第3442話 3研究所会議。3(二研の研究進捗。)
「うむ、素晴らしいですな。」
「焦らなくても良いので、改良していきましょう。」
王家専属魔法師と武雄がアルダーソンに言う。
「・・第一研究所の報告は以上になります。」
アルダーソンが言う。
「わかりました。
第二研究所はどうでしょうか?」
「はい、私達は盾の研究ですが、完成度としては8割程です。
そもそもの目的が中級程度の威力がある鋭利なストーン等での攻撃から身を守る為に、盾の性能向上をとしています。
出来れば、従来の盾と購入費用があまり変わらないのが理想です。」
武雄が、ウィリプ連合国の小銃の存在には言及せずに説明を進める。
「完成度は8割との事ですが、現状でどの程度まで耐えうるようになっていますか?
具体的に教えて頂けますか?」
アルダーソンが聞いて来る。
「具体的な盾の性能目標として、騎士のフルプレートアーマーに小さな穴が開く、もしくは大きく変形する威力で攻撃されても耐えうる程度としています。
威力については、王城で使用されていたフルプレートアーマーに想定の威力で攻撃をし、鎧に与えた傷を元にしています。」
武雄が言う。
「フルプレートアーマーにですか。
それに凹み等を与える・・・想定する威力は十分ですね。」
王家専属魔法師が頷く。
「はい、そのレベルの攻撃を防ぐようにしたのです。
あ、報告の順番は入れ違いになってしまいますが、既に実戦投入済みです。」
「「実戦?」」
「はい、魔王国との慣例の戦争で、オーガ戦に投入しました。
新開発の盾を使用したのはうちの試験小隊員、防御の際は強化系の魔法もしていたでしょうが、オーガの攻撃に耐えました。
これが、新開発の盾になります。」
武雄が、それまで壁に立てかけておいた盾を、王家専属魔法師とアルダーソンの前に持ってくる。
「「失礼します。」」
王家専属魔法師、同次席、アルダーソン、コンティーニの4人が席を立って盾の周りに集まる。
「キタミザト殿、触っても?」
コンティーニが武雄に聞く。
「殴っても、叩いても、刺しても構いません。
ただ、火魔法は使わないでください、室内ですからね。」
「はは、わかりました。」
コンティーニ達が苦笑する。
「で、失礼します。
む・・・少し重いですかね?
こうでしょうね。」
アルダーソンは盾の持ち手を握り込むと、床に立たせて防御態勢で構えてみる。
「ふむ・・どうも、王城で使っている物に比べて厚いような・・・
おい、すぐに近くの部隊から、標準的な盾を借りてきてくれ。
それと何か・・・ショートソードでも何でも良い、盾を殴り付けられる武器もだ。
私やキタミザト殿、アルダーソン殿の名を出せば、直ぐに貸してくれるだろう。」
「はい、すぐに。
失礼します。」
王家専属魔法師が次席を走らせる。
「ここから近いのは王家専属魔法師部隊の部屋でしょうか?」
「はは、キタミザト殿、一番近いのは、陛下の後ろの護衛ですよ。」
「あー、なら、すぐに借りてこられそうですね。
では、私からは盾の斬りつけ役を・・・ジーナ。」
「はい。」
ジーナが立ち上がる。
「この者が打ち込みますので、実際に盾の性能を確認してください。」
「ふむ、ジーナ殿が打ち込まれるのであれば、こちらも全力で盾を構えないといけませんね。」
武雄の言葉に王家専属魔法師が応じる。
「失礼、王家専属魔法師殿、キタミザト殿のお付きが、その女性が斬りつけ役ですか?」
アルダーソンが訝しげに聞いてくる。
「あぁ、王城ではジーナ殿の武勇は有名なのです。
何しろ、前回の御前仕合の優勝者ですから。」
「え゛!?」
アルダーソンがジーナを見る。
「そういえば、御前仕合で優勝したんですね。
ジーナ、お疲れ様でした。」
「はい、ありがとうございます。
アリス様より、賞金は自由にして良いと言われておりますが、どうしましょうか?」
「ジーナの好きに使っていいですよ。」
武雄が言う。
「はぁ・・・わかりました。」
ジーナが頷く。
「ううむ・・・その細い体で・・ですか・・・」
アルダーソンがジーナを見ながら言う。
「はは、一部ではキタミザト殿、キタミザト殿の正室であるアリス殿に次ぐ我が国3位の強者と言われておりますね。」
王家専属魔法師が笑いながら言う。
「恐れ多い事です。」
「え?妻のアリスが1番でジーナが2番でしょ?」
武雄が抗議する。
「はは、だから、一部ではと言ったではないですか?
真実がどうなのかは、私にはわかりません。」
王家専属魔法師が言う。
「ううむ・・・私も大会の経験がありますが・・・ジーナ殿は凄く努力されたのでしょう。」
アルダーソンが頷く。
「アルダーソン様、ありがとうございます。
日々の訓練の成果が出たと考えております。」
ジーナが礼をする。
「戻りました。」
出て行った王家専属魔法師の次席が盾と剣を持って入ってくる。
「おー、来ましたね。
キタミザト殿、見本の盾は壊しても良いのですよね?」
「どうぞ。
少なくとも、オーガの攻撃以上でなければ壊れませんよ。
それに壊れたら壊れたで、更に改良すれば良いだけの話です。
ですが、今回は従来の盾と新開発の盾で、性能の違いが確認出来れば良いので、そこまで本気でなくて良いと思います。」
武雄が言う。
「ふむ・・・では、ジーナ殿、少々ご協力をお願いします。」
「はい、畏まりました。」
王家専属魔法師の言葉にジーナが頷くのだった。
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