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第3467話 人事局長と総監局長との会議。1(王立学院に新しい教科が始まるそうです。)

昼食後の王城内の小会議室。

武雄は、人事局長(王立学院を貴族会議と一緒に管轄)や、総監局長(魔法師専門学院を軍務局と一緒に管轄)を相手に、会議をそっちのけで雑談をしていた。


「ほぅ・・・制服を変えるのって、そんなに期間が掛かるものなんですね!」

「案外、年単位で掛かったりするものなんですよ。

 一応、最終候補として数案まで絞って、王立学院の生徒達にアンケートを実施しました。

 もうすぐ公表されるでしょう。」

人事局長が、武雄に言う。

「魔法師専門学院の制服も、長いこと変更されていないのですよね。

 こちらも変えるべきなのでしょうかね?」

総監局長が言う。

「どうでしょうか・・・王立学院では、寄宿舎と宿舎の所属や身分、種族といった区別を差別に発展させない為、また学院生としての仲間意識を醸成する為に、同じ制服の着用を全生徒に義務付けます。

 これは、先ずは見た目からという事で制服の改定をするのですが、学院生活の様々な場面で統一すべきものが考えられます。鞄や靴、運動や作業の時に着る服や帽子、数え出せばまだまだ増えるでしょう。」

人事局長が疲れた顔をする。

「局長一人でこれだけ思いつくんですから、担当になった者は相当に大変そうですね。」

武雄が言う。

「うーん・・・魔法師専門学院については、今は手を付けない方が良さそうですね。

 今、軍務局はそれどころではないですし。」

総監局長が言う。

「現在、魔法師専門学院に在籍しているジッロ殿が王立学院に入学するまでには制服を変更したいと思っていましたが、彼の入学と同時になりそうです。」

人事局長が言う。

「人事局長、異種族問題について、見た目は制服変更による対応で良いかも知れませんが、教育内容の方は整備出来そうですか?」

総監局長が聞く。

「今までの教科に加え、新たに周辺国の地理と歴史が加わります。

 これは、今年の4月から2年生向けに追加されます。

 国内地理と歴史は1年生に集約します。

 担当教師は、外交局から派遣して頂きます。

 現在、授業内容の打合せをしています。」

人事局長が言う。

「ふむ・・・1年目に国内を、2年目に周辺国を学ぶのですか。

 4月からの2年生は大変ですね。

 国内と周辺国、両方を学ぶのですから。」

総監局長が頷く。

「今までは、教科として独立してなかったのですか?」

武雄が聞く。

「隣接国の知識として、大まかに教えていました。

 今回、キタミザト殿が持ち帰った魔王国の情報は、若いうちに教えておかないと不味いでしょう。

 それに、カトランダ帝国との国交は活発になってきていますし、ウィリプ連合国の動きは不穏ですし。

 若いうちから正確な情報を与えないと将来に不安を残し、延いては不当な差別や排斥に繋がり兼ねません。」

人事局長が言う。

「まぁ・・・わかりますが・・・

 魔王国の情報に関しては私ですね?」

「はい・・・此方に、魔王国の地理と歴史をまとめた物があるのですが・・・」

人事局長が武雄の前に冊子を置く。

「・・・これを?」

「精読して頂き、訂正箇所があればご指摘ください。」

人事局長が言う。

「・・・・・・コレ、魔王国の方に見せて良いですか?」

「へ?」

人事局長が滅多に出さない声を出す。

「私は、魔王国の上層部に顔見知りが居ますし、そこそこ良好な関係を構築しています。一応、こちらに誤認があれば訂正して欲しいじゃないですか。

 もちろん、魔王国とブリアーニ王国で認識が違う所は、向こうからの意見を貰って、最終的に人事局がアズパール王国としての公式見解を決めて資料を作られたら良いと思うんですよ。」

「はぁ・・・ちなみに、キタミザト殿がこの資料を持っていく先は?」

「そうですね・・・出張等で知り合った中だと・・・陛下のお付きかな?」

「・・・どんだけ上なんですか・・・」

人事局長が、ガックリと項垂れる。

「じゃあ、王軍第1軍の指揮官補佐という第1軍のトップから2番目の人で、陛下の予定や全5軍の調整をする人なんてどうですか?」

「・・・だから、上位過ぎますって・・・」

「えーっと・・・どこに持っていこうかな・・・

 あ、魔王国の次期国王陛下とかっ!」

「もっとダメです。

 上過ぎです!もう少し下の方で良いんです。」

「・・・・・・・・・ブリアーニ王国に頼みます?

 あそこは、対アズパール王国に集結した部隊が国の成り立ちの大元らしいですからね。」

「え?どういう事ですか?」

総監局長が聞いてくる。

「えぇーっと・・・アズパール帝国に隣接していたコラットル王国の王家が魔王国に降り、北側半分を魔王国に割譲する代わりに魔王国の東側の領主にしてくれって頼んだんですって。

 で、今のブリアーニ王国は、森に侵攻してくるアズパール王国軍を迎撃する任務を遂行する為に国家を起したと説明を受けました。

 ちなみに、コラットル王国は領地異動前のブリアーニ王国領、魔王国パーニ伯爵領とアズパール王国ゴドウィン伯爵領の一部を束ねる国家だったらしいですよ?」

武雄が言う。

「ん?・・・ということは?・・・ゴドウィン伯爵領は、そのコラットル王国だったと?」

「ええ、そう言われました。

 コラットル王国は侵攻される前に解体したから、領土を直接切り取られたというわけではないそうで。

 『特に思う事はない』と言っていましたけどね。」

武雄が言う。

「人事局長・・・これ、彼方側の見解とか確認した方が良いのでは?」

「そうですね・・・キタミザト殿、ブリアーニ王国と魔王国の双方にお願いしてくれませんか?

 出来れば、余り上位の方ではなく、それなりの方で構わないので。」

総監局長と人事局長が言ってくる。

「・・・依頼はします。

 『どれだけ訂正されても、その通りに教えるかは保証しかねる』という但し書きを付けて依頼しますね。」

武雄が言うのだった。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
魔王国側としても他国に自国がどの様に伝わってるかって知れるのは価値としてはデカイよな。
残念ながら武雄が直接話す機会が一番多いのが魔王国及びブリアーニ王国のトップ陣なのでどう足掻いてもトップが目にする案件なんだよなぁ…() よしんば観戦出張時の移動中に護衛してくれた隊長さんたちに冊子を見…
外交官向けなら国内認識と国外認識の併記で良いと思う。
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