第3460話 軍務局と外交局との会議。1(やんわりとブリアーニ王国と事前協議をする事を伝えるよ。)
王城内の小会議室。
武雄は、軍務局長や外交局長を相手に会議をそっちのけで雑談をしていた。
専売局長と財政局長との会議同様、両局長は次官を伴って参加していた。
「基本的にやりすぎなんですよ。キタミザト殿は。」
「全くです。
後始末をするこっちの身にもなってください。」
「『やりたい事をして来い』と送り出した陛下が悪いんです。」
軍務局長と外交局長の言葉に、武雄が太々しく答える。
「はぁ・・・これほどの成果を上げてくるとは、陛下も思わなかったでしょうに・・・
そのせいか、昨日の会議は異様に長引きましたね。」
「巻き込まれた私達各局長も、あそこまで長引くとは思いませんでしたよ。
次から次に議題が出て来るから、会議が終わる気配がしませんでした。
あれだけの成果を上げれば、キタミザト殿の陞爵は当然ですね。」
外交局長と軍務局長が、ガックリとうな垂れながら言う。
「出した成果が評価され、陞爵されたキタミザト殿が羨ましいですね。」
外交局長が、嫌味を言う。
「陞爵なんて、面倒事が増えるばかりだと思うのですけどね?
私の成果が欲しいなら、今からでも外交局にお譲りしましょうか?
それに、欲しいなら爵位も譲ってあげますよ!」
武雄が、外交局長に言い返す。
「いいえ、どちらも結構です。
それに、今はカトランダ帝国とウィリプ連合国の対応で、人員的に手一杯なんです。
魔王国とブリアーニ王国は、当面キタミザト家とエルヴィス家で対応してください。
今直ぐ外交局に引継ぐ必要はありません、時間をかけ、将来的に実務を移管していきましょう。」
外交局長が言う。
「・・・はぁ・・・魔王国の相手は、結構大変なんですよ?
魔王国とデムーロ国との戦争に観戦武官として赴いた際、私の周りは上層部ばかりで気を張っていましたし。」
「ほぅ、キタミザト殿が気疲れしたのなら、相当に大変だったのですね。」
軍務局長が言う。
「そうなんですか? 私も報告書は見ましたが、随分と楽しんで来たみたいですね。」
外交局長が、嫌味を言う。
「私をなんだと・・・まぁ、王都守備隊員並みの兵士を1000名単位で動かす指揮官がゴロゴロしている中で、
魔王国の国王陛下やブリアーニ女王陛下との度重なる会談。
外交局長、普通、他国の・・・それも一応、敵国の子爵と会談を繰り返すものですか?」
武雄が、さも大変だったかのように言う。
「普通なら・・・しないでしょうね。
キタミザト殿、観戦武官で出張する前は、魔王国のどんな方と話をしていたのですか?」
外交局長が聞いてくる。
「魔王国との輸出入関係で使いの者として来たのが、何故か魔王国とブリアーニ王国の陛下付きの侍女さん達で、彼女達と話をしていました。
陛下に近しい立場と言っても、侍女は侍女でしょ?
なんで戦争中になったら、各陛下本人が出て来るんですかね?
今回の出張、凄く難易度高かったんですけど?」
武雄が太々しく言う。
「まぁまぁ、それらも踏まえて今回の陞爵ですし。」
軍務局長が言う。
「そうですよ、仕事内容に対して低かった爵位を引き上げて、対外的な立場を強化したという事でしょう。」
外交局長が言う。
「あ、会議で聞いたと思いますが、魔王国の次期国王陛下とも歓談してきましたよ。」
「おぉ、どうでしたか?」
軍務局長が聞いてくる。
「報告書にも書きましたが、魔王国の次期国王陛下は温和でしたよ。
ですが、拉致された自国民を奪還し保護する為なら、戦争を起こして他国へ侵攻する事も躊躇しないのが魔王国ですから、国王個人が温和でも交渉には注意が必要でしょう。
それと、次期国王陛下としては、暫くは南側のデムーロ国と東側の防衛に力を注ぎたいと言っていました。
なので、当面アズパール王国とは慣例の戦争ぐらいで、互いに本格侵攻に繋がるような兵力の展開は避けたいという話しでしたね。
今後の情勢次第ですが、意向としては、そのように聞いています。」
「「ふむ・・・」」
外交局長と軍務局長が考える。
「あと、今後はエルヴィス伯爵とブリアーニ王国で、諸々の事前協議をしようとも言われています。
魔王国はブリアーニ王国を経由して、エルヴィス伯爵に交渉事を打診する。
エルヴィス伯爵と私が暫定的な対応を決め、ブリアーニ王国経由で魔王国の意向を確認するという感じで。
魔王国と国境を接する他の伯爵を蔑ろにする訳ではありませんが、ブリアーニ王国がアズパール王国と魔王国の仲介役をしてくれるそうです。
まぁ、詳しい内容までは言ってこないでしょうから互いに意向の確認程度でしょうけどね。」
「ふむ・・・」
軍務局長が考える。
「事前に打診してきてくれるのならば、こちらも過剰に反応する事にはならないでしょうね。
・・・うん、キタミザト殿とエルヴィス殿には、引き続き友好的な関係と交渉をお願いしたい。」
外交局長が言う。
「善処します。・・・あと、国内やカトランダ帝国とウィリプ連合国の情勢を、大まかで良いので教えてください。
魔王国との情報交換に使いたいです。
魔王国も、独自にウィリプ連合国の情報を収集している筈ですので、その辺の話を私も知らないといけないと思います。」
武雄が言う。
「わかりました。
ウィリプ連合国方面は王都守備隊等も動いていますし、何かあればお知らせ出来るようにします。」
外交局長が言う。
「我々の方からは、開戦準備など進捗状況をお送りする事になると思います。
これは一研、二研、双方にお送りして内容を確認していただく事になると思います。」
軍務局長が言う。
「うーん・・・一研の領分にでしゃばるのはなぁ。
あくまで一研優先でお願いします。
一研が許可し、準備している内容についての進捗を私にお教えください。」
「わかりました。
あくまで、一研に検討と確認をして頂き、二研には確定した事と進捗をお送りします。」
軍務局長が言うのだった。
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