第3439話 丸型焼きとコンロが出来ましたよ。(会議前に第3皇子一家の所に寄りましょう。)
エルヴィス伯爵邸の客間。
テイラーとチビニオがアリスを訪問していた。
「これが小麦系の焼き型と、それを焼く炭のコンロですか。」
アリスが机に置かれた物をジーっと見ながら言う。
「へぇ、聞いてはいたけど、上手く作れたね。」
チビコノハが言う。
「うむ、中々の出来だな!
木炭からの高さを変え、火加減の調整をすれば焼き鳥も可能だろう。
是非、醤油ダレを頼む。」
チビニオが言う。
「ここでも醤油かよ!
まだ完成してないよ!」
チビコノハがガックリしながら言う。
「それは知っている。
だが、仕方あるまい、我らが食べたい料理の味付けは醤油ベースが多いのだからな。」
「わかっているけど。
それにしても・・・うーん・・・焼き鳥のタレをウスターソースで作ってみる?
ちょっと酸っぱい系のタレになるだろうけど。」
「ううーむ・・・それはまた微妙な味になりそうだ。飽くまでも、我らが求めるのは醤油ベースの甘ダレだからなぁ。
醤油の完成の目処が立っているというのに、他の・・・ソース味の焼き鳥を食べさせられるのも酷という物だろう。
今食べるなら、普通に塩味の焼き鳥だな。」
チビニオが考えながら言う。
「塩かぁ、塩をまぶすか、塩水にちょっと砂糖を入れて付けながら焼くんだっけ?」
チビコノハがニオに聞く。
「店毎に違うだろな。」
「でも、焼き鳥は肉に串を打つのが大変なんだよね。」
「ふむ、串打ちのライン化は難しいか?」
「タケオの居た所で、ライン化しているのはわかっているよ。
ニッチ市場だから数社しか作っていないみたいだけど、装置自体の機構は出来そう。
でも、生肉だからなぁ。
衛生的に今はライン化は難しいだろうね。」
「ふむ・・・串打ちのベテランになるのに数年かかるみたいだがな。」
チビニオが言う。
「まぁ、売り物ではないから、まずはゆっくりと串打ちするしかないね。
あ、ニオ、串どうする?竹串ないよ?」
「鉄の細長いペーパーナイフのような物で良いのではないか?」
「鉄串ならバーベキューじゃん。」
「ま、やってる事は変わらんな。
それよりも・・・コノハ、焼き型の方は商品名は何にするんだ?」
「あー・・・正式名称はタケオが帰って来てからだけど、丸型焼きで良いんじゃない?」
「・・・おー・・・なら丸型焼きを試すのだな?」
「うん、餡子を作ってからだから後日だね。」
「そうかぁ・・・我の分で数個頼む。」
「あいあい~。
おすそ分けするよ。」
チビコノハが言うのだった。
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武雄とエリカ、ジーナが第3皇子一家の所に来ていた。
「タケオさん、ウィリアムがお義父さまに呼ばれたわ。
昨晩は、何の話をして来たの?」
アルマが聞いてくる。
「普通に出張の話とかしていましたよ。
まぁ、夜10時から朝4時くらいまでかかりましたけどね。」
武雄が言う。
「随分と濃い話だったみたいね。
タケオさんはこれから各局と会議でしょ?」
レイラが問いかける。
「まずは研究所会議ですね。」
「そうなのね。
で、その盾なのね。」
レイラが言う。
「まぁ進捗会議なので、簡単な報告程度ですよ。」
武雄が言う。
「そうなんだね。
で・・・タケオさんが来たから渡しておこうかな。
エリカさん。」
「はい、例の資料ですね。」
エリカが戸棚から冊子を持ってくる。
「これが、第3皇子一家領の端の町に用意出来る、魔王国の拠点となる店の候補です。」
レイラが武雄の前に置く。
「あ、そうだった。
魔王国から、店舗部分以外に欲しい部屋数が記載されている書類を貰って。」
バンッとレイラが武雄の前に置いていた冊子を回収する。
「・・・タケオさん、その書類を見てから、あらためて数件提案しますから。
また後程お願いします。」
レイラが言う。
「え、ええ、これが魔王国側から渡された拠点の要望書です。
店舗兼住宅という事で、出来ればご考慮頂きたいという申し入れでした。」
武雄が書類をレイラの前に置く。
「確かにお預かりします。
・・・タケオさん、魔王国からはどんな方が来るの?」
「あー・・・基本的には、ジーナのように人間種と変わらない外見の方を配置してくれるようです。
1名ほど、獣人の方も居るとなっていましたね。」
武雄が言う。
「ご主人様、その言い方ですと来られる人員を教えて頂いたのですか?」
ジーナが聞いてくる。
「ええ、こっちに来る前に、その件について魔王国の方と話しましたよ。
エルヴィスさんの所には、1次候補としてリストを頂いています。
今の所なので、今後変わるかもしれませんから、詳細は話せません。
近くなったらお知らせします。」
武雄が言う。
「・・・タケオさん、獣人の方が来るのね?」
アルマが聞いてくる。
「軽い獣人差別は覚悟しておいて欲しいと言っておきましたが、『デムーロ国に行ってきた者達だ、少々の差別程度なら問題無い』と笑われましたよ。」
「そう・・・治安は頑張って何とかするから。」
アルマが言う。
「・・・ご主人様、他国へ常駐される方となると・・・相当、有能なのですか?」
「でしょうね。
能力の高そうな方々がリストに載っていましたね。」
武雄が言うのだった。
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