第3451話 王城に帰還しました。(陛下達の会議は白熱しているようです。)
武雄達は、アスカムとの打ち合わせを終えて王城に戻ってきた。
二人は勝手口の扉を開けて厨房から城に入る。
「お邪魔します。」
武雄の一言に皆が一斉にそちらを向く。
「・・・キタミザト殿・・・本当に勝手口から帰って来ましたね。」
料理長がため息を吐きながら言ってくる。
「ええ、事前連絡は入れていると思うのですが?」
「はい、メイドから聞きました。
皆にも伝えていますよ。」
「あ、皆さん、またお世話になります、キタミザトです。
部下共々、よろしくお願いします。」
武雄が頭を下げる。
「「「はい。」」」
料理人達は「まぁ、キタミザト殿ならしょうがないか」と苦笑しながら呆れている。
「で、こっちからですね。
何かありましたか?」
「正面から入って来ると、どっかの最高位の人の執務室に連れていかれそうなので、回避したんです。」
武雄が言う。
「こっちには、会議が終わったとの連絡は来てないですね。
お茶の取り換えが数回程あった程度です。」
料理長が言う。
「まだやっているんですね。」
「厨房では詳しい状況を掴めませんが、会議が長引いているという事は何か重要な事を決めているのでしょう。
あ、話は変わりますが、今夜のメニューはこれです。
何か追加のご希望はありますか?」
料理長が武雄に紙を渡す。
「お肉と・・・デザートにプリンですか。
ミア、何が食べたいですか?」
「うーん?・・・主、プリンですか?
果物も欲しいですね。
出来ればいっぱい食べたいです。」
ミアが胸ポケットから顔を出して聞いてくる。
「今日は何も行動していませんよね?
お腹空きましたか?」
「主の胸ポケットに潜んでいるのが私の仕事ですよ。
通訳ですからね。
用がなければジッとしているのが仕事です。
なので、仕事を頑張っているのです!」
「うん、仕事うんぬんではなく、体を動かしていないから聞いているだけなんですが。
まぁ、ミアが食べたいと言うのなら食べさせないとね。
料理長、何か果物をお願い出来ますか?」
「今日は・・・オレンジをお持ちします。」
「はーい。」
ミアが返事をする。
「失礼します。
あ、キタミザト様、ご到着されていましたか。
遅れて申し訳ありません。」
メイドが厨房に入ってくる。
「いえ、私達が早く帰ってきてしまっただけですよ。
執務室の方は、どうなりましたか?」
武雄がメイドに聞く。
「はい、現在、中会議室に移動しており、総監局内は慌ただしくなっています。
料理長、30名分のお茶の用意と、何か摘まめる甘い物はありませんか?」
「すぐに用意しよう。
おい!緊急だ!やる事を割り振るから主要なメンバーは集まれ!」
料理長が動き出す。
「えっと、中会議室となると・・・」
「前に、キタミザト様がウィリプ連合国の出張からお戻りになった際、報告で使用された会議室になります。」
メイドが言う。
「あー、あそこですか。
参加者が増えすぎて、執務室じゃ狭くなったんですね。」
「はい、休憩も兼ねて部屋を移動する事になりました。
陛下、クリフ殿下、ニール殿下、ウィリアム殿下、宰相様、総務局長、外交局長、経済局長、軍務局長、人事局長、財政局長、王都守備隊総長、第1騎士団長、王家専属魔法師殿、アルダーソン様。
他、各局および各軍団の次長が呼ばれています。」
メイドが言う。
「また増えましたね。」
「先ほどまで殿下方や局長や騎士団長でしたが、次席を呼ぶ事になり、私達はその間に中会議室の用意をしていました。
キタミザト様、申し訳ありません。
一度戻って、中会議室にお茶等を持っていく同僚を連れてきます。
こちらでお待ちください。」
「はーい、待っています。」
武雄が頷くとメイドが厨房を一旦、去るのだった。
・・
・
厨房とメイド達がそれなりに慌ただしくしている最中、武雄とジーナ、料理長は雑談をしていた。
「なるほど、冷蔵箱ですか。
料理人としては欲しいですね。」
料理長が頷く。
「排水設備がない所に設置出来ないのが現状の課題ですね。
それと、冷蔵箱は定期的に氷を補充する魔法師が必要になります。」
武雄が言う。
「ふむ、魔法師ですか・・・王城の料理人に、氷の魔法を使える者が居たかな?」
料理長が考える。
「ご主人様、伯爵邸には設置されたのですか?」
ジーナが聞いてくる。
「ええ、商品化の一歩手前ですね。
厨房に置かせて貰って耐久試験中です。
戻ったら結果を聞いて、製品化の話を進めないといけないでしょうね。」
武雄が言う。
「製品化したら、ぜひ、ご一報を!
購入させて頂きます!」
料理長が言う。
「その際はよろしくお願いします。」
武雄が言う。
「キタミザト様、お待たせしました。
中会議室で会議が再開されましたので、今なら見つからずに移動出来ます。」
厨房に入って来たメイドが言ってくる。
「ふむ・・・私は呼ばれなかったようですね。」
「はい、陛下が何か仰っておりましたが、メイド達は無視していますので。」
「・・・えーっと、陛下の扱いが雑ですね。」
武雄が呆れ顔を向ける。
「はい、オルコット宰相様より『今回は陛下の戯言を聞かなくて良い』との指示が出ておりますので問題ありません。
それでは、次の専売局との打ち合わせ場所にご案内いたします。」
メイドが言うのだった。
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