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第3456話 専売局で打ち合わせ。5(双方の認識を共有しよう。)

3人は雑談を始めていた。


「キタミザト殿のおかげで、今後の財政が良くなる試算が出ていましたが、今回の件で少々・・・いや、大幅に下方修正がかかるかもしれません。」

財政局長が言う。

「んー・・・財政局長、それはブリアーニ王国から鋼材の輸入を開始する事が原因ですか?」

「ええ。

 あー、専売局長は・・・」

「私からの要望で、ブリアーニ王国との交渉で現場即決する為に必要なので、ブリアーニ王国向けの鋼材輸入予算の総額と受け入れ可能な最大輸入量を、王都を離れる前に教えてもらう事になっています。」

武雄が言う。

「陛下からも、鋼材の輸入交渉に関してはキタミザト殿に任せたと聞いています。

 輸入予算については『その話は、また後で』という事で私は退出してきたので、私達財政局と専売局で話し合って数字を決めます。

 100%ドワーフ王国から輸入していた鉄が戦争で不足した際、割高でも別の輸入ルートで補うのは良い案です。しかし、鉄の価格高騰で不足する購入資金を何処かで用意する必要があります。

  なので、再生紙事業が本格稼働したら、その利益を転用する予定です。」

専売局長が言う。

「・・・ふむ、通常時の輸入は?」

武雄が、財政局長に問う。

「えっと、輸入価格は魔王国ないしブリアーニ王国の流通価格の1割増しですよね?

 キタミザト殿は、専売局から依頼された量を注文してください。

 流通価格の上振れに対する購入価格の調整については、その都度専売局に問い合わせて頂ければ・・・あ、そうか、その辺の数字を今回渡して、問い合わせの手間を省くのですね?」

財政局長が、武雄に聞く。

「はい、私はそう思っていました。」

「会議の方では、ウィリプ連合国と開戦した際の対応についての話をしていたので、新たな鋼材の輸入についてはまだ先の話だと思っていました。

 そうですか、現時点から価格交渉が始まるのですね。」

財政局長が頷く。

「1割増しの価格と約束していますが、魔王国内もデムーロ国との戦争の後始末で需要が高まっていると考えられます。

 出来るだけ早く、ある程度の輸入を開始してアズパール王国(我が国)は上客だと思わせたいと考えています。

 なので、提示して良い最高単価を逆算する為に、予算総額と輸入可能量を教えて欲しいと頼んだんです。」

「ふむ・・・言っている事はわかりますが・・・

 専売局長、距離から輸送費を考えるとブリアーニ王国からの鋼材はドワーフ王国の物より値が張りますよね?」

財政局長が、専売局長に確認する。

「品質と単価が同じでも、輸送費を加味すればブリアーニ王国の鋼材が高値になるのは必然でしょう。

 もしも、ブリアーニ王国からの輸入価格が、輸送費込みでもドワーフ王国と大差ないなんて報告が来たら、専売局としてはドワーフ王国からの鋼材輸入を大きく見直す事になるでしょう。

 ですが・・・おそらく、そうはならないでしょうね。」

専売局長が言う。

「現状・・・陛下の意向に従って、魔王国方面の外交と輸出入について、キタミザト殿が全権を握っています。

 ですが、今年や来年あたりの限られた予算ではブリアーニ王国から多くを輸入出来そうにないと、財政局としては言わざるを得ません。

 もちろん、鉄の需要が高まるウィリプ連合国との開戦2年前くらいには、価格が少々高くなっても買い増し出来るように予算を増額しますが、今直ぐには無理と考えてください。」

財政局長が言う。

「ふむ・・・私が今考えている交渉方法を変更した方が良いですね。

 それでも・・・ブリアーニ王国からの輸入鋼材に、現時点で回せる予算の総額と希望する輸入量を教えてください。

 出来るだけ、数字に沿った量を買い付け出来る様に交渉してきます。

 財政局長の仰る通り『ウィリプ連合国と開戦した際の取引は、後日の交渉にする。』と伝えて後で協議します。」

「はい、それでお願いします。」

財政局長と専売局長が頭を下げる。

ちょうど話が区切れたタイミングで扉がノックされ、専売局長が許可を出すとメイドが入ってくる。

「失礼します。

 専売局長、財政局長、夕食後20時より中会議室で会議となりました。

 局長と次席、並びに予算関係の部長に出席して頂きます。

 参加して頂く局には、既に連絡を入れています。」

メイドが、専売局長と財政局長に言う。

「「・・・」」

名指しされた2名が「えぇー、夕食後に会議?」という顔をさせている。

「キタミザト様、明日の予定が変更されましたので、新しい予定表をお渡しいたします。

 ご確認願います。」

メイドが、武雄に予定表を渡す。

「はい、えーっと・・・朝食後が軍務局と外交局との会議、昼から人事局と総監局との会議、15時から総監局との歓談・・・えっ?歓談?」

武雄は、席に座ったまま眼鏡をかけて予定表を確認し、隣に立って居るメイドを胡乱げな目で見上げる。

「先頃、キタミザト様は第3皇子一家を通じ、女性用品の開発に多大な尽力をされたとお聞きしております。

 私達メイドも使用させて頂いており、その件で私共と歓談をして頂きたく、せっかく王都にお越しなっていらっしゃるので、少々お時間を頂戴いたしました。

 あ、エリカ様もご参加頂けると幸いです。」

メイドが言う。

「わかりました。

 エリカに言って、予定を調整して貰います。」

「よろしくお願いいたします。」

メイドが礼をする。

「ジーナ、明日の予定表だそうです。」

「畏まりました。」

ジーナが、武雄から予定表を受け取る。

「あの・・・キタミザト殿は、夕食後の会議には?」

専売局長がメイドに聞く。

「キタミザト様が参加する様にとは、宰相様より指示が出ておりません。

 キタミザト様に会議の結果を報告する前に、内々で擦り合わせをする為の会議という事ではないでしょうか?」

メイドが言うのだった。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
鋼材は先物取引みたいになるのかな?コールオプション的な。
キタミザト様は、ほぼ徹夜ですからねw
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