第3458話 437日目 今日も仕事頑張った。(おや、総監局長が来訪しました。)
第八兵舎内の食堂。
武雄とエリカ、試験小隊の面々は夕食を取っていた。
「マイヤーさん達は、今日の午前中は王都守備隊との訓練で、午後は王城内で資料の確認でしたか。
どうでした?」
武雄がマイヤーに聞く。
「いやぁ、王都守備隊の訓練内容が子供達には少し厳しくて、皆んな必死でしたね。」
マイヤーが言う。
「うん?厳しかったのですか?
まぁ、王都守備隊は我が国最高峰部隊ですからね。
やはり、地方でのほほんとしていた試験小隊には辛いのでしょうか。」
「のほほんとしていたのは事実ですが、そこまで訓練内容を落としていませんよ。
とは言え、距離や反復回数が多かったという程度です。
それに、この1年は十分な実践も経験しましたから、充実していたのは確かなんですがね。
私としては、自分が居た頃より少し厳しくなっていると感じましたね。
そのせいか、子供達は午後の資料確認中ずっと眠気と闘っていました。」
マイヤーが言う。
「うーん・・・眠気が出ちゃうのはなぁ・・・本人の意思とは別ですからね。
眠気が出たら、30分くらい寝ればスッキリとしますが、毎回寝れる訳でもないでしょうから、立ち仕事をしたりと気分転換するしかないんですよね。」
武雄が言う。
「ええ、皆もわかっているので、強くは言わずに本を探させたり本を戻させたりと、体を動かしながらやっていました。」
「ま、王都守備隊も若返って、やる気に満ちている証拠という事にしましょう。」
「まぁ・・・そうですね。」
マイヤーが頷く。
「所長の方は会議ばかりでしたか?」
「王城での会議2つと、王立学院と、知り合いの木材商との打ち合わせでしたよ。」
アンダーセンの問いに武雄が答える。
「あれ?そんな予定でしたか?」
「軍務局との会議が流れて、時間が出来たので王城外に行ってきました。
ま、そこはジーナが一緒に行ってくれたので、後程で報告書が行くでしょう。
ね?ジーナ。」
「はい、あと少しですので、まとめ終わったらマイヤー殿に提出します。
・・・20時には提出可能かと。」
ジーナが言う。
「来るんですか・・・報告書が・・・」
マイヤーが若干項垂れる。
「えっと・・・ご主人様、提出して良いのでしょうか?」
「してください。
マイヤーさんは、研究所で私に次ぐ地位の人です。
私の行動を把握しておかないといけません。」
「・・・そんな役目はなかったと思うのですが・・・」
マイヤーが、難しい顔をしながら言う。
「どうせ、陛下と話をしに行くんでしょ?
私の行動を把握しておかないと、報告出来ませんよ。
ちゃんと報告してくださいね。」
「はぁ・・・陛下も所長も人使いが荒いんですから・・・
間に挟まれる私の気持ちにもなってください。」
マイヤーが深いため息をつく。
「えー?・・・正直に話してきて良いですよ?
私は、何も後ろ暗い事していませんもん。
あ、スライム関係だけはダメです。
それ以外なら何でも。」
「はぁ・・・こっちで話す内容を選定して報告してきます。」
マイヤーが、諦め顔で言う。
「お願いします。」
武雄が言う。
「何と言うか、マイヤーさんは監視の為に試験小隊に潜入している筈なのに、報告する言葉を選ばされているのが何とも不可解ですね。」
エリカが言う。
「エリカ殿、そう思うでしょう?
私にも、もっと楽な任務だと思っていた時期がありました。」
マイヤーが言う。
「ええ、そのようですね。
ですが、私達の旦那様の為によろしくお願いします。」
エリカが、苦笑しながら言う。
「所長の奥様方からの依頼を断れる者は、私も含め部下におりません。
何とか取り繕っておきます。」
マイヤーも、苦笑しながら言う。
「失礼します。」
食堂の入り口から声がかかり、ジーナが立ち上がって用件を聞きに行く。
とすぐにジーナが戻ってくる。
「ご主人様、総監局長がいらっしゃいました。」
「うん?呼び出しかな?
えっと、部屋を変えた方が良いか聞いてきてくれますか?」
「はい、わかりました。」
ジーナが食堂の入り口に再度向かい、少々話すと来た者達と一緒に武雄の元にやってくる。
「キタミザト殿、夕食中、申し訳ありません。」
「いえ、ご足労頂き、お疲れ様です。
どうされましたか?」
武雄達が立ち上がり、挨拶する。
「はい、実はリーザ殿に、アリス殿へ書類を届けて頂きたいのです。
それと少し略式になりますが、封密命令になります。」
「封密命令ですか・・・リーザが持って行ったら受け取りの書類にサインをして持ってこさせないといけませんね。」
「はい、なので、リーザ殿にはご足労をかけてしまうのですが、ドラゴン便以上に早く正確に届ける方法がないのです。」
「構いませんよ。
リーザ、明日の朝一でエルヴィス伯爵邸に戻ってください。
で、ビエラが暇でしょうから、こっちに戻ってくるのはビエラとリーザで話し合って、どちらかが返事を持って来てください。」
「ぎゅ!」
リーザが返事をする。
「主、リーザがわかったと言っていますよ。」
ミアが言う。
「ありがとうございます。
こちらが封密命令の書類になります。」
総監局長が書類鞄を武雄に渡す。
「わかりました。
開封日時は?」
「1月14日11時になります。
鞄の中に、アリス殿宛の手紙と封密書類がありますので、ご確認くださいとお伝えください。」
総監局長が言うのだった。
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