する部署が。」
「なるほど、人材育成専門の局をという事ですね。
それは・・・今の人事局に相当するかと・・・」
総監局が言う。
「卒業すれば人事局で管理、教育段階はその局で管理。
それこそ、地域の初等教育への教師派遣や武官候補、文官候補問わずの教育が出来るのは、将来にいい影響がありそうですけどね。
で、人事局は本来の人事権を行使して、王城内や私達のような王立関係部門の人員をやりくりをすると。
ま、人事局の下に教育部を置いて、管轄しても良いかもしれませんよね。
そうなると、取り上げられる形になってしまう軍務局が煩そうですけど。」
「はは、確かに。」
人事局長が苦笑する。
「あ、そういえば、キタミザト殿がいらっしゃらない時に総監局から『王国内におけるメイド教育の必要性と計画案』という企画を出したのですが、不採用でした。」
総監局長が言う。
「えーっと、・・・メイドさんの専門学院を作ると?」
「はい、執事とメイドの学院を作り、地方を含め全貴族領から対象者を招く事で、貴族家毎に違う慣習や指導方法を洗い出し、良い物は取り込み、間違った知識は是正させる必要があると感じました。
基本的な日常業務から接客対応、出産や結婚といった慶事、葬儀等の弔事まで統一した動きや仕事が出来るようになれば、各家でのバラ付きはなくなると。
発端は、アルマ殿下とレイラ殿下の出産の際、エリカ殿と精霊方の指示が今までの慣習と違っていた事による戸惑いと、それでいて産後も安定していた事で正しい知識との差を思い知らされ、認識を新たにしたからです。」
総監局長が言う。
「ふむ・・・ジーナも立ち会いましたよね?」
「はい、微力ながらお手伝いをいたしました。
私は、ご主人様より保健の教育をされておりましたが、実践はまだでしたので、確認しながらご主人様の教えが正しかったと認識しました。
事前教育を受けていなかった方は、違いに戸惑いはしておりましたが、指示に従ってそれなりに動けていたと思います。」
ジーナが言う。
「ふむ・・・王城のメイドさん達がね・・・
まぁ、エルヴィス家では、アリスの精霊であるコノハが指示を出しますからね。
産む方法はしっかりと段取りが出来ていたのでしょう。」
武雄が頷く。
「はい、ゴドウィン伯爵夫人のジェシー様のお産に立ち会ったエイミー殿下やエリカ様は、2度目という事で慣れておいででした。
そして、各精霊はコノハ殿からの教育を受けていたようで、淀みなく指示をしておりました。」
ジーナが言う。
「んー・・・執事とメイドさんの専門学院ですか。
却下されたのですよね?」
「はい、予算もなく、そこまで緊急性がないので。」
総監局長が言う。
「ジーナとしては欲しいと思いますか?」
「はい、欲しいと思います。
スミス様と王都の新貴族邸にお伺いした際に、少々対応の不備を見つけてしまいまして、そういったメイドの基礎的な事を学ぶ場所と機会があればと思いました。
とはいえ、私はエルヴィス伯爵邸での研修でそれなりに身に付いていますので、地方でも教育は出来るとは思うのですが・・・新規でメイドを募集する時に、メイドとしての技能や適正を評価する指針として、メイド学院等の施設卒業という資格があれば、採用時に最低限の能力を期待出来ると分かるので有用かと。」
ジーナが言う。
「ふむ・・・総監局長、まずは短期集中講座みたいに、メイドになりたい人を王城か何処かに集めて、1週間かけて教育し、素養ある者を探すというのは?
採用するしないではなく、この講習を受ければ、就活時に講習を受けた事を証明する修了証を与えるとかで、そうすれば、メイドになりたい人が集まるでしょうし。
それと、知識や技能の標準化については、年に1度か2年に1度、地方領のメイド長達を集めて会議をするとかに留めては?
その程度なら予算が付くと思いますけど。」
武雄が言う。
「そうですね・・・それも良いかもしれません。
一度持ち帰り、検討します。」
総監局長が頷くのだった。
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